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その想いは伝わる
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「ダニエル君、そんなに緊張しなくても大丈夫だ。…ああ、私たちは賛成だよ。陛下に話は聞いているから後は、エルザの意思に任せる。エルザ、ダグラス君と庭でも散歩してくるように。」
ウィリアムソン侯爵夫妻に見送られたダニエルは耳まで真っ赤になっており、エルザはただ言われるがままダニエルを庭園へ案内した。
「ああ…遂にエルザが私の元から去ってしまうんだな…ルーカス殿下の時は腹が立って仕方なかったのに、今回は全く逆の気分だ。しかし…私の可愛いエルザが…しかもまた王家に…」
「ふふふっ、あなたったら…エルザの幸せを祈りましょう?」
「ああ…そうだな…」
そんな会話を両親がしているなど思いもよらないエルザは、咲き誇る花々をダグラスと眺めていた。
「ダグラス様…顔が少し赤くなっているみたいですけれど、どこか具合でもお悪いのでしょうか?無理をなさらないで?」
「いやっ…具合が悪いわけではないんだよ、エルザ…。ふぅっ…………」
するとエルザを見つめたまま突然ダグラスはその場で跪いたのだった。
「エルザ…私は君のことがずっと好きなんだ。君だけをずっと見てきた。
エルザがルーカス殿下の婚約者に決まったときから白い結婚で戻ってくることになるまで、私は自分の気持ちを君に伝えるべきではないと思っていた。ずっとこの思いを胸に秘めていたがもうこの気持ちを抑えることが出来そうにない。
…実は先日、陛下よりルーカス殿下が廃太子されることが決まり、私が代わりに王太子の座に就くことになった。陛下とは私がエルザと共に在りたいという事を話してある。
もしエルザが望んで私の元へ来てくれるというのなら…エルザが再び王家に嫁ぐ了承を得てきた。
誤解しないでくれ。
私が王太子になるからエルザと一緒になりたいというのではなくて、私はエルザとしか一緒になりたくないんだ。
こんな私だが、エルザ…どうか私と生涯を共にしてはもらえないだろうか…」
「ダグラス様…私でよろしいのですか?
白い結婚で家に戻ってきた私などで、ダグラス様の妻が務まりますでしょうか…。
学園でも王宮に嫁いだ後も…私の辛いときにいつも寄り添って下さったダグラス様に感謝しております。
ダグラス様の傍はとても心地よくて…ずっとダグラス様の深い愛に守られていたのですね…、とても嬉しい。
好きにならないわけないではないですか…。今の私の心はダグラス様でいっぱいなのです。
こんな私でもダグラス様をお慕い申し上げていると伝えても宜しいのでしょうか…。」
「ああっ。ああ、もちろんだとも、エルザ!エルザ…エル…愛しているよ…」
長い月日をかけてようやく気持ちを通わせることが出来た二人はしばらくその場で抱きしめ合った。
ウィリアムソン侯爵夫妻に見送られたダニエルは耳まで真っ赤になっており、エルザはただ言われるがままダニエルを庭園へ案内した。
「ああ…遂にエルザが私の元から去ってしまうんだな…ルーカス殿下の時は腹が立って仕方なかったのに、今回は全く逆の気分だ。しかし…私の可愛いエルザが…しかもまた王家に…」
「ふふふっ、あなたったら…エルザの幸せを祈りましょう?」
「ああ…そうだな…」
そんな会話を両親がしているなど思いもよらないエルザは、咲き誇る花々をダグラスと眺めていた。
「ダグラス様…顔が少し赤くなっているみたいですけれど、どこか具合でもお悪いのでしょうか?無理をなさらないで?」
「いやっ…具合が悪いわけではないんだよ、エルザ…。ふぅっ…………」
するとエルザを見つめたまま突然ダグラスはその場で跪いたのだった。
「エルザ…私は君のことがずっと好きなんだ。君だけをずっと見てきた。
エルザがルーカス殿下の婚約者に決まったときから白い結婚で戻ってくることになるまで、私は自分の気持ちを君に伝えるべきではないと思っていた。ずっとこの思いを胸に秘めていたがもうこの気持ちを抑えることが出来そうにない。
…実は先日、陛下よりルーカス殿下が廃太子されることが決まり、私が代わりに王太子の座に就くことになった。陛下とは私がエルザと共に在りたいという事を話してある。
もしエルザが望んで私の元へ来てくれるというのなら…エルザが再び王家に嫁ぐ了承を得てきた。
誤解しないでくれ。
私が王太子になるからエルザと一緒になりたいというのではなくて、私はエルザとしか一緒になりたくないんだ。
こんな私だが、エルザ…どうか私と生涯を共にしてはもらえないだろうか…」
「ダグラス様…私でよろしいのですか?
白い結婚で家に戻ってきた私などで、ダグラス様の妻が務まりますでしょうか…。
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ダグラス様の傍はとても心地よくて…ずっとダグラス様の深い愛に守られていたのですね…、とても嬉しい。
好きにならないわけないではないですか…。今の私の心はダグラス様でいっぱいなのです。
こんな私でもダグラス様をお慕い申し上げていると伝えても宜しいのでしょうか…。」
「ああっ。ああ、もちろんだとも、エルザ!エルザ…エル…愛しているよ…」
長い月日をかけてようやく気持ちを通わせることが出来た二人はしばらくその場で抱きしめ合った。
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