見捨てられたのは私

梅雨の人

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「小雪、少しいいか?」 

「ええ、亮真様。最近お忙しいようで。お体のほうは大丈夫でございますか?」 

「ああ、それなら心配ない。それで、君に伝えなければならないことがあるのだが…実は兄さんが第二夫人を娶ることになった。というか、すでに娶ってしまった。彼女は兄さんと事業を共にしている成宮家の次女なのだが。」 

「お義兄様が第二夫人をですか?それは…」 

「ああ。私も信じられない思いなのだが。それで、義姉さんだが…さすがに参ってしまってるんだ。実家にすでに居場所がないらしくて兄さん達が仲睦まじく屋敷でいるのも我慢できないからと言ってずっと宿に泊まっている。」 

「それは…」 

「ああ、私も心配で義姉さんに会いに行ったのだが…。ずっと義姉さんを宿に置いておくのはどうかと思うんだ。それで、この屋敷の離れに義姉さんを一時的に預かることにしようと思う。」 

ああ、お義姉様がついに離れといえどもこの屋敷に住まわれることになるのですね…。 
 

そしてその次の日、お義姉様が離れに到着いたしました。 

お義姉様を支えるようにして亮真様が付き添っていらっしゃいます。 

お義姉様にご挨拶をと思いお迎えの準備をしておりましたが、私を一瞥したお義姉様と亮真様は無言のまま離れへ進まれて行きました。準備したお義姉様の住まわれる離れは一階建てではありますが広々として大変住みやすくなっております。 

母屋とはほんの少し離れた場所に立っておりますので、荷物がどんどん離れに運ばれるのを眺めております。 

お義姉様と亮真様は離れに入ってから出てまいりません。 

その日、夜も遅くなり日付が変わって亮真様は戻ってまいりました。

◇◇◇◇
 

「亮真様、お義姉様にご挨拶に伺いたいのですが。」 

「小雪、義姉さんも心が落ち着いたら君に挨拶をしたいと言っていたからそれまではそっとしておいてあげてくれないか?頼む。」 

「しかし…」 

「とにかく私は今からまた義姉さんの様子を見に行く。君はできるだけ義姉さんを刺激しないよう気を付けてあげてくれ。」 

「刺激しないように…ですか?」 

「ああ。では私は離れに行ってくる。」 

 

そういわれて離れに向かわれた亮真様はその日再び深夜になって戻って来られました。 

 ◇◇◇◇

「奥様、太賀さまがお越しでございます。」 

「旦那様は?」 

「旦那様は…使用人を離れに呼びに向かわせたのですぐにこちらにいらっしゃるかと…」 

亮真様はこの二日間のほとんどを離れで過ごされております。何度も折れてしまった心がじくじくと痛んでおります。

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