今更あなたから嫉妬したなんて言われたくありません。

梅雨の人

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祈り

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エルザが去って半年がたった頃、王都に近い村で、大型の魔獣が飛来したと報告がされた。 

なんと数百年来の魔獣の出現に人々は震撼したが、聖女プリシアに皆、縋るように助けを求めたのだった。 

人々が、聖女プリシアの出番を待ちわびる中、魔獣の被害はどんどん広がっていった。

国王からプリシアにその聖なる力で魔獣を撃退するよう命令が下り、被害地へ向かわさる途中、顔色をなくしたプリシアの背中に冷や汗が伝っていた。

「……まさかっ…まさか今になって聖女の出番があるなんてっ…あんなに大金を積ませて…聖教会に虚偽の申告までさせたのにっ、やっと…やっと聖女の地位を手に入れたというのにっ…」 

まさか聖女の出番があると夢にも思っていなかったプリシアは、その現状に震えあがった。

しかしどうしても真実を口にすることが出来ないプリシアのことなど知らない一同は着々と足を進めていき、遂に被害に襲われている村にプリシアが到着したのはその二日後のことだった。 

プリリアが聖女の力を発揮できるわけがなく、それどころか、被害にあった人々を目の当たりにしたプリシアは泣きわめき、聖女プリシアの到着を期待していた人々は絶望に襲われた。 

そして、村々はその後も魔獣に襲われ続け民や兵に悲惨な被害が続出していった。 

エルザは魔獣被害の話を聞きつけ、被害にあった人々を想い心を痛めていた。

既に王家とは何の関係もないが、かつては第二妃として国の民の生活を守る役割を担ってきたエルザにとっては、他人事でないように思えたのだった。 

聖女プリシアがその力で民を救うことを心から祈ったが、その後、聖女プリシアの力が何の役にも立っておらず被害が悪化しているだけだと知らせが入った。 

愕然としたエルザは被害にあっている人々を想い、無力な自分を惨めに感じたていた。

そんなエルザを城を辞してもなお傍に寄り添い続けるダグラスは励ましたのだった。 
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