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第5話 安らぎに気づいた時、椿の心にともった灯。
しおりを挟む大納言さまと同じ閨で過ごすことになった夜。
「椿・・・。牡丹のたっての願いでこのようなことになったが、もし気が進まぬなら、フリだけでよい。」
申し訳なさそうに声をかける護国さま。
いつもお優しい護国さま
護国さまのこのお優しさを他の人に見せて欲しくはない、とゆう牡丹さまのお気持ち。
大事にして差し上げたい。
一大決心で護国に沿う決意をした椿は、
「いえ、椿にも情をくださりませ。」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
牡丹さまは無茶とわかっていてもそう言わずにはいられない女心をどうすることもできず、椿にぶつけてしまったのかもしれない。
いや、
もっとなにか得体のしれない運命、とゆう大きな力が働いていたのかもしれない。
「護国さま・・・。椿を牡丹さまだと思ってくださいまし。椿も牡丹さまになったつもりで護国さまと過ごします。」
「そなたを牡丹だと?」
「そう。」
牡丹さまをまねて華やかな笑顔をつくるいじらしい椿に、次第に護国も心を動かされ・・・。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
牡丹となって一夜、二夜と過ごすうち、段々わかってきたことがある。
護国さまはすごい美男子でもすごく気の利いたことを言ってくれる訳でも無いけど。じんわり温かく心に灯をともしてくれる。この温かさにいつも包まれて牡丹さまは幸せに過ごしていたんだ、と。
これは恋ではないかもしれないけれど、椿もやはりこの温かさに包まれていたいかもしれない。
そう思うようになった頃、椿は懐妊し、女の子を産んだ。
「牡丹さま、申し訳もございません。」
そういった椿だけど、産まれたのが女の子でよかった、とも思う。
産後の日だちがおもわしくなく。
とゆうか、、体力も妖力も赤子に吸い取られたのかヒトのナリもつらく、お産をした別邸にそのまま移り住むことになった椿。
なにより、このまま牡丹さまと護国さまの側にいては何かが壊れてしまうような気もした。
「いいえ、いいえ、椿。ほんとに無理をいって・・・。」
自分のワガママのせいでこんなことになってしまって、と泣き崩れる牡丹さまになんと申し上げればよいか。
そう、それにこの娘は…。
ヒトのナリも今や辛い、わらわに【人】として産まれたこの娘を育てるのは難しいかもしれぬし、この娘のことを思えば。
「牡丹さま。椿が産んだわが娘を牡丹さまの三の姫としてお育てになってはくれませぬか?」
「え?」
「椿は、暫くはこちらに引きこもりきりになりましょう。わが娘を牡丹さまがお育てくだされば父の愛情も母の愛情も姉君たちからの愛情も受けられてこの子もきっと幸せだと思うのです。」
そして、わらわが産んだ娘は、わらわの強い妖力が宿っておるはず。
必ずや牡丹さまを・・・。ひいては大納言家を守ってくれるに違いない。
「椿。でも、あなたはほんとうにそれでいいの?寂しくはないの?」
「体が戻れば会いに行きます。どうかこの子を椿だと思ってお側に置いてくださいませ。」
にっこり笑う椿の顔をみて可愛らしい赤ちゃんの寝顔をみて、強く頷く牡丹。
ほっ。
なにより、娘の誕生に引け目を感じていらっしゃる牡丹さまがこれできっとお心安らかになられわらわが居なくとも張りができるに違いない。
わらわは妖狐。
いつまでも、牡丹さまのお側にいたいがわらわには成さねばならぬ大役がある。
牡丹さまに会いたくなればいつでも会える。
体力と妖力が回復したら、今度はこの屋敷から、牡丹さまを見守りながら妖狐族の繁栄のために尽力することにしようではないか。
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