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第1章 何故森なんですか!
第3話 生き抜くために
しおりを挟むポトッ
「・・・・ん・・・」
俺は、頬に落ちた朝露で目が覚めた
「そうか・・・いつのまにか、寝てたのか。」
岩に寄りかかって寝た為か、体が痛む。体をさすりながら立ち上がり深く息を吸うと、朝の森特有の清々しい空気と木の香りがする。
目の前を見れば昨日のままあいつがいる。
その姿は痛々しいまでの爪痕が残っているが、その身が持つ神聖な空気感は何一つ失われていない
「・・・・・・・」
今でも信じられない、あいつが、俺に死を覚悟させた程の相手が自分の目の前で死体となって存在している。
「しかし、こいつどうしようか・・・」
今まで読んだ小説だと魔物などを狩るとその人達は死体から素材を剥ぎ取っていた。
だが、俺にはその術もない。それにたとえその術を持っていたとしても、命を奪おうとした相手が、死してもなお放つその雰囲気に手を出そうとは思えなかった。
「・・・・・・・」
でも、たとえ死んでいるとしても、このような存在をこのままにしておくには忍びない。
俺は、どうしようか悩みながらあいつに近づく
「・・・すげぇ」
近づいてみて、改めて実感する。その雄大さ、強さと美しさを合わせ持つ者だけが放てるその空気、あれほど怖かった爪や牙でさえも美しいと思える。
触れてみたい、俺はゆっくりとその毛並みに触れようとする
「ーッ!」
あと少しというところで俺は飛びのいた
死んでいる筈のその巨体からとてつもない殺気を感じたからだ
次の瞬間その巨体は、青白い炎を上げながら燃え出す
「なっ、なんで!」
その青白い炎はその巨体を燃やし尽くすと何かを形取っていく。その形がはっきりすると、そこには全身が炎で造られたあいつがこちらを睨んでいた
動けない、動いてしまえば殺される、そう思えるほど炎で形造られた狼は生前の力強さがあった
炎に浮かぶ金色の瞳がこちらを品定めでもしているかの様に見据えている。
目が反らせない
反らせば何か大事な物を失いそうな気がして
不意に炎の狼は空を見上げ天高く吠える
それは、美しく、力強い 王者の咆哮
狼はこちらを、ちらりと見ると不意に空に駆け出し空の彼方に消えていった
ドサッ
全身から緊張が抜けると俺は、空を見上げたまま尻餅をつく様に座り込んだ
すごい・・・
ただその一言に尽きる。あんな存在などもうこの世にいないだろうと思えるほどに
ふと、視線を落とすとあいつが横たわっていたあたりに何かがあるのが見えた
それはあの狼の長い尻尾と口から見えていたあいつの長い二本の牙であった
燃え残ったのか、あいつがわざと残してくれたのかそれとも情けをかけてくれたのかは、わからない
俺は、それを拾い上げて驚く
牙には、あいつの強さが鋭利さとなって存在し、尻尾には、あいつの美しさが変わらず残っている
・・・俺にこれを持つ資格があるんだろうか?
あいつと対峙した時、逃げる事しか出来なかった俺が・・
「・・・・強くなろう。」
あいつが俺にこれを残してくれたのかはわからない。それにこれを持つ資格もないかもしれない。でもあいつが、空に駆けていく時その金色の瞳で俺に何か語りかけていたような気がする
だから俺は強くなる。あいつと、あの狼と同じぐらいに、あの強さの頂の領域にたどりつけたなら、あいつの瞳が俺に語りかけていたことがわかるようになると信じて
異世界に来て2日目の朝、そんな決意を固めた俺は、異世界の森を歩き出す・・・
◇
それから2時間後
俺は、歩きながら考えを纏めていた
第一に考えた事は住居の確保である
昨日は、外で寝てしまったが流石に何がいるか分からない
森で寝るには不安がある
俺は、水を飲みつつ周りを確認しながら進む。今の俺は、ナイフを持っているとはいえその使い方を心得ているわけではない。今襲われれば終わりだと思いながら周りに注意をはらいながら歩みを進める。
歩きつつ俺は考えていた
一番いいのは洞穴のようなある程度奥行がある場所だ
どう考えたってあんな巨大な狼が平然と存在している森に
街や村など存在しないだろ
「はあ、はあ、やっぱり歩き慣れてないときついな。」
そう呟きながら俺は、周りを確認する。しかし、景色にほとんど変わりはない
ふと、足元を見ると真っ白な植物が目に入った
「しかし、この森の植物は変な色とか形の奴しか存在しないのか?」
俺は、なんとなくその植物を眺めつつこれなんて名前なんだろうなどと考えた
すると、体から何かがなくなるような感覚がして頭に情報が浮かんだ
ーーーー
白薬草 レア度4
・通常の薬草より回復効果がかなり高い。そのまま食べても効果がある。中級回復薬を作る際に必要な材料の一つ。
森の奥にしか自生しない上に、ある魔物の好物であるためなかなか入手しにくい
ーーーー
「なっ、なんだこれ?こんな色してるのに薬草なのかこれ。」
薬草とは、本当に異世界にきたんだと思いつつ、突然頭に浮かんだ情報に困惑する
・・・思い当たるのは昨日入手したスキルの内の一つ
即席鑑定(仮)だろうか、そう思いつつ俺はステータスのスキルの部分を確認した
【補助スキル】
即席鑑定(仮) (10→9)
数が減っている。やはり思った通りだったらしい
「しかし、なんでスキルが使えたんだろ俺使い方よくわかってないんだけどな。」
そう呟きつつ考えを巡らす
・・・確かこの情報が表示される前俺は、この薬草に対して『これ何て名前だろう』と考えた
・・・もしかしてこのスキルは知りたい物に対して疑問を持つことで発動するのだろうか
「あっ!じゃあ・・・」
俺はある考えが浮かび試してみた。すると頭に情報が浮かんでくる
ーーーー
【戦闘スキル】
・弓士術 Lv.1 (0/100)
・基本戦闘スキルの一つ。このスキルを得ると弓を射った
際、命中、方向、威力に補正が掛かる。
命中、方向、威力、各+10%補正
ーーーー
「おおっ!上手くいった。」
どうやらステータスに表示されているスキルに対しても有効のようだ
俺は続いて解体術、造形、狩人の感覚に対して鑑定を使用してみる
ーーーー
【補助スキル】
・解体術 初級 (0/1000)
・ランク2までの魔物の素材の剥ぎ取りに対しての情報を得ることができる。このスキルがなくても解体自体は誰でもできるが、あるのとないのでは素材の売却価格や剥ぎ取りの綺麗さに差が出る
ーーーー
ーーーー
【補助スキル】
・造形 初級 (0/1000)
・武器、防具、素材に対しての知識を得ることができるスキル。制作の際にも補正がかかる。職人になるのであれば是非持っておきたい。
ーーーー
ーーーー
・狩人の感覚 Lv.1(35/200)
・所持者に対する敵意、危機に対して警告を送るスキル
また所持者が戦闘を行う際、敵が勝てる相手であるかどうかそれとなく分かる。
ーーーー
「うん、自分の持ってるスキルがどんな物か分かれたのはでかいな。」
スキル選択の時には少ないと思ったが情報を得てみると意外とどれもが当たりのようだ
俺はふと思いつき、あいつの尻尾に対して鑑定をかけた
ーーーー
?????の麗尾 レア度??
注 素材に対して鑑定の格が違いすぎるため、情報が表示出来ません
ーーーー
・・・格が違うってあいつやっぱり凄い奴だったんだな
この感じだと牙に鑑定をかけても同じく情報は表示されないだろう
「はぁ、決意固めた筈なのになぁ、鈍る事はないけど壁は高そうだなぁ」
そう言って歩き始めてすぐだった
ずっと考え事をしていて足元の注意が疎かになっていた。
踏み出した右脚にはある筈の地面の感触がない
「うおぉぉぉぉぉぉ、やばいっ!この高さは流石に・・・
死・・・・んでない?」
俺は、突然の浮遊感に身構えながら迫る地面と衝突するものとばかり思っていたが、何時までたっても硬い地面の感触と痛みがない。それどころかなんというか、柔らかい物の上に落ちたような気がする。
俺は、恐る恐る目を開ける。すると視界一杯に茶色が映る
「?、なんだこりゃ?」
次の瞬間、茶色い生き物は突然の衝撃に驚き暴れだした
「うおっ、ちょっ、まっ・・・・ごふぁ!」
俺は、その生き物から振い落されもろに背中から着地してしまう。何とか立ち上がろとすると頭に逃げろっと言われた気がする。俺は、とっさに右にダイブする様に飛び込んだ
「はあ、今のがスキルの効果って奴か・・なんだこいつ?ネズミ、か?」
まだ少し痛む背中をさすりながら前方を見ると全長2メートルぐらいはあろうかという茶色のネズミ?がいる
そいつはその大きさとは裏腹につぶらな瞳でこちらの様子を伺っている。一瞬その瞳に敵じゃないのか?と思ったが
先程スキルが発動した以上こちらに敵意を向けていることになる。
俺は、こいつの情報を知ろうと鑑定を使う
ーーーー
・穴熊ネズミ ランク2 Lv.3 HP(120/120)
【戦闘スキル】
・必殺前歯 Lv.2 ・鼠毒(効果 麻痺) Lv.1
【補助スキル】なし 【常時発動スキル】なし
・大陸全土に分布し、ゴブリンの次に多い魔物とされている。名前の通り穴を掘る修正があり地面もしくは硬い岩石の壁に穴をあけ巣を作る。最大の特徴はその鋭い前歯であり、硬い岩石も易々と砕ける。更に体内に特殊な病原菌を飼っておりそれが生物の体内に入ると、強力な麻痺作用を生む。
その反面スピードはそんなに早くない為少し戦闘経験がある者なら苦労せずに倒せる
食性は肉を好み、その為毎年多くの人間が犠牲になる。
ーーーー
・・・最悪だ、最悪のタイミングで魔物に出くわしてしまった。どうする?鑑定じゃそんなにスピードは、早くないとは言っているが俺のステータスで、勝てるかと言われれば不安しかない。
俺と穴熊ネズミの睨み合いは続く、周りを見てみればこいつ1匹のようだ
俺は、視線を外さないようにしながら後手にカバンを探り
ナイフを取り出す。
「くそっ!ナイフ持ってたってどうしろってんだよ。喧嘩も碌にした事ねえんだぞ。」
俺がそう言った瞬間穴熊ネズミは躍りかかってきた。
俺はそれを『狩人の感覚』で察知し、余裕を持って左に飛ぶ。
穴熊ネズミは俺が避けた事に驚いたようだがすぐに体勢を立て直し。次の攻撃のチャンスを伺う
「はぁ、はぁ、スキルで相手の攻撃がある程度は読めるが、このままじゃST切れで殺られかねん。」
俺は、意を決して突っ込んだ。穴熊ネズミは、それを待っていたが如くキンッと歯を打ち合わせると口を開け俺に迫る。
そのスピードは確かにそんなに早くない、俺はあいつのスピードを経験してる。それに比べれば何て事はない、迫る敵に対し、ギリギリのところで身をかわすとすれ違いざまに腹を切り裂く。
「キーッ!」
思わぬ反撃に穴熊ネズミが恨みがましそうに俺を睨む
「意外といけるもんだな。しかし、感触的には深く傷つけたつもりだったがまだ動けそうだな。」
俺は、使い慣れてきた鑑定で奴のHPを確認する
ーーーー
・穴熊ネズミ ランク2 Lv.3 HP(86/120)
ーーーー
「良しっ!ちゃんと減らせてる。説明の通り意外と苦労せずに倒せるのか?」
そう思いながらも気は抜かない。奴が痺れを切らし飛びかかって来たところで同じ要領で今度は逆の腹を切り裂く
「はぁ、はぁ、今のも恐らく同じぐらいダメージは通せた筈だ。後もう少し。」
恐らく奴のHPも半分を切っただろう。いける、やはり俺の方がLv.では下でもステータス的には上らしい
俺は、また同じパターンでHPを削ろうと突っ込んだ。
だが、そんな俺の希望を打ち砕く様に穴熊ネズミはそのつぶらな瞳を一瞬輝かせた。しかし、俺がそれを気づける余裕はなかった。
先程と同じパターンが決まるかと思われた瞬間、穴熊ネズミは俺の前で姿勢を急に低くするとナイフの一撃をくぐり避けた
「なっ!」
俺は、完璧に決まったと思い油断していた
ナイフが空を切った事により体勢を崩してしまう、更に運が悪い事に何とか踏ん張ろうとした脚が滑り完璧に体勢を崩し倒れそうになる
穴熊ネズミは、その時を見逃さなかった
その巨体からは、想像出来ないほどの跳躍力で飛び上がると体勢を崩した俺に躍りかかって来た。
「がはぁ、・くっ・・そっ。」
反撃に成功した穴熊ネズミにのしかかられ仰向けに倒れた
最悪な事に穴熊ネズミが突っ込んできた際にナイフが手から弾かれ、滑りながら数メートル先で止まる
目の前に穴熊ネズミの鋭い前歯が迫る。何とか優っている
力で顔を押し上げ用とするが体重とナイフを弾かれた時の手の痺れでうまくいかない
キンッ、キンッ、と歯を鳴らし俺の喉を食い破ろうと迫る。
「くそっ、くそっ、・・死ねない、こんな所で死んでたまるか!」
火事場のクソ力とでも言うのだろうか、俺は、のしかかる穴熊ネズミの首を膝で支え、左手で顔を持ち上げると痺れの残る右手で思いっきり殴りつけた
だが、体勢が不十分な為、穴熊ネズミの上半身が軽く反り返る程度に留まった。しかしそれも一瞬のこと、再び俺の喉を食い破ろうとその鋭い前歯が迫る
だが、俺はその一瞬を見逃さなかった、自由な右手を素早くカバンに突っ込みあいつの牙を取り出し、再び迫る穴熊ネズミの眼にカウンター気味に突き刺した
「ギーッ!」
穴熊ネズミが苦悶の声を上げる。俺は、素早く穴熊ネズミの下から抜け出しナイフの元に走る
ナイフを手に取り穴熊ネズミを見るとまだ牙を抜く事ができず悶えている
素早くナイフを握り直すと走り出す
「うおおおおおおっ!これで終わりだー!」
俺は、素早く穴熊ネズミに駆け寄るとその頭にナイフを思いっきり突き刺した
「ギーッ!・・・・」ドサッ
穴熊ネズミは最後に一際大きく叫ぶと痙攣しながらその体を横たえる、少しの間痙攣していたが少しずつ収まっていきそして完全に動かなくなった
「はぁ、はぁ、はぁ、どうだネズミ野郎!俺の勝ちだ!」
俺はそう言いながら地面に大の字に寝転んだ
「はぁ、はぁ、はぁ~大分ギリギリだったな。これが魔物と戦うって事か、ははっ、死ぬかと思ったわ。」
ようやく呼吸も落ち着くと、立ち上がり穴熊ネズミに近づいた
「はぁ~、しっかしでっけーネズミだな。ん?」
死んだ穴熊ネズミを眺めていると頭に解体のやり方が浮かんできた
「ああ、そうかこいつランク2の魔物だから解体術が発動したのか。さて、どうするかな解体なんてやった事ねぇしなぁ。・・・まぁ、やれるだけやってみるか。」
俺は、折角倒したのだからと思い解体してみる事にした。
・・・・・30分後
「ふぅ、やっと終わった。」
その大きさ故にやり方は、分かっていてもとても根気のいる作業であった。
だがらそのおかげで
・穴熊ネズミの毛皮×1
・穴熊ネズミの前歯×2
・穴熊ネズミのヒゲ×8
・穴熊ネズミの肉40キロ
を素材として入手する事ができた
「はぁ~、しかしどうするかな。流石にこれだけの素材はカバンにはいんねぇしなぁ」
どうしようかと考えていると、不意にお腹がなった
「そういや、俺昨日から何も食ってないじゃん。ん~まだ、こいつの肉食えるかわかんねぇからな。・・・あっ、そういえばカバンの中に・・」
俺はそう言ってカバンの中を漁る
「おっ、あった、あった。しかし、ほんとあの日朝買っといて良かったな。」
そう言いながら俺は、カバンからエネルギーバーを一本取り出し食べ始めた
「しかし、こっからどうすっかな?魔物を倒したのは良かったんだけど俺の当初の目的は住居探しだったんだけどな。」
そう言いながら俺はふと、自分が落ちてきた崖を見上げる
「はぁ~、しっかしよくこんな高い崖から落ちて死ななかったな。まぁ、その点では穴熊ネズミに感謝だな。・・・・あれっ?」
崖を見上げていた視線を何気なく崖下に向けた時だった。
そこにはちょうど探してやまなかった 、住居、ちょうど良さそうな洞穴の入口が広がっていたのだ
「はははっ、ほんと今日という日はいい日なのか、悪い日なのか、わかんねぇ 一日だな。」
俺はそう言うと確認の為に洞穴の方に向かうのであった・・・
次回予告
運良く魔物を倒す事が出来た幸人は、更に念願のマイホームを手に入れる。だが改めて感じた魔物と自分の能力の差に、まずはその差を埋める為幸人は武器作りに取り掛かる
のであった
次回!!
「初めての武器製作」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、ますは更新遅くなって申し訳ありません
眼鏡羊でございます
さて、このお話の前半で回想編は終わりになります
これからは、幸人が少しずつ成長する姿、強敵との戦い
、そして出会い、など色々ありながらも異世界を生き抜いていく様をお届け出来たらなと思います
戦闘シーンの描写がこんなに難しいなんて・・・
今後の課題です
それでは
閃け アイデア! 成長しろ文章力
眼鏡羊でした
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