虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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仮想戦闘 前篇

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 別に闘う必要は無かったのだが、やっぱり少しだけ気になったので対人戦闘をやってみることに……一度はトライすべきだろう。

「とりあえず……まずはこの休人プレイヤー群で」

《畏まりました──データ読み込み、人形へ反映させます》

 召喚された人形の目に数字の羅列が流れると、スッと立ち上がり同様に用意されていた武器を握り締めて構えだす。

「一体だけなのか……群なのに?」

《情報が休人たちを基にした、という意味でございます。旦那様が複数体をお望みになれば、すぐに用意できるようになっています》

「……とりあえず、一体で」

 迷宮の内部とはいえ、ここはアイプスルなため俺は最強の存在となっていた。
 その理由でもある【救星者】の能力を解除し、普段と変わらない虚弱状態となる。

 つい先日入った神様特製の迷宮と違い、アイテムは使い放題だ……ストレス解消ぐらいにはなってほしいものだ。

  ◆   □   ◆   □   ◆

「げふっ……!」

『…………』

「ま、マジかよ……」

 予想外、そう言わざるを得ない。
 正直、『超越者』や【王】に就いている者たち──面倒なので【王】──たちと比べたら、休人なんて雑魚のはず……だった。

 しかし、現実はどうだろうか。
 俺は圧倒的大敗をしており、人形はいっさいダメージを負っていない。

「俺、こんなに弱かったのか……」

《人形には、ドローンが観察したあらゆる休人たちの戦闘データが入っております。旦那様とて、すべての休人を相手取れるほど強くはありません》

「……ショウも入っているのか」

《はい》

 肯定、つまりはそういうことだ。
 俺は息子の過去のデータに敗北し、地を舐め膝を屈していることになる。

 他の休人なんてどうでもいい……わけでもない者もいるが、息子と父親という関係の間に関わるほどではない。

「ショウのデータだけを抽出……してもしょうがないか。ショウもショウなりにいろんな人と関わって強くなるんだし、それを蔑ろにするわけにはいかない──とりあえず、舐めて使っていなかったアイテムは解放だ」

《畏まりました》

 休人の中には、“職業系統樹”でも上位の位置に存在する職業へすでに就いている者たちがいる。

 ショウやマイ、ルリはもちろんあのタクマですら前に自慢していたからな。
 俺も今や超激レア職業である【救星者】に就いているが……実力が伴わない。

「レアな職業は、それだけ濃密な経験をしないと就けないんだよな……俺も含めて。話も逸れたが、とりあえず細胞は使う。だけど、再現は無しで……人形と同じになるし」

《承知しました。では、そのように設定いたします》

 身体能力は、それで補えるはず。
 最弱でどれだけ休人たちと戦えるか……そのチェックといこう。

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