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大きな戦いに挑もう
英雄にお任せしよう
しおりを挟む「過去篇って、必要だろうか? うん、面倒だから割愛ということで」
「えっ、もしかしてイムさん、どんな夢を見ていたか……知っているんですか?」
「俺が設定したんだから、当然だろう? イイ台詞だったと思うぞ。特に──」
「キャァアアア! や、止めてください!」
止めろというのであれば、言う必要もないので止めておく。
どうでもいいというか、全部夢の中の話だからな。
サリスは目を覚まし、【英雄】としてももう一段階上のレベルへ至った。
職業スキルもコピーしたので、まあ本来ならば別れてもいいんだけどな……。
「あと一日だっけ……サリスはどうする、もう解散するか?」
「も、もう少しいっしょに!」
「もう少し、ねぇ……俺の代わりに戦ってくれるなら、それでも構わないけど」
「や、やります! やらせてください! 恩返しをしたいんです!」
実に殺る気に溢れているようなので、任せておいていいだろう。
面倒臭い戦闘は、新たな【英雄】にやってもらおうじゃないか。
「……じゃあ、そういうことにしておくとしよう。けど、わざわざ相手と遭遇するなんて面倒事はしたくな──」
「居たぞ、【導士】だ!」
言霊……というか、フラグである。
せっかくのんびりしていた俺たちの下へ、選ばれし英傑たちが集まってきた。
それなりに厳重な結界を張っていたが……やはりそれぞれのスペシャリストたちが力を合わせれば、どうとでもなるわけか。
「……はぁ、面倒臭い」
「イ、イムさん!」
「【導士】ってことまで、バレているのか。いったいどうやったんだか」
「……貴様の分身が、情報を吐いたぞ」
なるほど、そういうことか。
俺という人間が、真面目に情報を秘匿する必要もないわけだし。
その分身がどうなったのか……たぶん、殺されているだろうな。
それで、分身だと分かったからこそ居場所でも特定したのか。
「よ、よくも俺を殺したな! ゆ、許さないぞお前らぁあああーー……あー、面倒臭い。俺を倒したければ、そっちの【英雄】を倒してからにしてくれよ」
「へっ?」
「じゃあ、俺はここで待ってるからな。あとは任せたぞ……ちなみに、先に俺を手を出したら──分かっているだろうな?」
『……ッ!?』
魔力を籠めて威圧を行えば、勝手に彼らは竦んでくれる。
その様子に安心し、気を緩め──背後から振るわれた短剣を避けた。
「ったく、人の優しさに付け入る輩って本当に嫌になるな──“聖拘束”」
「なぜ気づいた!」
「……勘」
暗殺者っぽい恰好をした男が後ろには居たのだが……そういったことにも、対応できるのが便利なスキルだ。
危険察知やら殺気感知など、あまり発動しないスキルが起動したのは驚きだったがな。
それでも予め仕掛けた催眠通り、体が勝手に動いて死角からの一撃を躱せたわけだし。
魔法で捕らえている男のスキルを解析し、まだ持っていないことに気づく。
なのでまずはそれをコピーし、とりあえず使えるようにする。
「いやー、便利便利。アンタらのお蔭で、俺はもっと強くなれる」
俺が手に入れたスキル【英勇再現】。
分身と共に得たスキルを束ね、纏め上げたがゆえに変質した唯一無二の能力。
それは何度もコピーを続けた結果なんだろうか……『英傑』と呼ばれる職業に就く者のスキルに限り、条件を満たせばすぐ模倣できるようになった。
要するに今回は、【暗殺勇者】とかいう物騒な男が持っていたスキル(一死葬伝)とかいうヤツを手に入れたわけだ。
「…………で、だ。わざわざまだ、死にたい奴はいるか? もし俺の言うことを聞いてくれるなら、コイツを殺す権利をくれてやってもいいんだが……」
『…………』
「よし、いいみたいだな。というわけで、サリスは頑張ってくれよ」
「え、えー……」
頑張ってくれると言ったはずなんだがな。
なぜだろうか、俺を見る目がずいぶんと冷め切っている気がする。
……自覚はあるけどな、別に否定する気も無いのでそのまま戦わせよう。
「分かりました──『軍雄人形』」
サリスが告げた途端、この戦場に大量の人形たちが出現する。
戸惑う【英勇】たちに対して、彼女はただ指示を送るだけ。
「行きなさい!」
「くっ、まずはこの【英雄】を倒すぞ!」
「はーい、頑張ってねー」
「……この、卑怯者が! 女を矢面に立たせて、恥ずかしくないのか!」
まったく、これっぽっちも恥ずかしくないのだが……あちらさんは違うのだろうか?
そもそもこの世界だと、男より女の方が強いことなんてよくあることだろうに。
「勝者こそが正義、負けたらただの弱者。なら、誰が勝つために働くかなんてどうでもいいだろう? 最後に生き残っていたヤツが自動的に勝ち組、その過程なんて必要ない」
「貴様、それでも【導士】か!!」
「そうだけど? ちゃんと導いてやっているから安心しろよ。停まった道、お前らはこの先に進むことができない。だが不安がることはない、しっかりと俺が糧にしてやるから」
物語の主人公がよく言う、お前の働きは無駄にはしない……的な感じだろうか。
要するに、全部のスキルとか貰ってやるとか安心してサリスに倒されてくれ、というわけだな。
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