虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
2,499 / 3,179
DIY、コネ就職を求める

第一回職業解放後篇 その12

しおりを挟む


 聖水をぶっ掛けてアンデッド退治。
 恐慌を煽る騎士の亡霊だろうと、偉大なる失命神話を崇める俺の真摯な祈りによって強化された聖水には敵わないのだ(適当)。

「──なんて思っていた頃が、正直懐かしいですね」

《旦那様、次が》

「ええ、分かってます」

『──ッ!!』

 激昂と共に突撃してくる獣型の魔獣。
 取り出すのは『喰獣の剣』、網膜越しに投影される補助線に従って、剣を横に構えておく──体が自動的に動き、結果が訪れる。

 一瞬の内に爪による攻撃を回避、体スレスレを通った際に剣を斬りつける達人技。
 獣への特攻に近い即死効果がある剣に傷を付けられ、魔獣は息絶え粒子と化した。

 死の因果を秘める[死天]謹製アイテム。
 部分的に劣化させ扱いやすくはしているものの、それでも苦労する……『SEBAS』が補助をしてやっとこさ制御可能なのだ。

「ふぅ……まだ来ますか」

「──居たぞ、挑戦者だ!」

「ええ、挑戦者ですとも。ですので、こちらもそろそろ始めさせてもらうとしますよ──『タブースペルズ』!」

 すでにかなりの時間が経過している。
 結界によって背後からの襲撃は無いが、その結界によってその先へ向かうこともできないまま、戦闘が続いていた。

 死の警鐘と『SEBAS』の探査により、残り人数もかなり絞られている。
 一筋縄ではいかない相手ばかり、だからこそ切り札を一枚使うことを決めた。

 巻物型の『プログレス』。
 その効果を一言で語るならば──ガチャ。
 一日一回、無料で魔法を一つだけ使うことができる──内容はランダムで。

 そこから使い手が次々と発展させ、多くの派生能力が発現している。
 ある能力が発現して以降、俺も欠かさずそれを時間がある日は使い続けていた。

「今回は……“スペルディスクライブ”! そして、そのまま“スペルトレード”!」

 今の状況に適さない魔法だったので、スクロール化する能力でそれを分離。
 同時に、これまでスクロール化してきた魔法をこの場に取り出し巻物に押し付ける。

 対価と引き換えに、これまで出してきた魔法を一つ指定して発動できるこの能力。
 通常よりも悪い燃費、かつスクロール化はできない条件で可能となった。

 触媒として捧げられるスクロールたち。
 支払い切ったその瞬間、巻物に新たな記載が増える──同時に膨大な魔力が、そこから膨れ上がるように広まり圧を放つ。

「……絶対にさせねぇ!」

 身の危険を感じたのか、俺を殺してでも封じようとしてくる。
 同時に、周囲からも様々な形が攻撃が行われ俺を止めようとしてきた。

 だが、この能力を発動した時点ですでに魔法の選択は終了している。
 同時に、死んでも死なない俺を相手にその選択は愚策──逃げることのみが正解だ。

 体を真っ二つにされようと、全身を燃やし尽くされようと、重力でぺちゃんこにされようと、逃げられない堅固な封印を施されようと──それでも魔法は完成する。

「──“励核起合ネフ”」

 禁書に記されし禁断の魔法。
 どこかの誰かが考えた、科学を魔法に組み込んだナニカ。

 魔力で生み出され、科学の理論でそれを加速的に増やし、融合。
 物理法則に部分的とはいえ従うからこそ、他の魔法よりも軽いコストでできてしまう。

 だが、その破壊力だけは本物に等しい。
 直接俺を斬った【剣王】も、どこからか遠距離攻撃をしてきた強者たちも関係なく──そのすべてが核の光に包まれるのだった。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

私ではありませんから

三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」 はじめて書いた婚約破棄もの。 カクヨムでも公開しています。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

(完)聖女様は頑張らない

青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。 それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。 私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!! もう全力でこの国の為になんか働くもんか! 異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)

処理中です...