この異世界で盗賊は不遇職?!~気付けば天下の大義賊と呼ばれるまでになった男の成り上がり異世界譚~

眼鏡羊

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プロローグ 物語の始まりは間違いから

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「・・・・・・・・さい」


「・・・・・起きなさい」


・・・ん?何か聞こえる、まっいいかなんか眠いし


「~~ッ!いい加減、起きなさいって言ってんでしょ!」 

突然、目の前に星が舞う 

「痛っ!!何すんだよ!」

俺が痛みで目を覚ますと、金髪の女が碧色の瞳で俺を見下ろしている。ストレートの髪を肩のあたりまで自然と伸ばした綺麗系美人だ。


「はぁ~、やっと起きた。はい、じゃあさっさとそっち並んで!」

「はぁ?」

「質問は受け付けないわ、時間の無駄だから」

そう言うとその女は、テーブルの方に向かい書類を手に取った

「はいっじゃあそっちの端の魂の方から順番に私の前に来て」

俺は、訳も分からず女に詰め寄った

「おいっ!ここは、どこなんだよ!それに俺は何でこんな所にいるんだよ!おいっなんとか言えよっ!」

「うっさいわね!私の仕事の邪魔しないでよ!それにさっきも言ったけど質問は無しよ。私、無駄な事が嫌いなの」

「なっおい」

「はいはい、うるさい うるさい。いいからあんたも列の後ろに並びなさい。」

女はしっ、しっ、と俺を追い払う様に手を振った 

それにイラッとした俺は女に詰め寄ろうとした
しかし、俺は急に後ろに吹き飛び、ちょうど女の前にあった列の最後方に飛ばされた

「なっなんだ今の?」

俺は訳も分からず女の方を見る

「何度も言わせないで、質問は無し。いいから列の後ろに並ぶ!今の時点で私はあんたの為に無駄な時間を3分も過ごしてんのよ!最初に言ったと思うけど、私無駄な事が嫌いなの、わかったらそのまま、静かに!大人しく!口を開かないで待ちなさい!」

俺は女の勢いに押されつい、「あっ、ああ分かった」と言ってしまった

女は「はぁ~、今のでまた30秒は・・・・」と、ぼやいているのが聞こえる

怒鳴られて少し落ち着いた俺は周りを見回してみた
そこには壁、床、天井、家具に至るまで真っ白な部屋であった

不思議に思いながらも俺は自分が何故ここに居るのか思い出そうとする。

「ん~~~?あれっ?・・・何も思い出せん。
いやっなんか、思い出せそうな・・いややっぱダメだ」
思いだそうとしても何も思い浮かばない

「はいっ!次ッ!」

「おっ」

気づけば列は、俺を含めて3人になっていた

そこまで近づくと女の言ってる事が聞こえてきた

「はい、さっさと書類見せて。う~ん、はいっ!問題無し
あなたは獣人族に転生ね。あっちのドアを開ければいいから、分かったらさっさと動く!」
そう言うと女はいつの間にか出来ていたドアを指差した。

女に告げられた男はドアの方に向かいノブを回し開けると向こう側に吸い込まれるように消えていった
男が消えると、自然とドアが閉まり淡い光に包まれた

光が収まると、ドアは消えていた

「???」

俺の頭はクエスチョンマークで一杯になった

転生?なんの事だ?

聞きなれない言葉に俺は首を傾げた

「はいっ!次ッ!さっさと書類出す!さっきから流れ見てんでしょ、言われなくても出しなさいよ!・・・はいっ!
問題無し!あんたは魔族ね、はいじゃあさっさと行く!」

再びドアが現れ先程と同じように消えていった

「ふぅ~、やっと最後の一人だわ。はいっあんたもさっさと書類出して。」

女は面倒くさそうに俺に言った

「なぁ、書類ってなんだよ。俺、そんなのもらってないぞ」

「はあ~、あんた何言ってんの?」

女は呆れた顔をしている

「そんなわけないでしょ、じゃああんたはなんでここにいんのよ。書類が無ければこの部屋に入れるわけないじゃない。」

「いや、そう言われたところで、持ってないもんは持ってないんだよ。なぁ、そんな事よりもう俺一人なんだし、質問に答えてくれよ」

女は少し考え、高圧的な態度で
「分かったわ、3つだけ質問させたげる。いい3つだけよ」

「おお、ありがと。じゃあまず、お前誰なんだよ?」

「はあ~、あんた何言ってんの?そんなの天使に決まってんでしょ、天使。」

「・・・お前、頭大丈夫か?それともあれか、自分は天使みたいな存在だと思ってる残念な奴なのか?」

俺がそう言うと返事の代わりにキレッキレの動きでレバーブローを打ち込まれた

「ぐふぉっ!」
あまりの痛さに転げまわった

「誰が残念な奴よ!私は本物の可憐で可愛い天使よ!あんた私の頭の上の輪っか見えないわけ!それに背中にも羽が付いてんでしょ!」

俺はようやくダメージから回復すると、女の頭の上を見た

「えっ?!確かに輪っかがある・・・。それに、よく見りゃ背中にも羽が付いてる・・。えっ?本物なの?コスプレじゃなくて?」

それを聞いた女は、再びキレのある動きで寸分たがわず同じ場所にレバーブローを打ち込む

「ごふぁっ!」

「コスプレじゃないに決まってんでしょ!私は本物の天使!天使のレイリスよ!」

「じっ、自己紹介どうも、くそっなんだよ天使って。
天使って普通もっと優しいんじゃねぇのかよ。」
前半は聞こえる様に、後半は呟く様に言ったのだが、自称可憐で可愛い天使様には聞こえていたらしく、再びレバーブローの体制をとっている

「いや、悪い!俺が悪かった。だからとりあえずその黄金の右を引っ込めてくれ。なっ?」

俺が慌てた様に言うと「チッ」と明らかに聞こえる様に舌打ちして、拳を引いてくれた

「私が本物だと理解したところで、さっさと2つ目の質問に行きなさい」

「あっ、ああ。じゃ、じゃあこの部屋は何なんだ?さっき転生がどうのこうのとか言ってたけど、というかそもそも転生って何だよ?」

「それが2つ目?というかさりげなく2つ質問してんじゃないわよ!はぁ~、まぁいいわ。ここは転生部屋よ。あと転生っていうのは、死んだ人間が、生まれ変わる事よ」

「へ~、転生部屋ねぇ・・・・おい、ちょっと待て死んだ人間が生まれ変わる?えっ?えっ?じゃあ俺ここにいるって事は俺も死んだって事か?」

「そんなの当たり前じゃない。ここに来れるのは死んだ人間の魂だけよ。そんなの常識じゃない、あんたこそ頭大丈夫なの?」

「大丈夫だよっ!いや、そんな事よりも、えっ?俺何で死んだの?」

「そんなの私が知るわけないじゃない。私は、あくまでも転生神様に仕える、1天使なのよ。下っ端よ、下っ端。死んだ人の死因何て知るわけないじゃない」

「え~、何だよ下っ端だったのかよ」

「何?悪い。いくら下っ端でもね、私は天使なのよ!
崇め奉りなさい!それに今日は、転生神様が神様達の会合でいないから、私が実質の責任者『転生神代行』なのよ!」

「ふ~ん」

「いやっ、あんたそこはもう少し驚きなさいよ。神の代行者よ、代行者」

「普通は凄いんだろうけど、なんか今迄のお前見てきた上で、神の代行者とか言われてもなんか、だから何?みたいな感じになんだよ。」

そうを聞くとレイリスは俯き震えだした

「えっ?!いやっごめん!悪かったって。だから泣くなって。」

俺がそう言うと、レイリスはガバッと顔を上げて

「ないでなんがないもん!」と目元が赤くなった顔で言い出した

「いや、目元赤いじゃん」

「赤くない!もともとよ!」

「その言い訳は、結構無理があるぞ」

「うるさい、うるさい、もう本当に怒った!あんたなんて、ミジンコよ!私の権限でミジンコに転生させるわ!」

「はあ?!何、言ってんだよ!お前はあくまでも代行なんだろ?他の人がお前に書類見せた時に次の転生先が決まってたって事は、俺も決まってるって事だろ!代行程度の権限で変える事が出来るわけないだろ!」

「ーッ!」

レイリスは俺がそう言うと図星なのかますます顔を赤くして震えている

「・・・・わかったわ。流石にミジンコは言い過ぎたわ。
その代わりにレバーブロー十発で許してあげるわ。さぁさっさと、バンザイしなさい、一発であの世に送ってあげるわ。」

「いやっ、もうここあの世だよ!しかもなに、十発ってことは、さっきの言い方なら十回死ねってことだよ!何この天使マジ怖い!」

「いいからおとなしく、なぐ」

俺が天使の手で、いや拳で地獄に落ちそうになった時だった

パサッ

俺の服の下から一枚の紙が出てきた

俺はそれを拾ってレイリスに見せた。

「なぁ、レイリスこれって」

「?なによ、あんたやっぱ書類持ってたんじゃないの。
なんでさっさと出さないのよ。書類がないってとこからのくだり無駄じゃないの。」

「いや、くだりとかいうなよ。世界感大事にしようぜ。」

「はあ、ほんと時間の無駄だったわ。現金で返して欲しいぐらいよ。」
 
「いや、もうほんといいんで、書類があったんならさっさと進めてくれよ。」

「まあ、いいわ。さて、どれどれ・・・なによこれ殆どなにも書いてないじゃないの!」

「えっ?」

「まず、名前が書いてないでしょ。それにパラメーター系が、全部【未測定】になってるし、次にスキルの欄これも
【未選定】になってるじゃない。それなのになんで転生後年齢が【17歳】で固定されてるわけ?、あと種族も人間って決められてるし。」

「いや、レイリスごめん。俺、今お前が言った中じゃ名前と年齢の事以外わかんないんだけど?」

「はぁ?!あんた、なに言ってんのそんなの『能力選定』
の時に・・・・ねぇ、あんたそもそも『能力選定』って何か分かる?」

「いや、全然分からん」

「えっどういう事?転生する魂、特に地球から異世界に転生する時は、絶対一つ一つの魂が受けている筈よ」

「待て!今聞き捨てならない言葉があった。異世界ってなんの事だ?俺は地球に転生するんじゃないのか?」

「あんた、今更何言ってんのよ。ここは、異世界専用の転生部屋よ。ここに魂が送られて来たって事は、あんたは異世界に転生する事に対して自分で了承したって事なのよ?」

「はあぁ?!何だよそれ、俺何も了承した覚えなんてないぞ!・・・ん?いや、ただこの部屋から出ればいい話じゃないか。」

「それは、無理ね。もう遅いわ、この部屋に入った時点で、魂が異世界に対して順応しだすから、その状態で変に部屋の外に出ようとすれば、魂そのものが壊れる可能性があるわ。そうなったら転生どころの話じゃなくなるし。
魂自体が壊れると存在がなかった事に、つまりあなたはこの世界に生まれて来なかったことになるわ。ちなみにそうなったら神をもってしても魂の修復は不可能よ。」

「そっ、そんな馬鹿な話があるかよ」

「でも、それが現実なのよ。つまり貴方が選べる選択肢は
もう1つしかないのよ。」

「はぁ~、なんでこんな事になってんだよ。」

「まぁ、私から言えることは、うじうじしてねぇでさっさと異世界行けよって事だけよ。」

「けっこう酷いなお前・・・、にしても異世界か、なぁ俺がいく世界ってどんなとこなの?」

「聞かれてもわからないわ。だってそれも書いていないんですもの。」

「えっ?!じゃあ俺、全く知らない世界に知識なしで転生するのか?」

「まぁ、異世界なんてどこも基本は同じよ、科学よりも、
剣や魔法に特化してるの、だからどの世界も文化レベルは
地球の中世のヨーロッパぐらいな事が多いわね。
後は・・・そうね、どの世界にも大体冒険者ギルドがある筈よ。」

「冒険者ギルド?なんだよそれ。」

「えっ?知らないの、地球の日本では、今そんな本だったりゲームとかが流行ってるんじゃないの?」

「さぁ?俺は本は、殆ど読まねぇからなぁ、ゲームも中1ぐらいからやってねぇしな。」

「本はともかく、ゲームもしないなんて・・・あんた絶対
携帯ガラケーでしょ?」

「ああ、そうだよ。よくわかるな。」

「まあ、パターンみたいなもんよ」

「で?結局冒険者ギルドってなんなんだ?」

「簡単に言えば、職業紹介所みたいなものと考えてくれたらいいわ。」

「ふ~ん」

「後は、いる世界といない世界があったりするけど魔王がいたりとか、かな。」

「えっ?魔王なんているのかよ。」

「ええそうよ。怪しい自称魔王じゃなくて、正真正銘本物の魔王よ。まぁ、でも魔王がいる世界には大体勇者が、いるから大丈夫よ。」

「ははっ、勇者に魔王とか本当に異世界っぽいな。」

「まぁね、さてそろそろ向こうに行く決意は固まった?」

「まあ、そりゃな。魂が壊れるなんて言われたら誰でも 
そっち選ぶだろ。」

「まあ、そうでしょうね。さて、さっさと追い出したい所ではあるんだけど問題はまだあるのよね。」

「他にまだ、何かあるのか?」

「ええ、さっきはさっさと行け、何て言ったけど実際の所まだあなたが行く世界は、まだ決まってないのよ。」

「どういうことだ?」

「普通、魂の転生っていうのは、その人の魂の資質を見てこの書類の項目を埋めていってようやく行き先が、決まるものなの。だからあなたみたいに、書類が埋まってない魂は普通転生できないのよ。」

「えっ?そうなのか。」

「そうよ。だから普通死んだ後、その資質を測るための準備期間がある筈なのよ。そして、その期間で魂の資質を色々測って書類を埋めると自動的に行き先が決定するの。」

「自動?さっき言ってた転生神様が決めてるんじゃないのか
?」

「昔は、そうだったんだけどここ十年ぐらいで急激に死者の数が、増えて転生神様だけじゃ対応出来なくなったのよ。だから、他の異世界の神様と協力して自動的に決定すら神のシステムを、作り上げたの。この書類はそれを決定する為の大切な情報なのよ。」

「ふ~ん、そういうもんなのか。ん?じゃあさっき、レイリスは書類を見ながら何してたんだ?」

「私は、最終チェックよ。項目がきちんと埋まっているか
確認したあと、大丈夫であれば『転生神代行』の権限で
転生のドアを出す役目なのよ。」

「へ~、ちゃんと仕事してたんだな。列の後ろから見てて適当にやってんのかと思ってたよ。」

「何、あんたまた殴られたいの?」
そう言ってレイリスは、俺を睨みながら拳を握る 

「いっ、いやちがうって!俺が悪かったって。
・・・はぁー、しかしじゃあ俺は、どうすればいいんだ?
この部屋から出られないんだろ?」

「この部屋にいた天使が私以外だったらどうしようもなかったでしょうね。」

「どういうことだよ?」

「何言ってんの?全ッ然、違うわよ!まぁ簡単に言えば
何でもこなせる、超エリートってことよ。」

「エリート?じゃあさっき言ってた何とか測定って奴も出来るのか?」

「当たり前じゃない、エリートだもの。」

「いやっ、何でそこまでエリートにこだわってんかわかんねぇよ。・・・まぁいいか、じゃあ俺は何をすればいいんですか?エリート様。」

「なんか、言葉に棘があるわね。まぁいいわ、じゃあちょっとそこに立って。」

「こうか?」

「はいっ、じゃあそこで3分ほど動かないで、静止した状態でいて。動くときちんと測れないから。」

「えっ?3分も!」

「いいから動かない!いくわよ。」

そう言うとレイリスは両手の掌が、こちらに見えるように突き出した

・・・3分後

「はいっ、もういいわよ楽にして。」

そう言われ俺は、尻餅をつくように座り込んだ

「で、どうなんだ?」

「ん?まぁ平均よりちょっといいかな、ぐらいね。そこまで特別高いわけじゃないわ。」

そう、俺に告げるとレイリスは、テーブルの方に移動し、
引き出しの中から袋を取り出した

「はいっ、この中から一つだけ選んで。」

「なんだ、これ?」

「転生者用のスキル玉よ。まぁ、ほんとはどれ選んでも一緒なんだけどね。」

「一緒?」

「そう、スキル玉自体は全部一緒で、選ぶと同時にその人の魂を読み込んで才能のあるスキルを一つ、転生した時点から持つ事ができるのよ。」

「それ、選ばせる必要ないだろ・・・」

「気分よ、気分。はいっ、さっさと選ぶ!」

俺は渋々袋に手を突っ込み一つ玉を袋から取り出した

次の瞬間、掌に激痛が走る。あまりの痛さに膝を折る
呼吸も止まるほどの激痛に耐えていると不意に痛みが引く。だがそれでは終わらない。痛みが引くと同時に今度は
まるで掌を直接鉄板に掌を押しあてた時の様な熱さが掌全体に広がる。しかも玉に触れてもいないはずの左手にも先程感じた激痛が襲う。

どれほどたっただろういつまでも続くと思われた地獄の様な痛みと熱さは嘘のようになくなっている

俺は息も絶え絶えになりながらレイリスを仰ぎ見た

「はぁ、はあ、はあ、レッ、レイリスなんだこの痛みと熱さは本気で死ぬかと思ったぞ。」

レイリスは慌てたように答える

「しっ、知らないわからないわよ!今までこんな事は一度もなかったのよ。今まで何万人と見てきたけど他の人は袋から取り出すと玉から光が出てきて、その人の体に吸い込まれて終わりなのよ。」

俺は、息を整えながらレイリスの様子を伺う
レイリスの表情は本当に知らないといった感じでこちらを心配そうに見ている。

「はぁ、はあ、ふ~。なんとか落ち着いたか、しかし上位天使でもわからないとなると。さっきのあれはなんだったんだ?」

「わからないわ、でもこの玉から貰えるスキルにマイナスな物はないはずだから 、これであなたにもスキルが宿ったはずよ。」

「はずって言うのは勘弁してくれよ。さっきの痛みで何も
ないって言われたら、流石に俺も本気で怒りそうになるだろ。」

「そ、そうよね。まぁこれでスキルを取得できたわ。あとは・・・名前ね、前世の名前とか覚えてる?」

「ん~、いや、全然思い出せん。」

「そう、それは困ったわね。う~んなんか希望とかある?」

「いや急に言われても思いつかねーよ。・・・そうだレイリス、決めてくれよ。」

「えっ、私が?本当に良いの?」

「ああ、頼むから変な名前付けるなよ。」

「ハードル上げないでよ。そうね・・・・」
レイリスは少し悩むと、名案が浮かんだように俺に言ってくる

「・・・ウェスト、ってどう?私が好きな下界の本に出てくる人物の名前なんだけど。」

「ウェストか、・・・じゃあそれでいいや。俺は今から
ウェストだ。」

「本当にいいの?あなたのこれから名乗る名前なのよ?
後悔しない?」

「しねーよ。レイリスにつけてもらった名前だしな。」

俺はそう言い、笑いながらレイリスを見た
するとレイリスは、少し目を見開き、少し頬を染め俺を睨む

「なに、調子いい事いってんのよ、もうっ・・。」

「まぁ、いいだろ。それより、これで全部の項目は埋まったんだろ?この後俺は、どうすればいいんだ?」

「ちょっと待ってね。今最終チェックするから。
・・・うん、問題なしね。さて、これで転生の準備は終わりよ。」

そう言い、レイリスは指をパチンッと鳴らした
すると見覚えがあるドアが現れる

「さぁ、心の準備はいい?あのドアをくぐれば、もうそこは異世界よ。・・・まぁ精々今度は長生きしなさい。」

「おう!ありがとなレイリス。最初は、いやな奴かと思ってたけど、今じゃ担当がお前で良かったと思うよ。」

「もうっ、なに馬鹿言ってんのよ。ほらっ準備できたんならさっさと行きなさい。」

「ああ、じゃあなレイリス。短い時間だったけど楽しかったぜ。不安もあるが、転生するからには楽しい人生になる様に頑張るよ。」

そう言って俺はドアの方に向かった
だが、ドアノブを回そうとした時、レイリスに呼び止められる

「・・・ちょっと待ちなさい。餞別をあげるわ。」
 
「餞別?」

「いいからさっさとこっちに来て私の横に並ぶ!」

俺はそう言われ大人しくレイリスの横に並ぶ

「なぁ、なんかくれんのか?」

「いいから私の後に続きなさい。まずは足を肩幅に開く。」

「お、おう。えっと足を肩幅に開く。」

「そして、左脚を一歩踏み出して膝を軽く曲げる。
この時右腕のひじを脇腹に当てて拳は、顎の位置に持ってくるのよ。左腕は拳が自分の目線の高さに来る様に構えなさい。」

俺は素直に従う

「そして左足に重心を移動させながら左肩と腰を左後ろのほうにひねるのよ。それと同時に左脇をしめて、拳は腰あたりにそえる感じで構える。
上体を少し前かがみにして、体の軸を中心に腰を右にひねりながら・・・。」

「ひねりながら・・・。」

「えぐるように敵の肝臓(レバー)を打つ!!」

「レバーを打つ!!・・・へっ?」

「これがさっきあんたを苦しめた『レバーブロー』よ。」
そう言ってレイリスは胸を張った

「これが、餞別?」

「そう、餞別。私がここ一番って時によく使う技よ。」

「え~、餞別って、普通なんか物とかじゃねえの?」

「なに言ってんのよ、そんな物都合よく持ってるわけないでしょ。」

「まぁ、そうかもしれないけど・・・なんだかなぁ」

「いいから、ぐずぐす言わずさっさと反復練習する!
ドアが消えるまで30分はあるわ、その間にマスターしなさい!」

「お、おう」
俺はそう言うと何度も仮想敵のレバーを打つ

「ほらっ、体に余計な力が入ってるわよ」

「あぁ、悪い、えっと体の力を抜いて・・・・・」

・・・・・20分後

「うんっ、何とか形になったわね。この技で世界をいや、異世界を制しなさい!」

「いや、俺普通の生活がいいんだけど・・・」

「いいからっ!レバーを制する者、世界を制すよ。
ほらっわかったらさっさと行きなさい。」

「おっ、おう、まぁ頑張るよ。じゃあ今度こそお別れだな。」

「私が直々に教えてあげたんだから簡単に死ぬんじゃないわよ。」

「ははっ、まぁ簡単に死ぬつもりはないさ。さて、行くよ
・・・ありがとな。」

「頑張んなさい。」

そう言ったレイリスを見て俺はドアをくぐり異世界に向かった
・・・・・・・・・・・・・

「ふぅ~、・・・変な奴だったけど、まぁ悪い奴じゃなかったわね。」

そう言いながらレイリスは背もたれに寄りかかった

ふと、あの時見せたあいつの笑った顔が浮かんだ

「・・・ほんと、変な奴」
レイリスは頬を染めながら呟いた


バンッ!
次の瞬間前触れもなく部屋のドアが勢いよく開いた

「レイリスッ、ここに黒髪で17歳ぐらいの魂がこんかったか!」

「へっ?」

レイリスがそう言いながらドアの方を見ると
ドアを勢いよく開けて入って来たのは

転生神だった
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