997 / 3,179
DIY、家族と共に
休日開放戦 その06
しおりを挟む脱出口は、アジトから少し離れた場所に用意されていた。
返しのような構造になっているため、本来は脱出口から潜入することはできない。
「──問題ありません、この程度であれば容易く通れますよ」
「い、いったいどうやって」
「こちらです──魔術“千変宝珠”」
あらゆる形に変えられる魔力の球を生みだして、それをうすーく伸ばしていく。
隠し通路は魔法で隠しているが、ほんの少しだけ隙間が存在している。
そこを通って反対側に球の一部が向かい、そちらで膨らんで──抉じ開けた。
「と、ご覧のように」
「……異常ですね、いろいろと」
「あまりそのような意識は無いのですが……そうなのかもしれませんね」
そういう目で見られているのには、相応の理由が存在するのが定番だ。
もともとチートを持っているのだ、否定する方が難しいだろう。
「続いて──魔術“孤絶ノ衣”、これで存在が認識されなくなるようになるでしょう」
「先ほどのポーションとの違いは?」
「制限時間でしょうか? あと、重複しますので効果が高まります」
「……やっぱり異常ですよ」
異常だと言われても、それ以上に異常な連中を知っているので実感は湧かない。
どうして彼らの力をさまざまな方法で模倣しているのに、誰一人として勝てないのか。
それは俺が普通の枠に留まっている存在であり、彼らがどこか異常だということだ。
故に考え方や力が常軌の域から外れ、強さというものを得ている。
そんな彼らに比べれば……俺なんて、まだまだ敵わないよな。
◆ □ ◆ □ ◆
脱出口を反対側から潜入しているので、最後の罠である返しさえ突破してしまえばあとは比較的簡単だ。
逃げる時に罠が作動し、自分たちが足止めされてしまえば元も子もないのだから。
おそらく脱出口の入り口、そしてその近辺にしか罠は設置されていないだろう。
「というわけで、しばらく私たちはここで待機しましょう。まだ逃げられると油断した彼らを捕縛、それがベストかと……ついでにここで集めた情報を報告するのもいいかもしれませんね」
「たしかに、相手はここに隠れているとは想定していないわけですし……普通は入れないのですから」
「自分たちにとっての奥の手、こんな風に利用されているとは思ってもいないでしょう。だからこそ、こちらもこのようにここで隠れられますね」
「……まずは騎士長様にご報告しなければ。作戦に関しても、それを決めてからです」
ルリ騎士団には連絡用の魔道具も与えられており、先ほども一度借りてこの脱出口の情報を伝えた。
今回は彼女に任せて、俺はアイテムのことでも考えておこう。
10
あなたにおすすめの小説
王家も我が家を馬鹿にしてますわよね
章槻雅希
ファンタジー
よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。
『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。
私ではありませんから
三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」
はじめて書いた婚約破棄もの。
カクヨムでも公開しています。
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
(完)聖女様は頑張らない
青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。
それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。
私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!!
もう全力でこの国の為になんか働くもんか!
異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)
「最高の縁談なのでしょう?なら、かわってあげたら喜んでくれますよね!」
みっちぇる。
恋愛
侯爵令嬢のリコリスは20歳。立派な嫁きおくれである。
というのも、義母がなかなかデビューさせてくれないのだ。
なにか意図を感じつつも、周りは義母の味方ばかり。
そん中、急にデビュタントの許可と婚約を告げられる。
何か裏がある――
相手の家がどういうものかを知り、何とかしようとするリコリス。
でも、非力なリコリスには何も手段がない。
しかし、そんな彼女にも救いの手が……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる