世界で唯一の天職【配信者】と判明した僕は剣聖一家を追放される〜ジョブの固有スキルで視界を全世界に共有したら、世界中から探し求められてしまう〜

マグローK

文字の大きさ
55 / 69

第55話 母を巻き込み脱出す

しおりを挟む
「いい声を聞かせてもらったわ。久しぶりによーく笑わせてくれたわね」

「母様!」

「母様と呼ぶなあっ! お前のことを自分の子どもだと思ったことなど、ただの一度としてないわ!」

「くっ……」

「リストーマくん……」

「大丈夫。わかってたことだから。でも、やっぱり少し……」

 改めて、ダンジョンに閉じ込められるほどのことを僕はしてきたのか? と考えてしまう。

 僕としてはそんなことをした記憶はないが、相手からすればわからない。

 ただ、母はもう、母だっただけ……。

「今なら外にはリストーマくんのママだけだよね」

「フラータ? 何するつもり?」

「今度はフラータがリストーマくんを助ける番。今からこの岩を吹き飛ばす。大丈夫。ママは力になってくれなくても、隣にはフラータがいるんだから。リストーマくんは大丈夫だよ」

「ありがとう」

 そうだ。

 たとえかつての家族に見放されても、僕はもう一人じゃない。

 僕には一緒にいてくれる仲間たちがいる。姫様やサーピィ、ニュードラ。それに、フロニアさんたち。

 そして今はフラータもいる。

 もう、怖くない。

「いっくよー」

「待って。僕がやる。僕が背負うんだ」

「……。わかった」

「何よこの虫唾が走る感覚。気持ち悪い……。私たちに迷惑かけることがそんなに楽しいっていうの?」

「そうは思わない。今の僕には、あなたたちよりも大事な人たちがいるだけだ」

「しゃべり方まで気に食わないって話は本当なのね。せっかくリトートと同じケガを負わせるだけにしようと思ったけど、そんな甘いもので終わらせてやるものですか」

「知らない。関係ない。僕はもう、迷わない!」

 元の家族よりも今の仲間たち。

 僕は前に進むために一歩を踏み出すんだ。

「ん? ねえ、何か音しない?」

「音?」

「あら、やっと気づいたかしら? 準備は今の分だけじゃないのよ?」

「え? え? まだ落ちてくるの?」

「なるほど。ハナから同じケガで終わらせるつもりはなかったのか」

「だまらっしゃい!」

 先ほどまでは安定していた天井がガラガラと音を立て始めた。

 母のスキルで壊れた状態に戻ろうとしている。

「え、ど、どうするの? さすがにこれだと今崩れちゃったところを壊しても、上が崩れてきて押し潰されちゃうよ?」

「ええ。そういうこと。一緒に入った子は賢いようだけど、残念ね。一緒に潰れてちょうだい。そして、一緒に入ったことを恨むことね」

「そんな必要はない。問題ないさ」

 外には守るべき人は誰もいない。

 それなら、遠慮する理由は一つもないってことだ。

「フラータ。安全そうなところまで下がってじっとしてて」

「どうするの? リストーマくんも助かるよね?」

「大丈夫。助かる。まあ見ててよ」

「……わかった」

 さて、これで周りに気を使う必要はない。

 相手はただの岩石だ。魔獣のように複雑な動きはしない。

「ここらあたりか? うーん。こっちの方かな」

「何をしようとムダよ。どこまで逃げようと、そこから先の天井は連鎖的に崩れるよう計算してあるんだもの。死んだフリをしていれば、まだ天井が残って助かる可能性があったかもねぇ」

「なるほどここか。えい! えい!」

「あっ! くっ!」

 ビンゴ。ちょうど母に当たったらしい。

 認識できない速度でスキルを使って位置を把握したから、簡単に当てられた。

 どのくらいの石がぶつかったかまではわからないけど、文句を言えないくらいにはダメージになったらしい。

「こ、このくらい。私のスキルがあれば」

「いいんですか? あなたが魔法を使えば、ここらの状態も元に戻ってしまいますよ?」

「ふん。そんなハッタリ通用しないわ。自分のスキルの使い方くらい心得てるもの」

「治さないんですね。それじゃあ、終わりってことで」

「何を言ってるのかしら? それはそっちの方でしょ? 時間稼ぎに引っかかったのはそっちだものね」

 とうとう時間が来たのか、ガラガラと大きな音を立てて天井が崩壊してきた。

 この量なら対処できそうだ。

「はああ!」

「え、え、な、え! うあっ!」

 天井の崩落。

 そんなもの、準備できる状況ならばどうってことはない。

 危機状況を想定した訓練は死ぬほど受けているのだ。

 さすがにお金が大量に降ってくるような状況は想定していないが、ダンジョンで天井が落ちてくる状況は、魔獣に囲まれた状態の場合、魔獣の能力によって起こされた場合などなど、さまざまな状況を想定して、フロニアさんたちから訓練を受けてきている。

 だから、

「これくらい、いなしながら脱出へつなげることなんて簡単ですよ!」

「やめっ! 痛いっ。待って。直す。直すわ。だから。うっ。ああっ!」

「残念ながら、手を止めると僕が潰されてしまうので」

「あっ。あああああ!」

 小石を弾く要領で、大岩を弾き飛ばす。すると面白いように吹っ飛んでいく。

 コツは岩の心臓部を見極めることだ。

 怪鳥が飛ばしてきた岩石を切る時もこの技は役に立った。

 一つ一つ確実に弾き飛ばす。

 さて、

「これで、最後ぉ!」

「おおっ! すごいすごいよ!」

「ありがとう」

 フラータの拍手が嬉しい。

 これにて、ダンジョンもしっかりと出入りができる状態に戻り……。と言っても、ちょっとだけ地形が変わってしまったなぁ。

「痛い。痛いわ……」

「あなたなら自分で治して帰れるでしょう。もちろん。ダンジョンの方を先に直すことになるのでしょうけど」

「ま、待って。母を、母を置いていかないで。悪かったわ。今までのことは謝る。だから、ねえ待って、待って! 私を置いていかないでよぉ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

追放されたら無能スキルで無双する

ゆる弥
ファンタジー
無能スキルを持っていた僕は、荷物持ちとしてあるパーティーについて行っていたんだ。 見つけた宝箱にみんなで駆け寄ったら、そこはモンスタールームで。 僕はモンスターの中に蹴り飛ばされて置き去りにされた。 咄嗟に使ったスキルでスキルレベルが上がって覚醒したんだ。 僕は憧れのトップ探索者《シーカー》になる!

能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。 でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ! これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

処理中です...