見捨てられたのは私

梅雨の人

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「小雪、いいところに来たな。ちょうどこの前頼んでおいた品が届いたところだ。さあ、小雪。すべてお前のものだ。今日から好きに身に着けるといい。」 

「お兄様…すごい量ですが。」 

「いいや、そんなことはないさ。お前は藤堂の娘で私の妹。これ位まだ少ないほうだ。---まさかあいつがお前に何も贈ってないなど思わなかったよ…。」 

「え?お兄様、何かおっしゃいました?」 

「いや、なんでもないさ。とにかく、嫁入り前と変わり映えのしないものを身に着けるその慎み深さもよいが、小雪の兄としてはもっとお洒落を楽しんでほしいんだ。ただの私のわがままだから素直にすべて受け取ってくれ。いいな?」 

「お兄様…」 

「それはそうと小雪の19の誕生日に父さんたちも旅先から戻ってくると言っていたな。家族水入らずで祝うというのはどうだ?」 

「よろしいのですか?それはとてもうれしいのですが…」 

「ああ、大河内の連中を気にしているんだな?」 

「ええ。さすがにもう体調も回復いたしましたのでこのままというわけにはいかないでしょう?」 

「いや、そこは小雪の好きにしたらいいさ。別に我が家としては小雪が大河内を出ようがなんてことはないのだから。」 

「そうなのですね…。でも…。」 

「ああ…わかったよ。仕方ない。もしも小雪が向こうの連中を呼びたいのならそうしたらいい。家の者を使わせよう。」 

「そう…ですね。ずっとこのままというわけにも参りませんし…」 

◇◇◇◇


「亮真君、いらっしゃい。」 

「お義母さん、お義父さん、ご無沙汰しております。」 

「小雪は孝一朗が用事があるって連れて行ってしまったの。もうすぐ来ると思うわ。あ、話してるそばから来たわね。」 

「小雪…」 

「まあ…小雪、すごくきれいよあなた。さすが孝一朗ね。妹への愛情が恐ろしいわ…。小雪に似合うものがよくわかっているわね。」 

「当たり前ですよ、母さん。このくらい序の口ですよ。まだまだ足りないくらいです。」 

「我が息子ながら恐ろしいな…」 

「ねえ、あなた…」 

「とにかく、小雪も十九歳になったのね。おめでとう。」 

「ありがとうございます、お父様お母さま。」 

「おめでとう、小雪」 

「ありがとうございます、お兄様」 


「小雪…おめでとう」 

「…亮真様…わざわざおいでくださってありがとうございます。」 

「ああ…その…「さあ、今日は小雪の好物をそろえたからな。そろそろ席に着こうか。」 

「ねえ、孝一郎?こちらにいらっしゃい。折角亮真君がいるのにあなたが小雪の反対側に座っちゃったら小雪も亮真君も話しづらいのではなくて?」 

「母さん、別に私は二人の邪魔などしておりませんよ。私の隣だと小雪も安心できるのですから仕方ないではありませんか。」 

「…そう…なのかしら?ねえ、あなた?」 

「…」 

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