世界で唯一の天職【配信者】と判明した僕は剣聖一家を追放される〜ジョブの固有スキルで視界を全世界に共有したら、世界中から探し求められてしまう〜

マグローK

文字の大きさ
12 / 69

第12話 調子に乗るな:王国騎士フロニア視点

しおりを挟む
 視界の上書きが世界中で確認されてすぐ、姫様が見知らぬ男を連れているのを見た。

 どこかで見た顔だったような気もするが、王国から与えられたと思われる衣服に着せられている様から、おそらく街で見かけただけだろう。

 姫様に迫っていた変態貴族をやっと処理できたと思い安心していた野田が、すぐに変なひよっこがまとわりついていて、正直胸がムカついてきた。

「なあ、最近の姫様、どう思うよ」
「前より楽しそうだよなー。やっぱり年が近い男の子がついてるからじゃねぇ?」
「姫様も年頃だしなぁ。そりゃそうか」
「わかる。それに、最近は親近感湧くっつーかな? 少し近寄りやすい印象になった気がするし」
「ま、近寄れないんだけどな」
「でも、やっと子どもらしいところが見られて、俺たちとしては安心だ。お前は違うのか? フロニア」
「……ああ」

 他のヤツらはこんな調子で、ひよっこのことをなんとも思っていないらしい。あんな頼りないヤツを置いていて、いざという時、姫様を守れるとは思えない。

 俺は、姫様とほとんど接点のないただの一騎士にすぎない。どれだけ近くにいようとも、名前すら覚えられていないだろう。

 だが、それでいいのだ。
 そうあるべきなのだ。

 覚えられようとするなどおこがましすぎる。

 だが、こうして俺たちが姫様の話をできるようになったのは、あの兵を近くに置くようになったからだろう。
 これは、今まで完璧だった姫様の戦略かもしれない。

 実際に、俺の見た限りだが、騎士団の者たちの意識は変わっている。
 確かに、姫様が歩み寄ってくれているのかもしれない。

「何かあったなら相談に乗るぞ? 俺たち同じ騎士団の仲間だろ?」
「いや、いい。お前たちには関係ない」

 肩に乗せられた手を払い、俺は距離を取る。

 そして、一人剣を振る。

「あいつ。自分を特別だと思ってるよな」
「今のもやな感じだし」
「仕方ないさ。あいつはただ一人、実力だけでここまで上がってきたんだ」
「それは認める。騎士団長を除けば、ここじゃあいつが一番強いからな」
「でも、あの態度はないだろ」

 ガヤガヤと騒ぎ立てるザコども。

 俺は、弱いヤツらが嫌いだ。

 自分の力がないくせに、他人を悪く言い、自らが努力しない言い訳しか並べない。

 そのくせ強者がスキを見せれば、全力で引きずり下ろそうとする。
 俺はそうはなりたくないと努力を積み重ね、実力で王国騎士団に入ったのだ。

「……俺はっ、俺はっ!」



 後日、ひよっこが正式に姫様の兵として雇われたことを聞いた。

 どんな経緯か聞きたくもない。話半分に聞き流した。

 どうせ、そこらのひよっこが顔だけで好かれて運よく選ばれたのだろう。それで疑いもせずにのこのこ入ってきたに違いない。

 ちょうど剣聖が国外追放されるなんて事件があった直後だし、国も混乱していて、姫様の事情を汲むことができないのだろう。

 そんな矢先、王国騎士団に、そのひよっこと試合をしてほしいという依頼が姫様から舞い込んできた。

「姫の兵が相手だろ? お前がやれよ」
「やだよ。見かけた感じからしてジョブは持ってそうだったけど、ケガさせたらどうなるかわからないだろ?」
「でも、訓練だって話だしさぁ」

 誰もやろうとしなかった。だから、俺が手を挙げた。
 好都合だった。

「俺がやります」
「フロニア、お前……」

 全員が俺の顔を意外そうに見ていた。

「誰もやりたくないんだろ? だったら、俺がやる」
「意外だな。そんなに熱心に教えたがるなんて」
「別に……」
「少し見直したぞ!」
「ああ。俺、お前のことを誤解してたかもしれない」
「そうか…………」

 真意は話さない。
 話したところで理解されるわけがない。

 だが、俺はひよっこを潰す機会を得られたことで、笑いを抑えることができなかった。

「んだよ照れてんのかー?」
「そうだそうだ! 実は人のこと好きなんだろう! この照れ屋め!」

 周りの言葉など無視だ。



 とうとうその日がやってきた。

 姫様を案内し終え、ひよっこと二人。

「お前が姫様の兵か」
「え、そうですけど……」

 少しのやり取りでわかった。
 こいつが姫様の兵になったのは姫様の気まぐれじゃない。このひよっこは姫様をたらし込んでいる。

 城の中で好き勝手生きるために、いいように吹き込んでいるに違いない。

 立場を理解していないのか、はたまたとぼけているのか不思議そうな視線を向けてくる。
 人畜無害そうだが油断ならない。そもそも、こんなヤツ、どこで見つけてきたのか。どこの馬の骨ともわからないヤツが姫様専属の兵になるなどおかしすぎる。

 顔つきまで姫様をバカにするようなものに思えてきた。

「これから行うのは本気の訓練だ。いくら姫様に目をかけられているからって、ケガしても泣くなよ?」
「ケガくらいなら大丈夫ですよ。腕がつながっていたら御の字です。これまでは日常的にケガをしているような状態でしたし、本当に運がよかったです。それでも大丈夫です。全力でお願いします!」
「……。当たり前だ」

 冗談なのか本気なのかわからないな。

 だが、ここからなら姫様にも声が聞こえない。

「習いたいなんて舐めたこと言ってるようだから言っておくが、お前は俺がここで潰す」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」  テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。  この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。  誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。  しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。  その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。  だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。 「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」 「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」  これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語 2月28日HOTランキング9位! 3月1日HOTランキング6位! 本当にありがとうございます!

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

処理中です...