もうあなたを離さない

梅雨の人

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巻き戻り前

愚かなリズリー2

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それにしても、何が急にレオナルドをこんな風に変えてしまったのかと不思議に思う。

そして、まだレオナルドのしたことをすべて許せるわけではないが、それでも私の為に力を尽くそうとしてくれるレオナルドを目の当たりに出来てうれしく思ってしまう。

相変わらず自分で食べさせてくれないレオナルドが私の口にフルーツを運んでは顔中にキスの嵐を振らせてくる。

咀嚼しづらいし恥ずかしいのでやめてほしいと伝えようとしたところで、はっと息をのむ音がして私たちは動きをとめた。


「…レオッ…噓でしょ??何してるの?私のことだけを愛してるって言ってくれてたわよね?」

そういったリズリーは今日も全身をギラギラと装飾品で飾り立て、食堂の入り口に立ち尽くしていた。

「すまないが、なぜ君にそんなことを言ったのか私には全く理解できない。本心ではなかったと断言できるし、そもそも私が愛する女性はただ一人、妻であるアイシャだけだ。」

「嘘よ!!嘘っ!そんなわけあるはずないじゃない!」

そういったレズリーは急に金切り声を上げそのまま私を鋭く睨みつけたあと突進してきた。

一瞬の出来事で使用人もあっけにとられ、私も恐怖で固まってしまったが、レオナルドがすぐに私の前に出てレズリーを床で押さえつけ駆け付けた護衛がレズリーを地下牢に連れて行った。

突然の出来事に恐怖で震え固まることしかできなかった私をレオナルドがすぐに戻って来て抱きしめてくれた。

「アイシャ、すまなかった。けがはないか?」

「レオ、助けてくれてありがとう。ええ、ケガはないわ。レオも大丈夫?」
「俺なんかを心配してくれなくていいんだ…。俺が不甲斐ないせいで君にこんな思いをさせてしまった。本当にすまない。どうか見捨てないで…。」

そう言ってさらに力を込めて抱きしめてきたレオナルドの肩は震えていた。

その後、私の傍から決して離れようとしないレオナルドにもう大丈夫だと何とか説き伏せた私は、リズリーの先ほど見せた殺意の湧いた表情を思い出し再び身震いした。

リズリーは平民で、今回、貴族であるアイシャに襲い掛かろうとしたのだからそれなりに重い刑に問われることになるのは間違いないだろう。

それからレオナルドは、ずっと疑問に思っていたことを聞き出すため、最後に牢屋にいるリズリーに会いに向かった。
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