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巻き戻り前
相反する心
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牢に入れられたリズリーはレオナルドの訪れに歓喜した。
「レオ!来てくれると思ってたわ!早くここから出して!」
「うるさい、喚くな。貴様には聞きたいことが山ほどあるんだ。答えろ。何を俺に使ったんだ。どうやって俺に取り入ったんだ。答えろ!」
「レオ、違うわ。あなたが私に一目で落ちたのよ。ほら、こんな感じでね。」
そう言ったリズリーの薄紅色の瞳はレオナルドの視線を捕らえた。
するとレオナルドは
「そうだったな……。」
とつぶやいた後、周りが止めるのも聞かずにリズリーを牢から出し部屋に戻してしまった。
牢から出てきたリズリーは疲労のためベッドから動けずにいたのでレオナルドはわずかな間だが、傍に付き添っていた。
周囲はこの男の態度が再び豹変してしまったことに、動揺を隠せずにいた。
アイシャの身の危険を心配した護衛や使用人たちはすぐにアイシャを部屋から出さず鍵を閉めておくように伝えた。
「ねえ、レオ。寒いわ。ぎゅって抱きしめてよ。」
「…うっ…すまないリズリー。用事を思い出したから少し出てくる…。」
「ちょっと、レオ?!待って!」
そう引き留めるリズリーに振り向きもせず部屋を出た。
実をいうと先ほどからレオナルドの中でリズリーを牢に入れておくべきだという感情と、そんな事とんでもないと非難を浴びせる感情がせめぎあっているのだ。
「…ッアイシャッ…そうだ…アイシャに会いに行かなければ…」
指輪にふと触れた瞬間再びアイシャを思い出したレオナルドはそのままアイシャのいる部屋に向かった。
リズリーが牢から出されたことなど知る由もないアイシャが目を開けるとそこにはちょうど戻ってきたレオナルドがそこにいた。
すると、急にバンッと扉が開きリズリーが狂気の表情で部屋に乱入してきた。
静寂を破ったその不穏な状況に振り返ったレオナルドはアイシャをとっさに抱き上げその背に庇うように立ちはだかった。
制止しようとしていた者達を振り切ったリズリーはアイシャめがけて刃を振り下ろそうと突進してきた。
一瞬の出来事でリズリーに切られそうになったレオナルドをかばうように、アイシャがその身を盾にして愛する夫を守りその場に崩れ落ちた。
「アイシャ!アイシャ!だめだ!俺を見るんだ!アイシャ!」
「レオ …。」
息を引き取ったアイシャを嗚咽をこぼして抱きしめるレオナルドに笑顔を向けるリズリーは異常で、しかし護衛がすぐにリズリーを再び拘束した。
「レオ!来てくれると思ってたわ!早くここから出して!」
「うるさい、喚くな。貴様には聞きたいことが山ほどあるんだ。答えろ。何を俺に使ったんだ。どうやって俺に取り入ったんだ。答えろ!」
「レオ、違うわ。あなたが私に一目で落ちたのよ。ほら、こんな感じでね。」
そう言ったリズリーの薄紅色の瞳はレオナルドの視線を捕らえた。
するとレオナルドは
「そうだったな……。」
とつぶやいた後、周りが止めるのも聞かずにリズリーを牢から出し部屋に戻してしまった。
牢から出てきたリズリーは疲労のためベッドから動けずにいたのでレオナルドはわずかな間だが、傍に付き添っていた。
周囲はこの男の態度が再び豹変してしまったことに、動揺を隠せずにいた。
アイシャの身の危険を心配した護衛や使用人たちはすぐにアイシャを部屋から出さず鍵を閉めておくように伝えた。
「ねえ、レオ。寒いわ。ぎゅって抱きしめてよ。」
「…うっ…すまないリズリー。用事を思い出したから少し出てくる…。」
「ちょっと、レオ?!待って!」
そう引き留めるリズリーに振り向きもせず部屋を出た。
実をいうと先ほどからレオナルドの中でリズリーを牢に入れておくべきだという感情と、そんな事とんでもないと非難を浴びせる感情がせめぎあっているのだ。
「…ッアイシャッ…そうだ…アイシャに会いに行かなければ…」
指輪にふと触れた瞬間再びアイシャを思い出したレオナルドはそのままアイシャのいる部屋に向かった。
リズリーが牢から出されたことなど知る由もないアイシャが目を開けるとそこにはちょうど戻ってきたレオナルドがそこにいた。
すると、急にバンッと扉が開きリズリーが狂気の表情で部屋に乱入してきた。
静寂を破ったその不穏な状況に振り返ったレオナルドはアイシャをとっさに抱き上げその背に庇うように立ちはだかった。
制止しようとしていた者達を振り切ったリズリーはアイシャめがけて刃を振り下ろそうと突進してきた。
一瞬の出来事でリズリーに切られそうになったレオナルドをかばうように、アイシャがその身を盾にして愛する夫を守りその場に崩れ落ちた。
「アイシャ!アイシャ!だめだ!俺を見るんだ!アイシャ!」
「レオ …。」
息を引き取ったアイシャを嗚咽をこぼして抱きしめるレオナルドに笑顔を向けるリズリーは異常で、しかし護衛がすぐにリズリーを再び拘束した。
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