647 / 3,179
DIY、遥かな旅路へ
理外の存在
しおりを挟むここで主人公のような者たちならば、どうにか解除方法を探すだろう。
まあ、それをやること自体に異論は持たないし、たぶんそれも可能だ。
大量にストックを持っている、万能回復薬の一つ『エリクサー』。
それを抽出して高濃度に圧縮した薬品でも作って触媒にすれば、だいたいの呪いや状態異常などの現象は解除することができる。
だが、俺は正義の味方ではない──あくまで妻や娘や息子たちに、恥じない行動を心掛けているだけだ。
最終的にその目的を達成することさえできれば、その過程はどうでもいいだろう。
「妖精のサンプルデータはまだ少なかったからな。こういう機会でもないと、データがその分だけで偏っちゃうし」
《──『白氷』の種族は【雪妖精】、職業は【吹雪姫】のようです》
「まあ、本当に特化しているな。弱点属性でやったら倒せそうだな」
ただ、そうゲームの相性合わせのように上手くはいかないんだろうな。
火すら掻き消す絶対零度や電気を通さない純水など、水という概念はさまざまなことに通じているわけだし。
水ではなく雪や氷だが、すでに水も操れることを『SEBAS』が解明している。
俺もその恩恵にあやかる身だ、解析させてもらった情報はありがたく使わせてもらう。
氷柱の中で眠る少女は、己の力を用いて仮死のような状態になっているらしい。
時間が経てば自動的に解除され、勝手に目が覚めるとのことなので、すぐに起こすという選択肢が失われたわけだ。
「けど、そんな緊急手段みたいなことをしなきゃならない状況ってあるんだな……」
《『超越者』同士の争い、強者による干渉なども案に入っておりますが……おそらくは、超常的存在によるものの仕業かと》
「神とか運営とかか?」
《左様にございます。『超越者』が理より外れし者たちとはいえ、すべてにおいて概念を無視しているわけではございません。あくまで自身の権能が及び範囲に限定されているため、それ以外のことでは常人と同じです》
「眠っているって、こういうことかよ……」
例外である『騎士王』と【魔王】を除けばそうだろう。
万能の権能を持つ者と万能に成り得る器を秘めた者だ。
彼らだけは、文字通り理外の存在といっても過言ではないのだ。
「……起こす起こさないにせよ、ここにも監視が入っているのか?」
《私の手で結界を構築しておきましたが、それが効果を成しているかどうか……早めのご決断が必要かと》
「そうだな……どうしようか」
なんでもかんでも、俺が解決できるなんて考えちゃいない。
守るべき家族が、星の民がいるのだ……慎重に選ばなければ。
11
あなたにおすすめの小説
王家も我が家を馬鹿にしてますわよね
章槻雅希
ファンタジー
よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。
『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
私ではありませんから
三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」
はじめて書いた婚約破棄もの。
カクヨムでも公開しています。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
(完)聖女様は頑張らない
青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。
それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。
私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!!
もう全力でこの国の為になんか働くもんか!
異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる