TS転生したら、カードゲーム系アニメのノリで美少女令嬢とダンジョン探索してた

マグローK

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第40話 私の正体。僕の正体

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 みふだちゃんのプライベートダンジョン上層。

 サポート型というその個体特性ゆえ、ユメウサギと単体で遭遇したいため、僕らは上層第一区画を移動していた。

 千伊香ちゃんには別枠で頼んでいるので、僕は今、みふだちゃんと2人きり。

「なんだか、最初の頃を思い出すね」

 なんて、みふだちゃんは遠い昔を思い出すように言い出してきた。

「そうだね」

 少ししんみりしながらも、思い起こされるのは、甘い言葉に誘われて探索を始めてしまった時のことでも、ドレスアップさせられた時のことでもない。
 僕は別のことを考えていた。
 言い出さなくてはいけないこと。

 自然、心臓の音がドクドクとうるさくなってくる。

「み、みふだちゃん。話があるんだ」

「何? なんでも聞くよ? 告白でも、そしりでも」

「どちらかと言えば、ある種告白かな」

「え、な、何かな?」

 髪をいじり出したみふだちゃんを横目に、僕の歩くスピードは少しだけ速くなってしまう。

 やはり怖い。

 みふだちゃんは自らの正体を明かしてくれた。
 世界チャンピオンだったこと、コーダとの因縁。そして、失くした相棒のこと。

 きっと、言葉にしてくれた通り、言い出しにくかったのだろう。

 その気持ちは痛いほどわかる。

 実のところ、僕の方もみふだちゃんに隠していたことがある。

 それこそ、ほとんどヒントらしいヒントも与えずに黙っていたことだ。
 周りだってほとんど知らないこと。一度だけ、過去を知る試験官の人に指摘されたことがある程度のこと。

「突拍子もない話をするんだけど、許してもらえる?」

「もちろん。ダンジョンなんて存在が突拍子もないんだから」

「よかった」

 ほっと胸を撫で下ろす。

 目的のユメウサギの居場所はみふだちゃんがだいたい把握してくれている。

 場所を言われて、僕もなんとなくどこだかわかっている。

 だから、あまり時間がある訳じゃないということも知っている。
 このタイミングで言わなきゃ、きっと機会を逃して一生言わないままだろう。

「あのさ」

「うん」

「僕さ、人間じゃないんだ」

「えーっと……?」

 さすがに意味がわからなかったのか、みふだちゃんは止まった。

 それに合わせて僕も止まる。

「ど、どういうこと? ごめん。予想してたタイプの告白じゃなかった。わたしも一応探索者だけど、暗号はあまり得意じゃなくって」

「そのままの意味だよ」

「そのまま?」

「うん」

 まだわからない、そう言いたげなみふだちゃんに僕はゆっくりとうなずいた。

「僕は人そっくりの人を作ろうとして生まれた、人でない人形。その中に代替案として人の魂が入れられただけのまがいもの。それも偶然の産物だけどね」

「……そんなの、探索者多しと言えど、実現できないんじゃないの?」

「そう。本来ならね。でも、実現はした。してしまった。代償として、僕の両親は探索者としての未来を失った」

「……」

 探索者の中でも一部しか知らない事実。
 都市伝説として語られることがあるだけで、実際に起きだことだと信じている人間は数えるほどしかいないだろう、そんな出来事。

 人を作ろうとした探索者の話。

 ただ、表向きは探索中の不幸な事故として記録されている。両親の身体へのダメージは、あくまでモンスターからの攻撃として処理されている。だが、事実は違う。実際は、僕が生まれてしまったことが原因だ。

 それは、ルールを破ったから。それは、禁忌を犯したから。それは、神に近づきすぎたから。

 許されない行いの代償は高くつく。

「でも、実現したってことなら、歴ちゃんは人間ってことじゃないの? 体も成長してるよね?」

「そう。人間そっくりに、人間の機能が再現されている。それだけならまだいいかもしれない。ただ、中身に入った魂が見かけとは全く別物でね」

「別物?」

「そう。僕は元々男たったんだよ。それも、成人した男。そのおかげで色々と苦労してきたし、色々と苦労してる。身長も今はスキルでマシになったけど、人形だからか発育が悪くって大変だったよ」

「ふむふむ。なるほどなるほどなるほどね? それならわたしも納得かな。歴ちゃんのキャラといい立ち回りといい」

「え?」

 今度は僕が驚かされる番だった。

 みふだちゃんは疑うではなく、なぜかしきりにうなずいて見せたのだ。
 それこそ言葉通り、僕のことを理解して見せたような。

「疑ったり、嫌ったりしないの?」

「しないよ。だって、ダンカプレイヤーはモンスターとだって一緒に戦うんだよ? 人外なんて今さらだよ」

「そうじゃなくても、男ってことの方は?」

「探索者はいっぱいいるからね。わたしはこの世界で女になった探索者の人たちを色々見てきた。いつだかからちらほら見るようになったからね。でも、だからって変わらない人だった。なのに歴ちゃんだけを嫌う理由はないじゃん。夢もあるしさ! あ、途中で変わったりしてないよね?」

「それはないそれはない」

「じゃあ大丈夫。わたしの知ってる歴ちゃんだもん」

 呼び方も態度も変わらない。
 笑顔の見え方も変わらない。

 それがプロなのかもしれないけれど、計り知れない安堵が胸の内に押し寄せてくる。

 目まで熱くなってくる。

 本当、僕の前世ってスッカスカだったのかな。
 こんな年下の女の子に救われた気になってるなんて。

「この話、千伊香ちゃんは一緒じゃなくてよかったの?」

「あの子にはまだ内緒にしておこうかと思って。お姉様キャラは不服だけど、もう少しお姉様でいてあげたいから」

「大丈夫だと思うけどね」

 みふだちゃんの太鼓判があればきっと大丈夫だろう。

 その日が来るのもそう遠くない。

 ユメウサギを捕まえれば、あとはコーダとの戦いを残すのみだ。
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