虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、多世界と交流する(物理)

多世界バトル中篇 その28

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 今回、:DIY:は補助的な使用のみにして、それ自体を使わずに作り上げる予定だ。
 周りの目があまりにも多いし、間違いなくジンリの『目』もある……隠しておきたい。

「──“星変万還”」

 普通の道具を使うよりかは、星核を用いた武玉を使った方が生産の補正になる。
 鍛冶槌以外のすべてをこれで行い、ひたすら『乗散竜』を加工していく。

「……:DIY:、教えてくれ」

 しばらくして、杖としての加工に不要な部分の解体が終了する。
 もともとドロップ時に素材にならない無駄な部分は削られたが、それでもまだあった。

 爪や牙、そして体内の臓器や血管など……一つひとつにそれぞれ意味が与えられ、加工すれば[ドラグライズ]の能力の超劣化版なら使えるようになるだろう。

 だが、俺が使うのはそれらではなく、かつて[ドラグライズ]だったという象徴である体そのもの……他の部位は、『騎士王』と相談して処理をしよう。

 能力を限定的に起動すると、補正は起きないで生産に関する知識が一気に流れ込む。
 創造神様が管轄する世界ならば、どんな技術でも一時的に知ることが可能だ。

 今回のユニーク種加工に当たって、通常の技術では不十分だと判断。
 多世界から膨大な量の情報を落とし込み、それらを一つに束ね──陣を描く。

 できた陣の上に、[ドラグライズ]を配置してさらに陣を書き加える。
 場所が足りなかったので、空いていた舞台の中央で最後の作業を始めた。

「『乗散竜[ドラグライズ]』。ありとあらゆるエネルギーを増大させ、逆に減衰させることができる性質を有する。これを上手く杖として機能させるには……概念ごと収束させるのが一番だな」

 錬金術でやれることはいくつかあるが、その中に『収束』という手法が存在する。
 成分を抜き取る『抽出』とも、他の性質を他所から引っ張ってくる『貼付』とも違う。

 その存在の有する性質を、その存在の核としてアイテム化する……といったところか。
 必要なのは作業中のエネルギー、そしてその存在を加工するために必要なリソース。

 たとえば『炎を吐く雷の獣』から『収束』させれば、『雷を変換して火にする』というのようなアイテムにすることも可能だし、その逆やまったく異なる性質も生みだせる。

 ただし、それらをすべて内包するようなアイテムは難しい。
 他の可能性を削り、その一つの性質を強化させることが『収束』の本質とも言えよう。

「けど、『概念収束』は違う。対価は相応に多いけど、そこは星のエネルギーで補ってしまえば──余るぐらいには充分だ」

 削るのではなく補佐に回し、存在の持っていた力を十全に発揮できるように加工する。
 明確なイメージで設計図を脳裏に浮かべ、陣にエネルギーを注ぎ込み術式を起動。

「さぁ、生まれ変われ[ドラグライズ]──『概念収束』」

 眩い光が会場を包む。
 とっさのことに防げなかった者も居るようだが、出来上がった品を見て勘弁してもらいたい。

 竜が宝玉を持つようなデザインの長杖。
 それが宙に浮かび、担い手を待つかのように風格を放っている。

 俺は依頼人である『騎士王』を見た。
 彼女はただ、目を輝かせている──だからこそ、大切なことを伝える。

「銘を『流燦杖[ドラグライズ]』。いつか見せてくれよ、使っているところを」

「……さすがは『生者』だ。いいだろう、楽しみにしておくと良い」

 そう語る『騎士王』の満足気な表情に、俺もまた気を緩めるのだった。

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