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「小雪ちょっと待っていてくれ。無理をさせてしまったからな。腹が空いただろう?食事をここまで運んでくる。」
「東吾様にそんなことさせられません。私もお手伝いいたします。」
「いいや小雪はここにいて。お願いだ。俺の夢をかなえさせてくれ。可愛い小雪をめちゃくちゃに甘やかせたいんだ。」
「でも…」
「お願い小雪…」
「う…では…お願いできますでしょうか…?」
「ああ、すぐに戻るからな。」
尻尾をぶんぶんと振りながら出ていかれる東吾様を寝台の上で眺めておりますと私のお腹がぐうっと音を鳴らしました。
「東吾様にこんな音を聞かれなくてよかった…」
思わずきょろきょろして、東吾様が本当に聞いていらっしゃらなかったかと確認してしまう自分に苦笑してしまいます。
それからせめて着替えだけでもと立ち上がろうと思うのですが、足腰が震えてなかなか思うように動けません。
「小雪、戻ってきたぞ。高西夫妻がたくさん料理してくれていたよ。って、小雪。大丈夫か?」
「ええ、東吾様、お見苦しいものを見せてしまい申し訳ございません。何か羽織るものをと思ったのですが…足腰が震えてしまって…」
そう東吾様に意を決して告げますと、東吾様は天を仰ぐようにして顔を両手で覆ってしまわれました。
「あの…東吾様…?」
「いや…ちょっと待って小雪…」
なぜか悶絶してしまわれた東吾様はご自分の上着を脱いで私の肩からかけてくださいました。
朝日に輝く湖畔を目の前に頂く朝食は美味で、ゆっくりと噛み締めて頂くことが出来ました。
◇◇◇◇
朝食を頂いてからしばらくのんびりと寝台の上で抱きしめあって気が付けば二度寝をしてしまっておりました。
「これが二度寝というものなのですね。初めて二度寝をさせて頂きました…とても贅沢な気分になるものなのですね。」
「はははっ、確かにそうだな。明日も明後日も一緒に二度寝をしような小雪。」
「ふふふっ!ええ、是非。」
「よしっ、じゃあ湯につかりに行くか。」
「それは…一緒に…でございますか?」
「ああ、…小雪は俺と一緒で嫌じゃないか?」
急にシュンと耳を垂れた子犬みたいに落ち込んでおられる東吾様を前に否をどうしたら口に出せるのでしょう。
「そんな…嫌だなんて思ったことはございません。恥ずかしいですが…」
「……はぁ~たまらん…」
「東吾様?」
「…すまん小雪。意識が飛んでしまっていた。じゃあ行こうか。」
寝台ではお互い何も纏っておりませんでしたので、東吾様はそのまま私を抱き上げて浴室に向かってくださいました。
朝日で湯気が朦朧と輝いているのが幻想的で、湯につかって見とれている私を東吾様が後ろから優しく抱きしめてくださいます。
「こんな穏やかな気持ちになれるだなんて…」
思わず零れ落ちたその言葉をなぞるように東吾様は啄むような口づけを何度も私に贈ってくれるのでした。
「東吾様にそんなことさせられません。私もお手伝いいたします。」
「いいや小雪はここにいて。お願いだ。俺の夢をかなえさせてくれ。可愛い小雪をめちゃくちゃに甘やかせたいんだ。」
「でも…」
「お願い小雪…」
「う…では…お願いできますでしょうか…?」
「ああ、すぐに戻るからな。」
尻尾をぶんぶんと振りながら出ていかれる東吾様を寝台の上で眺めておりますと私のお腹がぐうっと音を鳴らしました。
「東吾様にこんな音を聞かれなくてよかった…」
思わずきょろきょろして、東吾様が本当に聞いていらっしゃらなかったかと確認してしまう自分に苦笑してしまいます。
それからせめて着替えだけでもと立ち上がろうと思うのですが、足腰が震えてなかなか思うように動けません。
「小雪、戻ってきたぞ。高西夫妻がたくさん料理してくれていたよ。って、小雪。大丈夫か?」
「ええ、東吾様、お見苦しいものを見せてしまい申し訳ございません。何か羽織るものをと思ったのですが…足腰が震えてしまって…」
そう東吾様に意を決して告げますと、東吾様は天を仰ぐようにして顔を両手で覆ってしまわれました。
「あの…東吾様…?」
「いや…ちょっと待って小雪…」
なぜか悶絶してしまわれた東吾様はご自分の上着を脱いで私の肩からかけてくださいました。
朝日に輝く湖畔を目の前に頂く朝食は美味で、ゆっくりと噛み締めて頂くことが出来ました。
◇◇◇◇
朝食を頂いてからしばらくのんびりと寝台の上で抱きしめあって気が付けば二度寝をしてしまっておりました。
「これが二度寝というものなのですね。初めて二度寝をさせて頂きました…とても贅沢な気分になるものなのですね。」
「はははっ、確かにそうだな。明日も明後日も一緒に二度寝をしような小雪。」
「ふふふっ!ええ、是非。」
「よしっ、じゃあ湯につかりに行くか。」
「それは…一緒に…でございますか?」
「ああ、…小雪は俺と一緒で嫌じゃないか?」
急にシュンと耳を垂れた子犬みたいに落ち込んでおられる東吾様を前に否をどうしたら口に出せるのでしょう。
「そんな…嫌だなんて思ったことはございません。恥ずかしいですが…」
「……はぁ~たまらん…」
「東吾様?」
「…すまん小雪。意識が飛んでしまっていた。じゃあ行こうか。」
寝台ではお互い何も纏っておりませんでしたので、東吾様はそのまま私を抱き上げて浴室に向かってくださいました。
朝日で湯気が朦朧と輝いているのが幻想的で、湯につかって見とれている私を東吾様が後ろから優しく抱きしめてくださいます。
「こんな穏やかな気持ちになれるだなんて…」
思わず零れ落ちたその言葉をなぞるように東吾様は啄むような口づけを何度も私に贈ってくれるのでした。
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