クラス転移でハズレスキルすら出なかった俺、山に捨てられる〜実は俺を独占したい女神様の計画通り、権能を与えられたので、悠々自適に暮らします〜

マグローK

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第48話 エディカ救出成功

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「はあ、はあ。危なかったな」

 奥まった部屋だっただけに、生き埋めにされるところだったが、なんとかその前に逃げ切ることができた。
 揺れ始めてからは時間があったし、城にいた人はきっと助かっていることだろう。

「おかえりリュウヤ。しっかりやってきたみたいだね」
「ただいまティシュラさん。はい。しっかりやってきました」

 俺たちは混乱に乗じて国を出て、そのまま死の山まで戻ってきていた。

「なんだかあっという間だったわね」
「でも、エディカちゃんは助かったし万事解決でしょ?」
「ああ。本当にありがとう。なんと礼を言ったらいいか」
「いいんだよ気にしなくて。俺だって助けられたんだし、なあ?」

 皆が口々にエルディーに声をかけ、今回のエディカ救出がうまくいったことを労っている。
 留守を任せていたみんなもエディカ救出成功を喜んでいるようだ。

「その、エルディー、感動の再会というか助けた瞬間を奪って悪かったな」
「いや、あれは別に、気にしてないさ……」

 やはり、エディカが自分じゃなく俺に走ってきたことに関して、わりとショックなようだ。
 言葉では気にしてないと言っているが、うつむいて珍しく気落ちしているように見えるエルディー。

「まったく、望んでいた本人がそんなテンションでは成功したのに失敗したみたいではないか? やれやれなのだ」
「そうだな……」

 今のエルディーはデューチャに対しても切れ味が悪い。
 まあ、わからんでもない。やっと自由になった妹が、何故か自分ではなく初めて会った男に向かっていけば、誰だって似たような気持ちになるのだろう。
 兄弟なんていなかったからわからないが、きっとそうなんだ。

 いや、それだけじゃないか。
 正直、今、俺が一番居心地悪い。

「溝口様。アタシはいつ肌をくっつけられるのですか?」
「大槻はちょっと黙っててくれないか?」
「はいぃ!」

 もちろん謎にはあはあ言ってる大槻のせいではない。
 いつの間にか溝口様と呼ばれているが、関係ない。
 俺は俺のことを見上げている幼女へと視線を移した。

「お兄ちゃん。頭撫でて? これまで頑張ったね、ってエディカをほめて?」

 山に来てからこの様子。助けた時から少しおかしかったエディカが、一番俺になついてしまったのだ。
 小さい子のやることだし、ダメと言うこともできず、俺はエディカに目線を合わせてできる限りの笑顔を作り、頭を撫でてやる。

「よく頑張ったな」

 俺のキャラじゃないが、なつかれてしまったから仕方ない。
 ぎこちない動作に一部から笑い声と悲鳴が聞こえてくるが気にしない。
 目の前の幼女は俺の対応がお気に召したらしい。とても可愛らしい笑顔で俺をまっすぐに見つめてくる。そう、エディカは純粋である。

「んふふっ! お兄ちゃん大好き!」
「おう、ありがとうな」

 お返しとばかりに、今度はエディカがハグしてくる。

「エディカっ……!」

 そんなこんなでエルディーへのダメージは絶大だった。
 じゃっかんシスコンの気質があるのか、エルディーはエディカの様子にさみしげだ。

 ああ、マジでどうしよう。子どもの扱いは慣れてないんだよな。
 助けた直後は戦っている最中だったからエルディーに任せるのも簡単だったが……うーん。

「フェイラ。なあ、どうしたらいい? 俺はどうしたらいいんだ?」
「え? 喜んでるんだからこれでいいんじゃない?」
「そうなのか?」
「うーん」

 さすがに、こんないたいけな幼女にまで憎悪を向けることはないらしく、フェイラも知恵を絞ってくれるようだ。
 こんな時のための溺愛の女神様だ。

「思いに応えてあげればいいんじゃない?」

 前言撤回。
 平常運転だった。
 何も解決しない。

「フェイラお姉ちゃんもああ言ってるからエディカ、お兄ちゃんにもっと甘えていい?」
「えぇっと、ほら、本物のお姉ちゃんに甘えるってのはどうかな?」

 エルディーを見ながら俺がエディカにそんな提案をする。
 エルディーも自分を指しながら、こくこく頷きエディカをじっと見つめている。

「エディカ。私もいるぞ」

 媚びるようなエルディーの様子に笑いをこらえながら、エディカを見ると、エディカはエルディーを一瞬見ただけでふいっと俺の方に向き直った。

「ああっ!」
「お姉ちゃんベタベタするからお兄ちゃんがいい」
「そんな。私は風呂だって入ってるぞ」
「やだ」

 どうやら風呂に入っているかどうかではないみたいだ。
 口を尖らせてエルディーに答えてから、エディカは俺を見つめてきた。

「お兄ちゃんは嫌?」

 不安そうな顔をするエディカに、俺ははにかみつつ頭をくしゃくしゃっと撫でてやる。
 せっかく助かって安心しているんだ。
 きっと小さい子のすることだすぐに飽きるだろう。
 キャラじゃないくらいどうした。溺愛の権能を使いこなすにはこれくらいこなせなくっちゃな。

「嫌じゃないさ。俺でいいならいくらでも甘えればいい」
「うん!」
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