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第11話 正式に姫の兵に!
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剣聖に一度剣を振られただけで理解できた。
剣の実力だけなら、僕は確実に実力不足だ。
どれだけ人から不評を買っていても、剣聖の名は伊達じゃないということだろう。
とかなんとか、初めて入る姫様の部屋で現実逃避的に考え事をしてしまっていた。
なんだか部屋の匂いからしてこれまでの環境とはまったく別物で、どうしたらいいのかわからなくなる。というよりわからない。
「ふふっ。そんなに緊張しなくていいんですよ? 英雄様」
「英雄だなんて。僕は何も」
「暴走した剣聖を一人で無力化するなんて、英雄以外の何者でもないですよ。私のお父様ももう少し理解があればよかったのですけど」
「セスティーナの買い被りすぎです。正式に兵として認めてくださったのに文句なんて言えませんよ」
「そんなことないですよ。リストーマ様はもう少しわがままになるべきです。剣聖を前に武器も持たずに立ち向かう勇気、そして、ジョブの扱いや剣さばき。どれも素晴らしかったんですから」
「あ、ありがとうございます!」
「ふふっ」
僕としてはできることをやっただけだ。反省する箇所は多い。
それでも、姫様に素晴らしかったなんて言われると、素直に嬉しい。
ちょっと、評価が高すぎる気がするけど、それだけ親身になってくれているということだと思う。
何にしても、剣聖から姫様を守ることができてよかった。
剣聖が挑発に乗ってくれたからこそ、国の外に追い出すことができたのだ。初めからすべてを破壊する目的で動かれていたら、きっとこうはならなかったと思う。
そういう意味では、僕の実力不足で姫様を不必要に危険にさらしてしまった。戦闘で恩恵を受けないジョブだからこそ、もっと努力しなくてはいけない。
「そうです。リストーマ様なら、王国騎士団にも負けないのではないですか?」
「そうおっしゃっていただけるのは嬉しいのですが、さすがにそれはどうでしょう? 難しいかと思いますが」
「勝てますよ! この国一の剣の腕を持つと言われていた剣聖を圧倒ことができたのです。王国騎士団の誰を相手取っても負ける理由がありません。せっかくですし、少し試合をしていただけませんか? ……わ、私としては、リストーマ様が活躍する姿をまた見たいです」
どうだろうか。僕にそんなことできるだろうか。
結論を出すにはやってみないとわからない。
正直なところ、僕は王国騎士団の実力がどのようなものなのか知らない。
だから、姫様から見て勝てると言われても、どうでしょうとしか言えない。
興味はある。あるけど……。
「うーん。そうですね。確かに、試合とまではいかずとも、王国騎士団の方から剣を習ってみたいですね。僕の実力はまだまだですし」
「ご謙遜を。それならちょうどいいですね。決まりです!」
「い、いやしかし、迷惑では? 王国騎士団ともなれば、普段から忙しいでしょうし、お時間をいただくことなど」
「大丈夫です。迷惑なんて、そんなことありません。リストーマ様は私の兵ですよ? もうすでに一員のようなものです。あとは私にお任せください!」
姫様は胸を張ると、自信満々の笑みとともに、ぽんっとその胸を叩いてみせた。
かわいらしいその様子に、僕は思わず反論することを忘れてしまっていた。
数日後。
姫様の部屋がノックされた。
「姫様、お迎えにあがりました」
「今参ります」
話に聞いていた、王国騎士団の一員と思われる男がやってきたようだ。
「では、行きましょうか」
「はい……」
どんな人だろうと備えながら、僕はドアを開けた。
「お待たせしました、フロニア様」
姫様が外に出ると、真っ先に目に飛び込んできたのは、僕より背の高い金髪の男性が僕を鋭い視線で見下ろしる光景だった。
思わず背筋が伸びる。
「は、初めまして。リストーマと申します」
僕があと、男性は厳しい顔を優しい笑みに変えた。
「こちらこそ初めまして。私はライツ・フロニアと申します。本日はよろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします!」
「リストーマ様、緊張しすぎですよ」
「はは」
「そうです。私に対してそのような緊張不要ですよ」
「し、しかし、王国騎士団の方と試合ができるなんて、光栄で」
「嬉しい限りです」
出会い頭の印象が嘘のように優しい雰囲気。
人を見かけで判断しちゃいけないな。
僕はほっと少し胸を撫で下ろした。
「それでは試合をする場所に向かいましょうか」
「では、姫様はこちらで」
「はい」
少し高くにある、試合場が見下ろせる場所に着くとフロニアさんがそう言った。
姫様とは一度、ここでお別れらしい。
「リストーマ様。頑張ってくださいね」
「はい! やれるだけやります」
「気合いが入ってますね。それに、リストーマ様は姫様から相当好かれているようだ」
「も、もう! やめてください」
「……すみません」
空気がひやっとした。
フロニアさんの表情は変わっていないのだが、先ほどまでと雰囲気が変わったような気がする。
「それでは私たちも行きましょうか」
「は、はい」
なんだったんだろう。気のせいだろうか。
わからない。
一番最初に見た、冷酷そうなフロニアさんの顔が思い出される。
「お前が姫様をたぶらかしているリストーマってガキか」
「え?」
「迷惑なんだよ。最近やっと姫様を追っかけてた変態貴族がいなくなったばかりなんだ。お前は俺がぶっ潰すしてやる」
なんでか知らないけど、嫌われてる!?
剣の実力だけなら、僕は確実に実力不足だ。
どれだけ人から不評を買っていても、剣聖の名は伊達じゃないということだろう。
とかなんとか、初めて入る姫様の部屋で現実逃避的に考え事をしてしまっていた。
なんだか部屋の匂いからしてこれまでの環境とはまったく別物で、どうしたらいいのかわからなくなる。というよりわからない。
「ふふっ。そんなに緊張しなくていいんですよ? 英雄様」
「英雄だなんて。僕は何も」
「暴走した剣聖を一人で無力化するなんて、英雄以外の何者でもないですよ。私のお父様ももう少し理解があればよかったのですけど」
「セスティーナの買い被りすぎです。正式に兵として認めてくださったのに文句なんて言えませんよ」
「そんなことないですよ。リストーマ様はもう少しわがままになるべきです。剣聖を前に武器も持たずに立ち向かう勇気、そして、ジョブの扱いや剣さばき。どれも素晴らしかったんですから」
「あ、ありがとうございます!」
「ふふっ」
僕としてはできることをやっただけだ。反省する箇所は多い。
それでも、姫様に素晴らしかったなんて言われると、素直に嬉しい。
ちょっと、評価が高すぎる気がするけど、それだけ親身になってくれているということだと思う。
何にしても、剣聖から姫様を守ることができてよかった。
剣聖が挑発に乗ってくれたからこそ、国の外に追い出すことができたのだ。初めからすべてを破壊する目的で動かれていたら、きっとこうはならなかったと思う。
そういう意味では、僕の実力不足で姫様を不必要に危険にさらしてしまった。戦闘で恩恵を受けないジョブだからこそ、もっと努力しなくてはいけない。
「そうです。リストーマ様なら、王国騎士団にも負けないのではないですか?」
「そうおっしゃっていただけるのは嬉しいのですが、さすがにそれはどうでしょう? 難しいかと思いますが」
「勝てますよ! この国一の剣の腕を持つと言われていた剣聖を圧倒ことができたのです。王国騎士団の誰を相手取っても負ける理由がありません。せっかくですし、少し試合をしていただけませんか? ……わ、私としては、リストーマ様が活躍する姿をまた見たいです」
どうだろうか。僕にそんなことできるだろうか。
結論を出すにはやってみないとわからない。
正直なところ、僕は王国騎士団の実力がどのようなものなのか知らない。
だから、姫様から見て勝てると言われても、どうでしょうとしか言えない。
興味はある。あるけど……。
「うーん。そうですね。確かに、試合とまではいかずとも、王国騎士団の方から剣を習ってみたいですね。僕の実力はまだまだですし」
「ご謙遜を。それならちょうどいいですね。決まりです!」
「い、いやしかし、迷惑では? 王国騎士団ともなれば、普段から忙しいでしょうし、お時間をいただくことなど」
「大丈夫です。迷惑なんて、そんなことありません。リストーマ様は私の兵ですよ? もうすでに一員のようなものです。あとは私にお任せください!」
姫様は胸を張ると、自信満々の笑みとともに、ぽんっとその胸を叩いてみせた。
かわいらしいその様子に、僕は思わず反論することを忘れてしまっていた。
数日後。
姫様の部屋がノックされた。
「姫様、お迎えにあがりました」
「今参ります」
話に聞いていた、王国騎士団の一員と思われる男がやってきたようだ。
「では、行きましょうか」
「はい……」
どんな人だろうと備えながら、僕はドアを開けた。
「お待たせしました、フロニア様」
姫様が外に出ると、真っ先に目に飛び込んできたのは、僕より背の高い金髪の男性が僕を鋭い視線で見下ろしる光景だった。
思わず背筋が伸びる。
「は、初めまして。リストーマと申します」
僕があと、男性は厳しい顔を優しい笑みに変えた。
「こちらこそ初めまして。私はライツ・フロニアと申します。本日はよろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします!」
「リストーマ様、緊張しすぎですよ」
「はは」
「そうです。私に対してそのような緊張不要ですよ」
「し、しかし、王国騎士団の方と試合ができるなんて、光栄で」
「嬉しい限りです」
出会い頭の印象が嘘のように優しい雰囲気。
人を見かけで判断しちゃいけないな。
僕はほっと少し胸を撫で下ろした。
「それでは試合をする場所に向かいましょうか」
「では、姫様はこちらで」
「はい」
少し高くにある、試合場が見下ろせる場所に着くとフロニアさんがそう言った。
姫様とは一度、ここでお別れらしい。
「リストーマ様。頑張ってくださいね」
「はい! やれるだけやります」
「気合いが入ってますね。それに、リストーマ様は姫様から相当好かれているようだ」
「も、もう! やめてください」
「……すみません」
空気がひやっとした。
フロニアさんの表情は変わっていないのだが、先ほどまでと雰囲気が変わったような気がする。
「それでは私たちも行きましょうか」
「は、はい」
なんだったんだろう。気のせいだろうか。
わからない。
一番最初に見た、冷酷そうなフロニアさんの顔が思い出される。
「お前が姫様をたぶらかしているリストーマってガキか」
「え?」
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