今更あなたから嫉妬したなんて言われたくありません。

梅雨の人

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初夜

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初夜を終えた日の朝、エルザが目が覚めるとダグラスはエルザの寝顔を惚けるようなまなざしで見つめていた。 
エルザの目が覚めた時が付いたダグラスはすかさずエルザにおはようの熱いキスを送った。

寝顔を見られ、まだ産まれたままの姿のでいることに気が付いたエルザは顔を赤くしうろたえた。 

それなのにそんなエルザにたまらないといった表情でキスを繰り返すダグラスは、やっと夫婦になることがかなったことに今ら信じられない気持ちでいた。

「愛しいエル、おはよう。体は大丈夫かい?……ああ…幸せだ…」 

そう言って蕩けるような顔で抱きしめてくるダグラスにエルザは羞恥で身もだえたのだった。

ニコニコと幸せそうな顔で甲斐甲斐しく世話をしようとするダニエルになされるまま、エルザはダニエルにただその身を任せた。

その後この二人が寝室から三日間外へ出てくることはなかった。
 

エルザとダグラスが初夜を迎えていた間の執務は、前王太子であるルーカスと宰相が仕切っていた。 

「私はどこから間違えていたのだろうな。エルザを愛する気持ちは紛れもないものだったのに。今回、あんなにエルザが幸せそうな顔をしているのを久しぶりにみたよ。幼いころから私は彼女だけを愛していたというのに…」 

何も答えない宰相をおいて、ルーカスは少し外の空気を吸ってくると言い残し部屋を出ていった。 

初夜の日から依然、ダグラスと部屋に籠るエルザに思いを馳せた。

妻として娶りながらも、夢に見るほどまで焦がれた女の肌に触れる機会も、あんな幸せそうな顔をさせてやることもなかった愚かな過去を思い出していた。

想い焦がれていた女が他の男に抱かれているという現実に、眠れぬ夜を過ごしていたルーカスはただただ項垂れるしかなかった。 
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