クラス転移でハズレスキルすら出なかった俺、山に捨てられる〜実は俺を独占したい女神様の計画通り、権能を与えられたので、悠々自適に暮らします〜

マグローK

文字の大きさ
6 / 48

第6話 覚醒

しおりを挟む
 真っ白な世界は気づくと収まり、代わりにどこからともなく現れたピンク髪の美少女が俺に抱きついていた。

「え、は?」

 突然の展開すぎて俺や河原だけでなく、オオカミたちすら口をあんぐりと開けて動きを止めている。
 俺も正直ついていけていない。
 だが、ふんわりと香る匂いや実際に当たる二つの柔らかい感覚で幻覚ではなく現実なのだと認識させられる。

「お待たせリュウヤ。遅くなってごめんね」
「いや、誰」

 知り合いのように話しかけられたが、俺から離れて全身が見えても全く見覚えがない。
 ピンク色の髪に同じくピンク色の瞳をした現実離れした整った顔立ちの美少女。
 背丈は俺より低いが、豊かな双丘を持ち、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる。
 何故だか河原と同じ制服を着ているが、学校で見た覚えはない。そもそも真っピンクの髪の女の子を見れば覚えているはずだ。
 そんな奇抜な髪色だが、召喚直後に見た姫様にも引けを取らない魅力をまとっている。

「ん!」

 冷静になろうと観察していると、美少女は有無を言わせず俺の両頬を両手で挟み込むと引き寄せ、そのままくちびるを押し付けてきた。
 華奢な印象だが、見た目より力が強い!
 なんだこいつ。オオカミの親玉か。

「み、溝口? ねえ、大丈夫? ねえ、溝口!?」

 返事ができない。

「あなた一体何者なの?」

 返事をしない。
 頭を動かせず、声も出せず、バタバタと腕を振るが目の前の美少女は全くブレる様子がない。とにかく俺はされるがままだった。
 河原との出来事が霞むほどに柔らかいくちびるを当てられ、美少女はまっすぐに見つめてくる。
 意識が飛びそうになる謎の刺激を受けながら、無限にも等しい時間の間、くちびるを重ねあわされた。

「ふう」

 何かが終わったのか、やっとのことで解放された。
 目の前の美少女は、ほほを上気させ恍惚とした表情を俺に向けてきている。
 ダメだ。俺も頭がぽーっとする

 いかんいかん。
 頬を叩いてから改めて目の前の美少女を見てみる。
 だが、やはり同じ制服を着ているが全く知らない顔だ。少なくとも、あの場にいたのは俺と同じクラスのやつらだけだった。一体どこから現れたんだ?

「お前、何者だ? 今までどこにいた? 俺に一体何をした?」
「えーと、一度にたくさん質問されると困っちゃうけど、一つずつ答えるね。わたしはフェイラ。この世界の神様で一番偉い神様。どこにいたかって言うと、神様の世界にいたってことになるのかな? リュウヤにしたことは、キッス。スキルを与えためのね。どうしても直接スキルを与えたくて他の神を止めてたんだけど、その前に誰も与えてなかったんだよね。それが不思議だったんだけど、こういうことだったんだね。わたしの全部吸われちゃった」
「いや、吸ってたのはあんたの方だろ。神様の世界とか言ってどこから出てきたのか知らないが、現状をわかってるのか? 今まさに襲われるところなんだぞ?」
「わかってるよ。間に合ったよね?」
「間に合ったって、確かにまだ命はあるが……」

 今まさにやられるギリギリのところを指しているなら間違ってはいない。
 確かにまだ生きているし、先ほどの強烈な光は目くらましになったみたいだが、時間が経ちすぎだ。
 こんなことしてる間にオオカミたちは正気を取り戻しているだろう。こんなことなら走り出しとけば、まだ寿命は伸びたかもしれない。
 今となっては逃げるチャンスを完全に失った。

「ねえ、溝口?」
「すまん河原。お前を逃がしてやれなくて。せめて一人でも助けられればよかったんだが」
「いや、違くて」
「隣の子は気づいてるみたいだね。そもそも今の問題を解決するのに、武力は必要ないんだから。周りを見ればわかるでしょ?」
「は?」

 確かに、もうオオカミたちは正気を取り戻し、俺たちを生きたまま襲ってきていてもおかしくなさそうなところだが、いまだにオオカミたちが動いた気配は感じられない。
 いつまで経っても襲ってこない。

「え……」

 おかしい、そう思ってフェイラとやらの言う通りに周りを見ると、オオカミたちは頭を低く下げた姿勢で地べたに伏せていた。
 まるで今までの態度を誤るような申し訳なさそうな顔で見上げてきていた。

「嘘、だろ?」
「これがわたしからあなたに与えたスキル。ううん。私の力を全て奪って行使されるこれは、もはや神の権能に等しい。リュウヤの力は溺愛の権能。相手を心から愛し、相手に心から愛されるそんな力だよ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。 でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ! これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!

IXA
ファンタジー
30年ほど前、地球に突如として現れたダンジョン。  無限に湧く資源、そしてレベルアップの圧倒的な恩恵に目をつけた人類は、日々ダンジョンの研究へ傾倒していた。  一方特にそれは関係なく、生きる金に困った私、結城フォリアはバイトをするため、最低限の体力を手に入れようとダンジョンへ乗り込んだ。  甘い考えで潜ったダンジョン、しかし笑顔で寄ってきた者達による裏切り、体のいい使い捨てが私を待っていた。  しかし深い絶望の果てに、私は最強のユニークスキルである《スキル累乗》を獲得する--  これは金も境遇も、何もかもが最底辺だった少女が泥臭く苦しみながらダンジョンを探索し、知恵とスキルを駆使し、地べたを這いずり回って頂点へと登り、世界の真実を紐解く話  複数箇所での保存のため、カクヨム様とハーメルン様でも投稿しています

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...