今更あなたから嫉妬したなんて言われたくありません。

梅雨の人

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再び彼女の気持ちを自分に向けるには

「ダグラス様…申し訳ございません。恥ずかしい話を聞かせてしまいましたわね。」 

「いいえ…エルザ様。私のことは気になさらず。しかし本当にお断りしてよろしかったのですか?」 

「ええ、もちろん。今更あの殿下と閨を共にしてどうなるのです?私の殿下への気持ちもなくなってしまったことですし、いつかこの城を去っていくことを唯一の希望として持ち続ける私にとっては、何が何でも避けたい事ですわ。」 

伺うような表情で見てくるダグラスに向けたエルザは吹っ切れたすがすがしい表情をしていた。 

 

「何?エルザは月の物が始まっていたのか…。仕方がない…また次の機会にするとしよう。」 

初夜のやり直しがその日できないというエルザの伝言を聞かされたルーカスは、無念の表情を浮かべた。 

しかしまた次の機会にというルーカスの言葉を聞いていた側近は、今日閨を共することは諦めたとしても、少なからずエルザの元を訪ねて時間を共にするべきなのではないかと思ったが、先ほどのエルザの苦々しい表情を思い出し余計なことは言うまいと口をつぐんだのだった。

側近がそんなことを考えているなど夢にも思っていないルーカスは、またしてもエルザと閨を共にする機会が伸びてしまったことをひどく残念に感じていた。


一方、出産が間近のプリシアだが、未だに盛ったネコのようにルーカスに毎晩密着してこようとするのをやんわり拒むのが、プリシアの妊娠が発覚して以来のルーカスの夜の日課となっていた。 

エルザが嫁いで以来、ルーカスをエルザに近づけないようにしようとするプリシアの執念は異常ともいえるほどで、ルーカスは幸せとは言い難いプリシアとの夫婦生活を送っていたのだった。 

よくよく考えたら、初夜のやり直しをしようとしたところでエルザの元に通うことは難しかったのだと思い至ったルーカスは腹立たしさで椅子を蹴り上げてしまった。


それからというもの、ルーカスはなかなか近づくことの叶わないエルザに宝飾品などを頻繁に贈るようになった。 

しかしエルザがそれらを身につけることが一切ないと報告を受けたルーカスは一々落ち込み、どうにかしてエルザの気持ちを自分へ向けようと思考を巡らせた。

そうこうしているうちに遂にプリシアが産気づき、待望の第一子となる男児が誕生したのだった。 

王子誕生の喜びは瞬く間に広がり、城中は喜びに包まれた。

本人たち以外は―――。 

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