虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
650 / 3,179
DIY、遥かな旅路へ

白氷調査

しおりを挟む


 アイプスル

「……意外と難しいな」

 これまで接触した強者の能力は、どれもが超常的なものばかりだ。
 その一つひとつを『SEBAS』が解析することで、どうにか魔道具として再現できないかどうか研究を続けていた。

 現段階では、彼らの扱っている能力を劣化させた技術の再現程度で留まっている。

 いつもお世話になっている『龍王』の結界など、『龍王』が持つ権能の断片程度でしかないのだから仕方のないことだ。

「水分の操作か……魔力を使っていいならそれもできるけど、いっさい使わないでって条件を付けると異常にハードルが上がるな」

《精霊や妖精たちの種族性質ですので。こればかりは断念せざるを得ません》

「仕方ないか……なら、できるだけコストを抑えられるようにしよう。あっ、水分と言えば前にある話を聞いたことがあるんだ──」

《なるほど……アレでございますね。魔法とは別のアプローチとして、とても参考になります。異なるプランとして実行しましょう》

 自衛策として考えていたアイデアに、封印されている『白氷』の権能を用いることで、より安全度が増すと思われる。

 こちらはコストを気にせず、:DIY:を使いまくることを考慮して作成するつもりだ。

「水を操作できれば、汚染物の排除も簡単になりそうだからな。あと、砂漠にも恒久的な水分を得る手段とかもできそうだし」

《そちらは可能です。水脈の操作などは、すでに方法が確立されています》

「マジか……」

《はい、マジです》

 たしかに、未だに完全開放されていない俺の職業【救■者】を使えば、それもできるかもしれない。

 これまで星脈や箱庭に接続した際、機能していたのはこの職業の能力だし。

「しかし、妖精か……『白氷』のことを知っている妖精族が居るかもな」

《確認されますか?》

「そうしようか」

 解析を『SEBAS』に任せている間、正直俺が必要なことなど何もない。

 あくまで俺は:DIY:の媒介として、用意された設計図通りに求められたアイテムを作るための道具となる……言ってて虚しいな。

  ◆   □   ◆   □   ◆

「『白氷』かい? もちろん知っているよ」

「本当ですか?」

 エルフの隠れ里を訪れ、里長(兄)に訊ねてみた──あっさりと教えてくれたな。

「彼女は好奇心が旺盛な娘でね。どこにでもふらふらと行く娘だったよ。だから、最近はその様子が分からなくて心配だったけど……どうやら君が見つけてくれたようだね」

「ええ、まあ……どうやら神の裁きを受けてしまったようで」

「そうなのかい? まあ、前にも似たようなことがあったし、十年もすれば勝手に起きるだろう」

 エルフの感覚は普人よりも長い。
 十年と言われて、そう簡単に納得できない俺が居る。

 しかし前にもやっていたのか……調べた限り、疲労困憊という感じだったし、もしかしたら安心しているだけじゃダメかもな。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

私ではありませんから

三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」 はじめて書いた婚約破棄もの。 カクヨムでも公開しています。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

(完)聖女様は頑張らない

青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。 それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。 私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!! もう全力でこの国の為になんか働くもんか! 異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)

「最高の縁談なのでしょう?なら、かわってあげたら喜んでくれますよね!」

みっちぇる。
恋愛
侯爵令嬢のリコリスは20歳。立派な嫁きおくれである。 というのも、義母がなかなかデビューさせてくれないのだ。 なにか意図を感じつつも、周りは義母の味方ばかり。 そん中、急にデビュタントの許可と婚約を告げられる。 何か裏がある―― 相手の家がどういうものかを知り、何とかしようとするリコリス。 でも、非力なリコリスには何も手段がない。 しかし、そんな彼女にも救いの手が……?

ボンクラ王子の側近を任されました

里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」  王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。  人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。  そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。  義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。  王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?

処理中です...