今更あなたから嫉妬したなんて言われたくありません。

梅雨の人

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他人事

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「それはそれは、おめでとうございます、殿下。お祝いは何が宜しいでしょうか。」 

「…あっ…いや…祝いなど気にしなくていいんだ。その…君は…嫌ではないのか?」 

笑顔は愚か、自分のことを以前のように名前で呼んでくれなくなってしまったエルザが、プリシアが懐妊したと聞いて少しは嫉妬してくれるだろうかと、ルーカスには内心期待していたところがあった。

しかし意を決してプリシアの懐妊をエルザに告げたというのに、本人は特に思うところもないといった感じで、嫉妬どころか他人事のように祝いを何にすればいいのか尋ねてきた。

プリシアが自分との子を身籠ったという事実をただの他人事のように受け止めているエルザの様子にルーカスは頭をかち割られたような衝撃をうけた。

「……っそういえばっ、エルザが嫁いでくる前に私の気持ちだと贈ったイヤリングがあっただろ?君がつけているのを見かけたことがないのだが。あれは君に気に入ってもらえたのだろうか。」 

「イヤリング…ああ...そういえば殿下から以前頂きましたわね。申し訳ございません殿下。大変すばらしい贈り物をしていただいたのに、身につけるような機会も全くございませんでしたもので。今後もしそのような機会がごさいましたら是非使わせていただきますわ。」 

「あれをつけるような機会がなかった…か…そうか。確かにそうだったな…すまない、エルザ…君に夫婦らしいことなど何もしてやれていなかったな…。今度必ず君と過ごす時間を作るからその時こそあのイヤリングをつけてくれると嬉しい。」 

「そのようなことを殿下が気になさらずとも、私にはダグラス様がついてくれておりますので。申し訳ございませんがこの後面会が入っておりますの。では後日何かお祝いを贈らせていただきますね。」 

「.........そうか。失礼した。......エルザ......いや、なんでもない。では.....。」 

 そう言って肩を落として去っていったルーカスをダグラスとエルザは冷めた目で見送った。 


それからすぐに王太子妃の懐妊が公に発表されてからというもの、日々の日課のようにプリシアを労わり寄り添うルーカスが庭園をゆっくりと歩いているのが目撃されるようになった。 
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