見捨てられたのは私

梅雨の人

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突然の激しい口づけに頭の中が真っ白になります。

「…亮真様なぜ…んぅっ!」 

 

 

 

性急な口づけの後、亮真様はぎゅっ私を抱きしめたまま何もおっしゃいません。 

「…」 

「…急に…何を…亮真様?…、待って亮真様…?」 

亮真様は急に私を抱き上げズンズンと夫婦の寝室へ向かい寝台の上に私を下ろし覆いかぶさって参りました。 

 

食べられるような口づけで静かな室内には唾液が混ざり合う音ばかりが響いております。 

 

「はぁっ…小雪…」 

先程まで頂いていたケーキの味が亮真様の性急な口づけとその後の執拗な愛撫でどんどん薄れて行っているのを真っ白な頭の中の片隅で冷静に悲しんでいる私がおりました。 

なぜでしょう。一宮様にかけていただいた外陰の温かさを思い浮かべて胸が締め付けられる思いでございます。 


じっと私から目を離さない亮真様を目の前に、為す術がございません。 

「やめて…やめて下さいませ…」 

ようやく出た私の一言でございましたが亮真様はピタッと口づけを止めてくださいました。 

静寂が恐ろしいと感じるまま亮真様に抱きしめられる形で横になりました。
亮真様の腕から抜け出すことも出来ず、朝日が昇る頃になってようやく諦めて目を閉じました。 

それからというもの、私は自分の部屋から一歩も外へ出ることがかないません。 

亮真様は私の食事の時間になると必ず私のもとへいらっしゃいます。 

もう無理に体を繋げようとはなさいません。
ただずっと私を抱きしめておられるだけなのでございます。

忙しいお仕事の合間にでさえも頻繁に私を確認にやって来ては、しばらく私と時間を過ごしてまたお仕事に戻っていかれております。 

夜はずっと亮真様は私をその腕に抱きしめており、朝まで私のそばを離れてはくれません。

亮真様にずっと抱きしめられたまま落ち着かない私が目が覚めるころにはお昼を過ぎるようになりました。日中はほとんどをぼんやりと寝台の上で過ごしております。 

亮真様以外には誰とも言葉を交わすどころか姿を見ることも叶わない生活になってしまいました。 

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