虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
2,420 / 3,179
DIY、冒険を求める(続)

第二の箱庭 その18

しおりを挟む


 箱庭の中でも、休人たちが拠点とする施設が集まる南東区に隠れ潜んでいる。
 家宅侵入罪を犯しつつも、これから何をするのか『SEBAS』と話し合った。

「──合言葉は?」

『──東京特許許可局』

「間違いありませんね……では、どうぞ」

 俺の問いに答えた客人・・を、扉を開いて中に招き入れる。
 今日の店舗はサービス一回分・・・・・・・と取引し、借りたある休人の住まいだ。

 だが今やその一部が、俺の用意した物で覆い尽くされている。
 それでも当人が苦情を言わないのは、それ以上のメリットを俺がもたらすからだ。

「本日はどういった目的で?」

「……アップデートを」

「畏まりました。それでは、デバイスの方をこちらへ……はい、確かに。どういった内容がご所望ですか?」

 差し出されるのは一台の魔動機盤。
 外に出て戦闘を行う者たち用に、シンプルかつ頑丈な代物だ……だがそれゆえに、あまり応用が利かない。

 休人たちが得られる魔動機盤は、この箱庭が住民が使う代物より一段劣っている。
 その辺をお巡りさん──魔工機士から拝借した魔動機盤から察した。

 だからこそ、俺はこうして休人たちに対して店を開くことに。
 やっていることは至ってシンプル、彼らが望む形に魔動機盤を弄くる。

「えっと、処理能力が足りなくて。あと、もう少し入れられる数を増やせればと……」

「なるほど、たしかにこちらですとあまり数は入れられませんね」

 魔動機盤にはプログラムがいくつか入っていて、魔力を籠めた者はそれを介して魔法や魔術のような現象を引き起こせる。

 数、とはそのプログラムのこと。
 休人が得られる魔動機盤は、基本的に入れられるプログラムが十にも満たないのだ。

 スキルや武技、魔技と違い魔動機盤がもたらす力はシステムによる制限が存在しない。
 つまり魔力関係の職業に就かずとも、むしろ物理特化でも魔法みたいなことが可能。

「普段はどういった使い方を?」

「斥候の方を……どうにか汎用型で何とかしてみようと思ったんですけど、やっぱりそれだと出力が足らなくて。こっちのまま、数を増やしたいんです」

 そういった関係で、休人たちもこれをかなり重宝している。
 ……が使える種類が少ないため、彼らもいろいろと工夫を凝らしていた。

 なお、出回っている魔動機盤の方は、数こそ多く入れられるが、代わりに処理能力やらプログラム一つひとつの制限があって戦闘にはあまり向いていない。

 出力云々で困らない一般市民はそれでもいいのだが、それが必要な戦闘関係のお仕事に就く者たちは、休人と同様の魔動機盤(の上位版)を使っている。

「なるほど、分かりました。では、数を増やしてみましょう。もちろん、出力の方は据え置きで。可能でしたら、そちらも向上できるよう努力はしてみます」

「お願いします」

 休人から受け取った魔動機盤を、部屋に設置されていた装置に接続する。
 大型の魔動機盤……のように見せかけた、俺オリジナルの魔道具だ。

 本来、魔動機盤の改良は専用の魔動機盤でしかできないからな。
 信用と信頼のため、多少の演出はやっておいても許されるだろう。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

私ではありませんから

三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」 はじめて書いた婚約破棄もの。 カクヨムでも公開しています。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

(完)聖女様は頑張らない

青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。 それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。 私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!! もう全力でこの国の為になんか働くもんか! 異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

「最高の縁談なのでしょう?なら、かわってあげたら喜んでくれますよね!」

みっちぇる。
恋愛
侯爵令嬢のリコリスは20歳。立派な嫁きおくれである。 というのも、義母がなかなかデビューさせてくれないのだ。 なにか意図を感じつつも、周りは義母の味方ばかり。 そん中、急にデビュタントの許可と婚約を告げられる。 何か裏がある―― 相手の家がどういうものかを知り、何とかしようとするリコリス。 でも、非力なリコリスには何も手段がない。 しかし、そんな彼女にも救いの手が……?

処理中です...