7 / 26
エリーの従妹
しおりを挟む
乗合馬車を乗り継いで、たどり着いたのは、海辺の潮風が気持ちよい穏やかな街だ。
宿で体を休めつつ、乗合馬車を乗り継いでここまで来るのに4日かかった。
エリーさんの紹介してくれた彼女の従妹が営むパン屋まで、歩いていく。
10分ほど歩いたところで、目的地のパン屋にたどり着いた。
色鮮やかなブルーの屋根と、真っ白な壁、流木で作ったであろう
外に並べられたテーブルと看板がとても印象的だ。
「こんにちは。ルーナさんはいらっしゃいますか?」
店に入り、店員に声をかけてみる。
「ルーナは私だよ。あんた、もしかしてメグかい?」
「はい。初めまして。エリーさんの紹介できました。
突然お邪魔して本当にすみません。」
「長旅で疲れただろう?
ちょいと、あんた!悪いけど少しここをお願いするよ?」
「おう、まかせとけ」
じゃあ、奥でお茶でもしようかね。荷物もこっちに持っておいでね。」
「はい。お言葉に甘えて。ありがとうございます。」
店の奥に入ると、ルーナさんが温かなカモミールティーをいれてくれた。
「道中、困ったことはなかったかい?」
「はい、お陰様で何事もなくここまで来ることができました。
お心遣いありがとうございます。」
「そっか。よかったよ。
あらかたの事情は、エリーから聞いたよ。
エリーもあんたのことをたいそう気に入っていたみたいだしね。
最近、一人店を辞めちまって旦那と二人で店を切り盛りするもの大変だったんだ。
ちょうどいいときに来てくれたね。あんたさえ良ければ、ここで働いておくれ。
ただし、一つ条件として、無理はしないこと。絶対に、具合が悪くなったら
すぐに私に知らせるんだよ。
あー!なんだかわくわくするねえ。
うちは子供がいないから、急に家族が増えたみたいで
うれしいったらありゃしないよ!」
「ありがとうございます!頑張りますのでよろしくお願いいたします!」
エリーさんの紹介とはいえ、ルーナさんが妊娠中のしかもこのような状況の私を
本当に雇ってくれるのか、ずっと心配していた。
だからなのか、ルーナさんのその言葉を聞けて本当にほっとした。
「じゃあ、ちょっと悪いけど、ここで1-2時間待っててもらえるかい?
店をあとちょっとで閉める時間になるからね。
ここはあんたの好きにつかっていいから。
ほら、そこの冷蔵庫にいろいろ入ってるし、本なんかもそこらにあるよ。
後であんたの住むとこに、連れてってやるからね。
疲れただろう。ゆっくりしてていいから。じゃあ。」
はきはきしていて、ルーナさんを彷彿させる風貌のエリーさんは店に戻っていった。
ソファのひじ掛けにクッションを重ね、そこにもたれかかる。
あれから、まだ一週間もたっていないのに、
私を取り巻く環境があっという間に変わってしまった。
瞼を閉じると、ブラッドの姿が浮かんできた。
どうしようもない感情をどうにか閉じ込めるように、瞼を閉じた。
宿で体を休めつつ、乗合馬車を乗り継いでここまで来るのに4日かかった。
エリーさんの紹介してくれた彼女の従妹が営むパン屋まで、歩いていく。
10分ほど歩いたところで、目的地のパン屋にたどり着いた。
色鮮やかなブルーの屋根と、真っ白な壁、流木で作ったであろう
外に並べられたテーブルと看板がとても印象的だ。
「こんにちは。ルーナさんはいらっしゃいますか?」
店に入り、店員に声をかけてみる。
「ルーナは私だよ。あんた、もしかしてメグかい?」
「はい。初めまして。エリーさんの紹介できました。
突然お邪魔して本当にすみません。」
「長旅で疲れただろう?
ちょいと、あんた!悪いけど少しここをお願いするよ?」
「おう、まかせとけ」
じゃあ、奥でお茶でもしようかね。荷物もこっちに持っておいでね。」
「はい。お言葉に甘えて。ありがとうございます。」
店の奥に入ると、ルーナさんが温かなカモミールティーをいれてくれた。
「道中、困ったことはなかったかい?」
「はい、お陰様で何事もなくここまで来ることができました。
お心遣いありがとうございます。」
「そっか。よかったよ。
あらかたの事情は、エリーから聞いたよ。
エリーもあんたのことをたいそう気に入っていたみたいだしね。
最近、一人店を辞めちまって旦那と二人で店を切り盛りするもの大変だったんだ。
ちょうどいいときに来てくれたね。あんたさえ良ければ、ここで働いておくれ。
ただし、一つ条件として、無理はしないこと。絶対に、具合が悪くなったら
すぐに私に知らせるんだよ。
あー!なんだかわくわくするねえ。
うちは子供がいないから、急に家族が増えたみたいで
うれしいったらありゃしないよ!」
「ありがとうございます!頑張りますのでよろしくお願いいたします!」
エリーさんの紹介とはいえ、ルーナさんが妊娠中のしかもこのような状況の私を
本当に雇ってくれるのか、ずっと心配していた。
だからなのか、ルーナさんのその言葉を聞けて本当にほっとした。
「じゃあ、ちょっと悪いけど、ここで1-2時間待っててもらえるかい?
店をあとちょっとで閉める時間になるからね。
ここはあんたの好きにつかっていいから。
ほら、そこの冷蔵庫にいろいろ入ってるし、本なんかもそこらにあるよ。
後であんたの住むとこに、連れてってやるからね。
疲れただろう。ゆっくりしてていいから。じゃあ。」
はきはきしていて、ルーナさんを彷彿させる風貌のエリーさんは店に戻っていった。
ソファのひじ掛けにクッションを重ね、そこにもたれかかる。
あれから、まだ一週間もたっていないのに、
私を取り巻く環境があっという間に変わってしまった。
瞼を閉じると、ブラッドの姿が浮かんできた。
どうしようもない感情をどうにか閉じ込めるように、瞼を閉じた。
908
あなたにおすすめの小説
八年間の恋を捨てて結婚します
abang
恋愛
八年間愛した婚約者との婚約解消の書類を紛れ込ませた。
無関心な彼はサインしたことにも気づかなかった。
そして、アルベルトはずっと婚約者だった筈のルージュの婚約パーティーの記事で気付く。
彼女がアルベルトの元を去ったことをーー。
八年もの間ずっと自分だけを盲目的に愛していたはずのルージュ。
なのに彼女はもうすぐ別の男と婚約する。
正式な結婚の日取りまで記された記事にアルベルトは憤る。
「今度はそうやって気を引くつもりか!?」
完結 貴方が忘れたと言うのなら私も全て忘却しましょう
音爽(ネソウ)
恋愛
商談に出立した恋人で婚約者、だが出向いた地で事故が発生。
幸い大怪我は負わなかったが頭を強打したせいで記憶を失ったという。
事故前はあれほど愛しいと言っていた容姿までバカにしてくる恋人に深く傷つく。
しかし、それはすべて大嘘だった。商談の失敗を隠蔽し、愛人を侍らせる為に偽りを語ったのだ。
己の事も婚約者の事も忘れ去った振りをして彼は甲斐甲斐しく世話をする愛人に愛を囁く。
修復不可能と判断した恋人は別れを決断した。
私を運命の相手とプロポーズしておきながら、可哀そうな幼馴染の方が大切なのですね! 幼馴染と幸せにお過ごしください
迷い人
恋愛
王国の特殊爵位『フラワーズ』を頂いたその日。
アシャール王国でも美貌と名高いディディエ・オラール様から婚姻の申し込みを受けた。
断るに断れない状況での婚姻の申し込み。
仕事の邪魔はしないと言う約束のもと、私はその婚姻の申し出を承諾する。
優しい人。
貞節と名高い人。
一目惚れだと、運命の相手だと、彼は言った。
細やかな気遣いと、距離を保った愛情表現。
私も愛しております。
そう告げようとした日、彼は私にこうつげたのです。
「子を事故で亡くした幼馴染が、心をすり減らして戻ってきたんだ。 私はしばらく彼女についていてあげたい」
そう言って私の物を、つぎつぎ幼馴染に与えていく。
優しかったアナタは幻ですか?
どうぞ、幼馴染とお幸せに、請求書はそちらに回しておきます。
【完結】最後に貴方と。
たろ
恋愛
わたしの余命はあと半年。
貴方のために出来ることをしてわたしは死んでいきたい。
ただそれだけ。
愛する婚約者には好きな人がいる。二人のためにわたしは悪女になりこの世を去ろうと思います。
◆病名がハッキリと出てしまいます。辛いと思われる方は読まないことをお勧めします
◆悲しい切ない話です。
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。
あなたへの恋心を消し去りました
鍋
恋愛
私には両親に決められた素敵な婚約者がいる。
私は彼のことが大好き。少し顔を見るだけで幸せな気持ちになる。
だけど、彼には私の気持ちが重いみたい。
今、彼には憧れの人がいる。その人は大人びた雰囲気をもつ二つ上の先輩。
彼は心は自由でいたい言っていた。
その女性と話す時、私には見せない楽しそうな笑顔を向ける貴方を見て、胸が張り裂けそうになる。
友人たちは言う。お互いに干渉しない割り切った夫婦のほうが気が楽だって……。
だから私は彼が自由になれるように、魔女にこの激しい気持ちを封印してもらったの。
※このお話はハッピーエンドではありません。
※短いお話でサクサクと進めたいと思います。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる