見捨てられたのは私

梅雨の人

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「亮真さん、小雪さん、お義母さまがお待ちですのよ。」 

「ああ、琴葉義姉さん。そういえばそんなことを言っていたな。」 

「ねえ、小雪さん。あまり言いたくありませんが、せっかく皆さん寛いで楽しい時間を過ごしてらっしゃるのに、こんなに遅れてきて平然としてらっしゃるなんて。」 

「それについては小雪が先ほど申し訳なかったと言っていた。」 

「それでも亮真様の婚約者という立場でこんなに遅れてくるなんて。」 

「あの、こちらの招待状には15時からと書かれておりましたので。」 

「どれ、小雪見せてみろ。なんだこれは。本当に15時と書かれている。誰がこんな…。」 


「あら、…そうでしたのね。では仕方ありませんわね。特別な日に大切な方が遅れていらっしゃるなんて私には耐えられそうもありませんでしたので、少しムキになってしまいましたわ。ごめんなさいね、小雪さん?」 

ねえ、と微笑まれるお義姉様に亮真様も私に視線を向けてきます。 

 

「…いえ、とんでもございません。琴葉お義姉様。」 

 
「…あら?どうしたっていうの?折角の祝いの席だっていうのに亮真やみなさんにこんな顔をさせるだなんて。小雪さんいったいこれはどういうことなのかしら?」 

「母上まで…、これは小雪のせいではないのです。」 

「まあ、こんな状況でも小雪さんを亮真はかばうのねえ。何時間も遅れてきてなんてことかしらねえ。」 


「あの…。本日はお招きいただきありがとうございました。亮真様にお祝いの言葉もお祝いの品も送ることができましたので失礼ですが今日はこれで失礼いたします。ごきげんよう、亮真様、お義母さま、皆様。」 


私が来たことで一気に場を白けさせてしまったのだと理解するのに時間がかかりませんでした。今日は私は来るべきではなかったのでしょう。 

「小雪」 

「皆様お騒がせしました。さあ、亮真さん」 
 

遠くから亮真様と琴葉お義姉様の声が聞こえますが振り返ることなく外に待たせてある藤堂家の車の方に足を進めます。
 

「小雪待ってくれ。」 

「…本日はおめでとうございます。遅れてしまい申し訳ございませんでした。先ほども申し上げましたが失礼させていただきますので私のことはお気になさいませんよう…。」 
 

「なぜ…」 

「なぜ?」 

 

「なぜ小雪が帰る必要がある?それに…君との約束を大事な日に破ってしまったことを謝りたかった。一緒に過ごすことができなくてすまなかった。怒っていないのか?支払いもなぜ私にまわさなかった?」 

「あの日は…ずっと、ずっと亮真様をお待ち申し上げておりました。大丈夫です。飲み物一つで閉店までご迷惑をおかけしてしまったものですので、お詫びに心ばかりの支払いをさせていただいただけですので。」 
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