椿の花の咲くころにーずっと尽くしてきたけど彼の選んだのは別の女性でした。だから私自身を大切にしたら幸せになりましたー

梅雨の人

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尽くす女は夜道を一人で歩くのが怖くて速足になってしまった

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「雄太、おかえりー。」 

「おう、ただいま。腹減った…。」 

「ふふふっ、お疲れ様。ご飯できてるよ。今温めるから着替えてきたら…って、またそんなとこに脱ぎっぱなしにして…。仕方ないなあ…。洗濯機にほかに持っていくのはない?」 

「ん?ない。で?今日は何作ったの?肉、魚?」 

「今日はお肉だよ。豚の生姜焼き、好きだったでしょ?」 

「おお、だからか。部屋の外までいい匂いがすると思った。」 

「はい、どうぞ。」 

「おおっ美味そう、食おうぜ。」 

「うん、お腹空いたね。頂きます!」 


何をつくってもおいしそうに食べてくれるのは雄太の良いところだ。 


「ちょっと雄太、野菜もちゃんと食べなきゃ。」 

「食べてるじゃねーか。あー生姜焼き最高。まだ残ってる?」 

「うん、あるよ。ちょっと待っててね、あと野菜も一緒に…」 

「野菜はもういいや。そんなに野菜ばかり食えるかよ。」 

「そう…?ねえ、ところで今度の週末なんだけど…」 

「週末?金曜の夜は佐々木先輩達に飲みに誘われてて、土曜はいつものゴルフに行ってくる。何か用事でもあった?」 

「ううん。特に用事はないんだけど…」 

(たまには、金曜の夜にディナーに行ってそのままどこかに泊まりたかったんだけどな…。それに友達が土曜の午後から一緒にお茶でもと誘ってくれたけど、雄太がゴルフから帰ってくるのが昼過ぎだから…断った方がいいか…) 

 
「ハァー美味かった。風呂入ってくる。もうすぐ帰るんだろ?気をつけて帰れよ?」 

椅子に脱ぎっぱなしのスラックスを残して、振り返ることもないまま風呂に直行した雄太を見送りながら急いで後片付けをした。 

明日の朝のトースト用のパンと、綺麗に盛ったフルーツとヨーグルトにラップをかけて、それからコーヒーをペーパーフィルターにセットしたのを確認してから、急いで一人夜道を駅に向かった。夜道を女一人で歩くのは怖くて、速足になってしまうのは仕方ないだろう。 

深夜近くに、自宅に戻った私は、雄太の家で下準備をした弁当の材料を冷蔵庫に入れてからシャワーに直行した後にベッドに横になった。 

それから雄太からのメッセージがないと分かっていても、もしも無事に帰ったか心配してメッセージをくれていたら申し訳ないと思ってスマホをチェックした。届いていたのはよく利用するスーパーマーケットの特売メールだけだった。 

(明日は雄太に何を夕飯に作ってあげよう...あ、ひき肉安い!よしっ。明日はハンバーグにしようっと。でもこの特売の牛ひき肉でハンバーグを作ったって知られたら機嫌を悪くするだろうから黙っておかなくちゃ...) 
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