AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します

山田 武

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偽善者と廻る縁 二十八月目

偽善者と他世界見学 その14

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 井島 東都


「うむ、やはりこうでないとでござる」

「まったく以ってその通りです、我が王マイロード

「おっ、ドゥルも綺麗な着物姿だな。うん、とてもよく似合っているぞ」

「あ、ありがとうございます……」


 お次に訪れたのは、大陸から東に位置する列島である井島。
 その中でも東に存在する、江戸風の城郭と木造の街並みが広がる東都。

 俺とドゥルは、二人でこの街を散策中だ。
 ネロと来た際も和服や刀を身に纏っていたが、何度着ても飽きないのはやはり……日本人だからだろうか。

 ドゥルもそんな俺に合わせて、青に染め上げられた着物を纏っている。
 ファンタジーな存在から採れるカラフルな素材があるから、着物の色は気にされない。

 スキルやレベルがあるので、女性が帯刀していても問題視されずにいる。
 ここのトップであるオダ氏は、強ければ何でもありという考えの持ち主だからな。

 最初は忙しかったし、ネロと来た時もどちらか言えば死体調査の方が主目的だったような気がする。


「今回は東都以外にも、東だけでもいろんな場所を巡ってみようと思う。ドゥル、共に来てもらえないか?」

「仰せのままに、我が王よ」

「そうなると、どこに行くのか決めないといけないな……さて、どうしたものか」


 井島は四つの島、そしてそれらを繋ぐ迷宮から成す列島。
 だがそれらの中心である街以外にも、当然人族が生息する地域は存在する。

 さりとて、俺はそういったものに疎い。
 記憶はしてあるので地形に関してはほぼ把握していても、それがどういう場所で、何がドゥルに喜んでもらえるかが不明だ。


「とりあえず、組合に行って何かそれっぽい依頼が無いか探してみよう。配達ぐらいならモノのついでだし、行った先で楽しめる物が無いか見てみるのも旅の定番だろう」

「では、そのように。組合の札は、いかがなされるおつもりでしょうか?」


 井島版の冒険者ギルドである組合にも、当然登録した場合はカード代わりの札の提示が必要となる。

 偽造用のノゾム版はアウトだし、もう一つ持っていた札も……現在、消息不明ということになっていた。

 反対側にある島、西京で登録して以降そうなっているので、また使うためにはそこへ戻る必要があるだろうな。


「……仕方ない。とりあえず、ノゾムに変身して依頼を取ってくる。ドゥル、場所はどこでもいいかな?」

「はい、我が王と共に居られるのであれば」

「なら、すぐに行ってくる。ネロは呼ばんでも、どうにか誤魔化せるかな」


 その後、組合で認識やらを弄り回して、どうにか依頼をもぎ取る。
 俺とドゥルは、指定された場所に向けて移動を開始するのだった。


  ◆   □   ◆   □   ◆

 揚羽の森


 依頼の中でも、もっとも東都から遠い場所にある配達依頼を受注している。
 森には多種多様な蝶が生息しており、入る者たちを惑わすことで有名らしい。


「で、そんな場所だけどそこまで旨味も無い依頼だから、残っていたらしい。この奥にある村まで行って、荷物を届ければ依頼完了になるぞ」

「……周囲の索敵が完了しました。奥に向かうまで、多くの魔物がいるようですね」

「その大半は蝶だろうけどな」


 ドゥルは俺が創り上げた武具の聖霊。
 同じく俺が創った無数の武具を管理し、それらを統制することができる……そして、それらの能力を自身に引き出すことも可能だ。

 それにより、俺が大量に製造したドローンの操作を行っている。
 そうして張り巡らせた探査網によって、魔物の居る場所すべてを特定した。

 俺とドゥルの状態異常に関する耐性レベルであれば、蝶の妨害など気にならない。
 だが普通の冒険者ならば、ということを考えて逃げながら向かうことを選んだ。

 まあ、それならそもそもドローンを飛ばしたりしない気もするけど。
 もともと武具っ娘の力は頼っていたし、これも彼女の力の一部だろう。

 ドゥルに案内してもらい、森の中を魔物に遭遇することなく移動できている。
 遠目に蝶を見ることはあっても、相手から気づかれることは無い最適な距離だ。


「女の子には蝶ってイメージがあるんだが、ドゥル的にはどう思う?」

「……どうにも、興味が湧くかと言われますと。私は我が王の武具の番人、第二に想うのは女性らしさではなく武具のことです。申し訳ありませんが、ご期待には沿えないかと」

「そういう期待をしているわけじゃないさ。単に、ドゥルがどういった物が好きなのかを改めて知りたくなっただけだ。でも、そうだな……なら、今度蝶型の兵器を用意しよう。それなら、ドゥルでも興味が持てるだろう」


 俺は別に、眷属たちに何かを強要したいわけじゃない。
 眷属が好きな物を、俺も好きでいたい……趣味嗜好に関しては、少しアレだがな。

 ドゥルが好きな物は蝶じゃない。
 だがまあ、俺の創る武器は好きなので……それに合わせた好きな物を、生産神の加護持ちとして創ってみることにしよう。


「……間もなく到着いたします」

「そうか、今度どんなデザインがいいのか、教えてくれよな」

「…………はい」


 なんだかんだ、ドゥルもそちらであれば興味を持ってくれている。
 それは蝶だから、それとも蝶型の武器だからか……さて、どっちだろうな。


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