73 / 147
69
しおりを挟む
「寒くない、義姉さん?」
「少し寒いわ、亮真さん」
「ほらこれ」
「ありがとう、でもこれじゃあ亮真さんが寒いんじゃない?」
「大丈夫だ」
「じゃあこうしたらどうかしら?亮真さんの外套 大きいんだもの。」
「ああ、暖かいな。」
「でしょう?」
「ああ」
亮真様の外套を琴葉様がお戻しになって、そのまま亮真様の外陰の内側に入られてました。
くっつく様にして亮真様を抱きしめておられます。
「義姉さん…」
とてもお幸せそうな二人の姿に心がきしみます。
お義兄様がお義姉様を連れて帰られた次の日から毎日のようにお義姉様は亮真様を訪ねて来られております。
こうして庭を一緒に歩いて、屋敷に入り熱いお茶を共にし談笑してそれからしばらくして帰っていかれております。
毎日繰り返されるこの光景は、もしもそれが私の旦那様でなければとても美しいと思うことができるのでしょうか。
お義姉様はお屋敷でお義兄様と美知恵お義姉様の仲睦まじい光景に傷つき、私はここで亮真様と琴葉お義姉様のこの光景に傷ついているのです。
ああ、なるほどと思いました。私がいなければすべて丸く収まるべき場所へ収まるのです。ようやくそのことに気が付くことが出来ました。
◇◇◇◇
本日は大河内家の本家、つまり太賀お義兄様のお屋敷へ私たち夫婦でご挨拶にきております。美知恵お義姉様と正式に顔合わせをするためでございます。
「小雪さん、美知恵に会うのは初めてだったよね?紹介するのが遅れてしまってすまない。小雪さん、美知恵だ。よろしく頼むよ。美知恵、こちらが小雪さんだ。」
「小雪と申します。よろしくお願いいたします。」
「美知恵と申します。こちらこそどうぞよろしくお願いいたします。」
色白でふくよかな美知恵さまは性格が滲み出ているかのような優しいほほえみを向けてくださいました。亮真様と同じくらいのお年だとお見受けいたしました。
「兄さん、琴葉義姉さんは?」
「琴葉は声をかけたがまだ時間がかかると言っていた。後から来るさ。ああ、来たな。」
「亮真さんいらっしゃい!」
「わっ、義姉さん、そんな慌ててこなくてもよかったのに。」
「そんな寂しいこと言わないで?亮真さんが来てくれてうれしいの。」
「大げさだな。義姉さん。」
「もう少しいてくれるんでしょう?」
「いや、今日は挨拶に顔を出しただけだからすぐに帰る。我が家もあとで来客があるから帰らなければならない。」
「そうなの?」
「ああ、すまない、義姉さん。じゃあ、兄さん、また。…美知恵さんも。小雪、帰ろう。」
「はい、亮真様。では失礼いたします。」
車を運転して帰路に就く亮真様は終始難しい顔をしております。
屋敷に戻った亮真様とその日、顔を合わせることはございませんでした。
「少し寒いわ、亮真さん」
「ほらこれ」
「ありがとう、でもこれじゃあ亮真さんが寒いんじゃない?」
「大丈夫だ」
「じゃあこうしたらどうかしら?亮真さんの外套 大きいんだもの。」
「ああ、暖かいな。」
「でしょう?」
「ああ」
亮真様の外套を琴葉様がお戻しになって、そのまま亮真様の外陰の内側に入られてました。
くっつく様にして亮真様を抱きしめておられます。
「義姉さん…」
とてもお幸せそうな二人の姿に心がきしみます。
お義兄様がお義姉様を連れて帰られた次の日から毎日のようにお義姉様は亮真様を訪ねて来られております。
こうして庭を一緒に歩いて、屋敷に入り熱いお茶を共にし談笑してそれからしばらくして帰っていかれております。
毎日繰り返されるこの光景は、もしもそれが私の旦那様でなければとても美しいと思うことができるのでしょうか。
お義姉様はお屋敷でお義兄様と美知恵お義姉様の仲睦まじい光景に傷つき、私はここで亮真様と琴葉お義姉様のこの光景に傷ついているのです。
ああ、なるほどと思いました。私がいなければすべて丸く収まるべき場所へ収まるのです。ようやくそのことに気が付くことが出来ました。
◇◇◇◇
本日は大河内家の本家、つまり太賀お義兄様のお屋敷へ私たち夫婦でご挨拶にきております。美知恵お義姉様と正式に顔合わせをするためでございます。
「小雪さん、美知恵に会うのは初めてだったよね?紹介するのが遅れてしまってすまない。小雪さん、美知恵だ。よろしく頼むよ。美知恵、こちらが小雪さんだ。」
「小雪と申します。よろしくお願いいたします。」
「美知恵と申します。こちらこそどうぞよろしくお願いいたします。」
色白でふくよかな美知恵さまは性格が滲み出ているかのような優しいほほえみを向けてくださいました。亮真様と同じくらいのお年だとお見受けいたしました。
「兄さん、琴葉義姉さんは?」
「琴葉は声をかけたがまだ時間がかかると言っていた。後から来るさ。ああ、来たな。」
「亮真さんいらっしゃい!」
「わっ、義姉さん、そんな慌ててこなくてもよかったのに。」
「そんな寂しいこと言わないで?亮真さんが来てくれてうれしいの。」
「大げさだな。義姉さん。」
「もう少しいてくれるんでしょう?」
「いや、今日は挨拶に顔を出しただけだからすぐに帰る。我が家もあとで来客があるから帰らなければならない。」
「そうなの?」
「ああ、すまない、義姉さん。じゃあ、兄さん、また。…美知恵さんも。小雪、帰ろう。」
「はい、亮真様。では失礼いたします。」
車を運転して帰路に就く亮真様は終始難しい顔をしております。
屋敷に戻った亮真様とその日、顔を合わせることはございませんでした。
2,511
あなたにおすすめの小説
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
戻る場所がなくなったようなので別人として生きます
しゃーりん
恋愛
医療院で目が覚めて、新聞を見ると自分が死んだ記事が載っていた。
子爵令嬢だったリアンヌは公爵令息ジョーダンから猛アプローチを受け、結婚していた。
しかし、結婚生活は幸せではなかった。嫌がらせを受ける日々。子供に会えない日々。
そしてとうとう攫われ、襲われ、森に捨てられたらしい。
見つかったという遺体が自分に似ていて死んだと思われたのか、別人とわかっていて死んだことにされたのか。
でももう夫の元に戻る必要はない。そのことにホッとした。
リアンヌは別人として新しい人生を生きることにするというお話です。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
【完結】私の婚約者はもう死んだので
miniko
恋愛
「私の事は死んだものと思ってくれ」
結婚式が約一ヵ月後に迫った、ある日の事。
そう書き置きを残して、幼い頃からの婚約者は私の前から姿を消した。
彼の弟の婚約者を連れて・・・・・・。
これは、身勝手な駆け落ちに振り回されて婚姻を結ばざるを得なかった男女が、すれ違いながらも心を繋いでいく物語。
※感想欄はネタバレ有り/無しの振り分けをしていません。本編より先に読む場合はご注意下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる