見捨てられたのは私

梅雨の人

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季節は巡りお腹が目立って参りました。 

辛いつわりが終わりホッとしたのもつかの間、だんだんと大きくなるお腹を抱えるのは大変なことで、東吾様が毎朝毎晩腰を揉んで下さらなければ今頃は腰痛で泣かされていたことでしょう。 

母になるということは本当に大変なことなのだと改めて実感させて頂いております。 

先週までの吹雪が続いておりますので東吾様が気分転換にと、湯の中にザボンをたくさん入れてくださいました。 

 
ザボンの爽やかな柑橘の匂いと潤いが全身を包み込んでくれております。 


「小雪、気持ちいいか?」 

ぼうっとしておりましたので東吾様がいらっしゃったことに全く気が付けませんでしたので、慌ててしまいました。 

「なんだ、小雪、びっくりさせてしまったか?すまないすまない。一緒に入ってもいいか?」 

「一緒にっ…でございますかっ?」 

「ああ、…恥ずかしいのか?小雪?」 

「それは…その…」 

もう何度も一緒にお湯につかってきておりますのに、何度繰り返しても恥ずかしくて鼓動がうるさくなってしまいます。 

くすっと笑みを漏らした東吾様がお湯の中に入って私の後ろから抱きしめてくださいます。 

逞しい体に身を預けて時折口づけを交わし、東吾様が肩や手を揉んでくださいます。 

「風呂から出たら足や腰も揉んでやるからな、小雪。」 

「東吾様、本当にありがとうございます。」 

「小雪が頑張っているんだ。小雪が満足するまで揉んでやるさ。」 

「東吾様…」 

お忙しい中、甲斐甲斐しく私のお世話を焼いてくださる東吾様に愛しさがこみ上げてしまった私が東吾様を仰ぎ見ますと、待ってましたとばかりに口づけが降って参りました。 

お風呂上がりの私はお湯のせいなのか東吾様のせいなのか、ほんのりと頬まで染まっております。東吾様に拭きあげられた挙句、着付けまでして頂いて、当たり前のように抱きかかえられて寝台に戻って参りました。 

体が暖かいうちが良いだろうとおっしゃって、足と腰に重点を当てて全身を揉んでくださっている東吾様の大きな手がとても気持ちよくて転寝をしてしまいました。 

そっと頬を撫でて下さる大きな掌の感触で目を醒ました私の額に口づけを落としてくださった東吾様は、そのまま寝台に潜り込んでくださいました。 

いつも眠くて仕方ない私は東吾様のぬくもりに縋るように夢の中に落ちて行ったのでございます。 

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