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第五話 みんな楽しそうだな
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わたし くるくるリン 神様から迷える人間を救うように使命を授かったの
辛い溜息一つで あなたのもとにくるりん。
机の上は、今日中に片付けなくてはならない書類の山。
今日も残業か、毎日毎日仕事仕事。
これじゃ折角の月に一度の休日も寝てるだけで終わってしまう。
恋人もいない、気付けば30代。
人生こんなに乾燥していていいのだろうか?
テレビとか見れば、みんな恋に仕事に謳歌しているように見えるのに、俺一人が、つまらない人生を歩んでいるような気がする。
「はあ~、どこで俺の人生間違ってしまったんだろう」
「どうしたりん?」
「別に、愚痴っただけだ」
「そうりん」
随分舌っ足らずな声でしゃべる奴だ、こんなOLいたっけ?
俺は書類から視線を外し、声の方を見た。
「りんりん」
「うわっ」
可愛い女の子が、俺のデスクの上正座してこちらを見ていた。
なっなんで夜のオフィスに女の子がいるんだ?
誰かの子供か?
「君のお父さんは誰だ。全く仕事の邪魔しちゃ駄目だよ」
「ごめんりん。でも、おじさん大きい溜息してから、気になったりん」
そんなオフィスに響く程俺は大きい溜息をついてしまったのか。
「よかったら、くるくるリンに話してみるりん」
「別に、隣の芝生は青いなって思っただけだ」
「?」
リンは子犬のように小首を傾げた。
なんか、非常に心をくすぐられる可愛さだったので、もう少し噛み砕いてやろうという気になった。
「う~ん。何というか、自分は多分、幸せだと思うんだけど。
ふと周りの人を見ると、みんな自分より幸せそうに見えて、妬ましく思えてしまった」
「妬ましいの?」
「そう。でも人間だからしょうがないかな。どうしたって他人を見てしまう。
真っ直ぐ前だけを見ることが出来れば、人生迷いが無くていいんだろうけどね」
「そうなんだ。おじさん、前だけが見たいのね」
「そう。脇なんか見ることなく、まっすぐ自分の道を見たい。
まあ、そんなのよほど自分に自信のある奴でないと駄目だろうけどね」
「分かったりん。そのお願い叶えるりん」
「えっ?」
「くるくるくるくる、くるくるリン」
リンは、俺のデスクの上で突然、楽しそうに躍り出した。
踊り回り、天使の輪っかと翼が生えてくれる。
だが、そんなこたあ~どうでもいい。
大事な書類が散らばってしまう。俺は慌ててリンを取り押さえようとした。
「あなたのお願い」
「うごっ」
カウンターで、見事に遠心力が乗った膝蹴りを喰らってしまった。
衝撃で脳が揺れ、俺は一発で腰砕け、その場にへたり込んでしまった。
「ぴこっとはんまーーーーーーーー」
リンの手に、天井にまで届くドラム缶サイズの巨大なハンマーが表れた。
まって、それぴっことなんて可愛い名前で済まない。
「ズバッと、めりこめや」
「うごっごく」
ハンマーは振り下ろされ、脳天に直撃。
目の前にスパークが走って俺の首の骨は押し潰され。
顎が鎖骨に着くくらい頭部がめり込んだ。
「じゃあ、お願いは叶えたりん。
バイバイりん」
リンは笑顔のままにパーテーションを飛び越え消えていった。
俺に迷いはなくなった。
真っ直ぐ前しか見えない俺は、もう他人が何をしていても見えない。
見えないから、惑わされることもなくなった。
ただひたすら俺の道を邁進するのみ。
仕事、仕事、仕事。
前と同じことをしているはずなのに迷いなく打ち込める。
俺は真っ直ぐな奴だ。
ただ、横が向けないので車の運転は出来なくなってしまったが、
心の迷いが無くなることに比べたら、些細なこと。
間違った道を突き進んでも、他人と比較出来ないから分からない。
分からないから気にならない。
人間、欲を言ったらキリがない。
溜息なんかつかないぜ。
辛い溜息一つで あなたのもとにくるりん。
机の上は、今日中に片付けなくてはならない書類の山。
今日も残業か、毎日毎日仕事仕事。
これじゃ折角の月に一度の休日も寝てるだけで終わってしまう。
恋人もいない、気付けば30代。
人生こんなに乾燥していていいのだろうか?
テレビとか見れば、みんな恋に仕事に謳歌しているように見えるのに、俺一人が、つまらない人生を歩んでいるような気がする。
「はあ~、どこで俺の人生間違ってしまったんだろう」
「どうしたりん?」
「別に、愚痴っただけだ」
「そうりん」
随分舌っ足らずな声でしゃべる奴だ、こんなOLいたっけ?
俺は書類から視線を外し、声の方を見た。
「りんりん」
「うわっ」
可愛い女の子が、俺のデスクの上正座してこちらを見ていた。
なっなんで夜のオフィスに女の子がいるんだ?
誰かの子供か?
「君のお父さんは誰だ。全く仕事の邪魔しちゃ駄目だよ」
「ごめんりん。でも、おじさん大きい溜息してから、気になったりん」
そんなオフィスに響く程俺は大きい溜息をついてしまったのか。
「よかったら、くるくるリンに話してみるりん」
「別に、隣の芝生は青いなって思っただけだ」
「?」
リンは子犬のように小首を傾げた。
なんか、非常に心をくすぐられる可愛さだったので、もう少し噛み砕いてやろうという気になった。
「う~ん。何というか、自分は多分、幸せだと思うんだけど。
ふと周りの人を見ると、みんな自分より幸せそうに見えて、妬ましく思えてしまった」
「妬ましいの?」
「そう。でも人間だからしょうがないかな。どうしたって他人を見てしまう。
真っ直ぐ前だけを見ることが出来れば、人生迷いが無くていいんだろうけどね」
「そうなんだ。おじさん、前だけが見たいのね」
「そう。脇なんか見ることなく、まっすぐ自分の道を見たい。
まあ、そんなのよほど自分に自信のある奴でないと駄目だろうけどね」
「分かったりん。そのお願い叶えるりん」
「えっ?」
「くるくるくるくる、くるくるリン」
リンは、俺のデスクの上で突然、楽しそうに躍り出した。
踊り回り、天使の輪っかと翼が生えてくれる。
だが、そんなこたあ~どうでもいい。
大事な書類が散らばってしまう。俺は慌ててリンを取り押さえようとした。
「あなたのお願い」
「うごっ」
カウンターで、見事に遠心力が乗った膝蹴りを喰らってしまった。
衝撃で脳が揺れ、俺は一発で腰砕け、その場にへたり込んでしまった。
「ぴこっとはんまーーーーーーーー」
リンの手に、天井にまで届くドラム缶サイズの巨大なハンマーが表れた。
まって、それぴっことなんて可愛い名前で済まない。
「ズバッと、めりこめや」
「うごっごく」
ハンマーは振り下ろされ、脳天に直撃。
目の前にスパークが走って俺の首の骨は押し潰され。
顎が鎖骨に着くくらい頭部がめり込んだ。
「じゃあ、お願いは叶えたりん。
バイバイりん」
リンは笑顔のままにパーテーションを飛び越え消えていった。
俺に迷いはなくなった。
真っ直ぐ前しか見えない俺は、もう他人が何をしていても見えない。
見えないから、惑わされることもなくなった。
ただひたすら俺の道を邁進するのみ。
仕事、仕事、仕事。
前と同じことをしているはずなのに迷いなく打ち込める。
俺は真っ直ぐな奴だ。
ただ、横が向けないので車の運転は出来なくなってしまったが、
心の迷いが無くなることに比べたら、些細なこと。
間違った道を突き進んでも、他人と比較出来ないから分からない。
分からないから気にならない。
人間、欲を言ったらキリがない。
溜息なんかつかないぜ。
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