虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
1,989 / 3,179
DIY、刺客に抗う

生産世界初訪 その16

しおりを挟む


 生産世界のギルド総長たちに、創造神様の御業について語った。
 すべては失名神話(仮)の布教のため、俺は:DIY:の一部を語る。

「創造神……それはいったい、どの神話体系の神なんだ?」

 事情は説明していないが、魔材ギルドの総長は俺に協力的だ。
 ゆえに他の総長が余計なことを言う前に、説明ということで俺の話を聞かせる。

「……神話の名は失われています。皆さんが知るような神々の名も、おそらくは存在しません。ゆえに私は名を出さず、ただ創造神様とお呼びしたのです」

 正確には、名前はあっても人の身でそれを認識できない、というのが正しいだろうか。
 だからこそ、本来は布教ができない……偽りの名では神々に布教の効果が届かない。

「ですが、私は創造神様より御業の一部を授かることができました。この非力な身に、ありとあらゆる物作りのための技量と知識……それ、私のもう一つの権能の正体です」

「……ふーん、名も無い神話にそんな力が本当にあるのか分からないねぇ。だけど、そんなことはこっちには関係ない事情だね。結果として、アンタには神の……それも創造神の知識がある、それだけで充分さ」

「ふむ……何か、ご要望が?」

「決まっているさね。その知識、この世界のために役立たせな。世のため人のため、その方がアンタの言う神様も喜んでくれるんじゃないかい?」

 言い方はともかく、割と当たってはいる。
 元より、:DIY:を持っていた時点から俺は擬似的な『使徒』だった。

 だが今は正式に【使徒】にも就職しているし、失名神話(仮)の布教を行うという使命も持っている。

 ゆえに、俺の行いはある意味神の慈悲。
 俺に感謝する気持ちが自動的に神々への感謝として変換され、信仰という形で神々の下へ届けられる。

 生産世界はまだまだ未開発な場所が多く、求められる場所は数多にあるだろう。
 そのすべてに対応できる:DIY:は、お互いにWinWin……とも言える。

「創造神様は、私の行動に制限を設けておりません。信仰を広めようとしているのも、あくまで私の独断に過ぎません。工匠ギルドの総長さん、そのうえでお答えしましょう──私は、したいことだけをします」

「……つまり、NOと言いたいわけ?」

「一部を除いて、ですね。条件次第で、受け入れますよ。魔材ギルドの総長さんも、そうして私の満足のいく報酬をご用意してくださりました。ええ、感謝しております」

「なに、気にするな。俺も満足させてもらったからな」

 そう言いつつ、これ見よがしにペンダントになった特典をチラつかせていた。
 彼らはこの世界でも指折りの職人たち、一目見ただけでその性能を理解したようだ。

 何も言わない、ただじっと見るだけ。
 だがその途中、スッとペンダントを胸元にしまい……怒鳴られる。

「──おい、魔材の! もっとしっかりと見せろよ!」

「おっと、これ以上は有料だな。あれだけ凄い物を、ただで少しでも見せてもらえただけ感謝してもいいと思うんだがな」

「くそっ、事実だから否定できないね……」

 なんてことを言いながら、この後は見物のために交渉を行い始めたギルド総長たち。
 魔材ギルドの総長は分かっているはず……さて、上手くいくかな?

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

私ではありませんから

三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」 はじめて書いた婚約破棄もの。 カクヨムでも公開しています。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

(完)聖女様は頑張らない

青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。 それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。 私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!! もう全力でこの国の為になんか働くもんか! 異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)

処理中です...