7 / 27
留守番戦争
第一章:6話 『悲劇の少女』
しおりを挟む
入学式から2日が経った。あの騒動があったせいか、授業が始まるのが遅れることになった。あれからユーナは事情徴収をされている。今回侵入者の狙いはユーナであったため、念のために面識がないかなどさまざまなことを聞かれるようだ。
一方のアレス、
「だあぁ~疲れたぁーー!」
貴族の休日は忙しい。今日も読書と稽古でいっぱいだった。その日課を終えて、自分の部屋のベッドでくつろいでいるときだった。
「おーい!アレスいるかーー!」
いつもは呑気な声で話しかけてくる父親がアレスを呼んでいる。だが、今回のその声にはそんな呑気さなど皆無だった。というか、いつもより真剣だった。
「(次から次へと…)何ぃ?」
部屋に入ってきたグランの顔にはやはり一切の平和的感情はなかった。さらに、いつもと違うのはそれだけではなかった。グランの右手は別の人の手が握られている。その人は同い年くらいの少女だった。全体的に整った顔、まん丸とくりくりしたかわいらしい赤色の瞳にシュッとした鼻、柔らかそうでデフォルトも綺麗なピンク色の唇、さらにそのすべてを際立たせる綺麗な銀の短髪の少女。おそらく将来は有望だろう。
だが、その少女は悲しげな顔をしていた。目の周りは少し赤くなっている。
「その子は?」
「ああ、この子の名前はアイリス・ユニコール。ユニコール家の子供なんだが、うちで預かることになった。とりあえずこの子を部屋に送ってから話がある。」
大体グランが何を話してくるのかはなんとなくわかっていた。5分ほど待っていると扉からノックの音が聞こえてきた。アレスはベッドから起き上がり、ベッドに座ってグランの話を聞く体勢になった。
「アレス、いいか?」
「何の話をするの?」
グランは一呼吸置いてから、口を開いた。
「あの子のことだよ。」
あの子というのはさっきのアイリス・ユニコールのことだろう。
「彼女は入学式の騒動で両親を失ったんだよ。だからうちで引き取って一旦面倒を見ることになったんだ。もともとユニコール家とは昔から関係を持っていたからね、俺も彼らを失ったのはとても残念だよ…。」
グランはそのことを告げるとアレスに背を向けて、部屋から静かに出て行った。アレスは再びベッドに寝転がり少し考え事をしていた。周りの大事な人が急にいなくなることの苦しさ、悲しさ、むなしさ、、恐怖、孤独…を……。
アレスは考え事をしているうちにうとうとしてきた。しかし、あと少しで意識が闇に移ろうとしたとき、再び扉のほうからノック音がした。またグランだった。
「そういえば父さんはこれからユニコール家の今後についての話し合いに行ってくるから留守番頼んだぞ。まあ、しっかり者のお前なら心配ないんだがな。」
さっきまでの表情とは一変して、明るいいつもの父の顔がそこにあった。いや、もしかしたら無理やり作っているのかもしれない。隠しきれていない悲しみがアレスには人目でわかった。
「とりあえずあの子のところに行ってみるか…。」
アレスは全身の体重を広範囲に預けていたベッドから起き上がり、そのまま部屋を出て少女のいる部屋に向かう。しかし、
「そういや父さんからアイリスのいる部屋の場所聞いてなかった……。手当たりしだい当たってみるか…。」
それから15分がたったが、
「やっぱりこの屋敷広すぎる…、地図とか作ったほうがいいんじゃないのか…。メイドに……聞けないよなぁ~…。」
いまだに見つからなかった。今日に限ってメイドは最近入った年の近いド新人メイドにそこそこ長く仕えているベテランメイド(それでも20代に見間違えるほどの美貌)の二人しかいなかった。ド素人メイド―ルキエル・フレンヤードは部屋の配置を覚えているかどうか不安だし、ベテランメイド―テーラ・メインドールはちょうど買い物に行っている時間でこの屋敷にはいない。
つまり、
「自力で探すしかないのか……。」
アレスはいっそう肩を落とし、もう一度彼女の部屋を探すために振り返ると、目の前の扉が開いた。そこから出てきたのは紛れもないあの少女―アイリス・ユニコールだった。
「――――――っ!!」
一方のアレス、
「だあぁ~疲れたぁーー!」
貴族の休日は忙しい。今日も読書と稽古でいっぱいだった。その日課を終えて、自分の部屋のベッドでくつろいでいるときだった。
「おーい!アレスいるかーー!」
いつもは呑気な声で話しかけてくる父親がアレスを呼んでいる。だが、今回のその声にはそんな呑気さなど皆無だった。というか、いつもより真剣だった。
「(次から次へと…)何ぃ?」
部屋に入ってきたグランの顔にはやはり一切の平和的感情はなかった。さらに、いつもと違うのはそれだけではなかった。グランの右手は別の人の手が握られている。その人は同い年くらいの少女だった。全体的に整った顔、まん丸とくりくりしたかわいらしい赤色の瞳にシュッとした鼻、柔らかそうでデフォルトも綺麗なピンク色の唇、さらにそのすべてを際立たせる綺麗な銀の短髪の少女。おそらく将来は有望だろう。
だが、その少女は悲しげな顔をしていた。目の周りは少し赤くなっている。
「その子は?」
「ああ、この子の名前はアイリス・ユニコール。ユニコール家の子供なんだが、うちで預かることになった。とりあえずこの子を部屋に送ってから話がある。」
大体グランが何を話してくるのかはなんとなくわかっていた。5分ほど待っていると扉からノックの音が聞こえてきた。アレスはベッドから起き上がり、ベッドに座ってグランの話を聞く体勢になった。
「アレス、いいか?」
「何の話をするの?」
グランは一呼吸置いてから、口を開いた。
「あの子のことだよ。」
あの子というのはさっきのアイリス・ユニコールのことだろう。
「彼女は入学式の騒動で両親を失ったんだよ。だからうちで引き取って一旦面倒を見ることになったんだ。もともとユニコール家とは昔から関係を持っていたからね、俺も彼らを失ったのはとても残念だよ…。」
グランはそのことを告げるとアレスに背を向けて、部屋から静かに出て行った。アレスは再びベッドに寝転がり少し考え事をしていた。周りの大事な人が急にいなくなることの苦しさ、悲しさ、むなしさ、、恐怖、孤独…を……。
アレスは考え事をしているうちにうとうとしてきた。しかし、あと少しで意識が闇に移ろうとしたとき、再び扉のほうからノック音がした。またグランだった。
「そういえば父さんはこれからユニコール家の今後についての話し合いに行ってくるから留守番頼んだぞ。まあ、しっかり者のお前なら心配ないんだがな。」
さっきまでの表情とは一変して、明るいいつもの父の顔がそこにあった。いや、もしかしたら無理やり作っているのかもしれない。隠しきれていない悲しみがアレスには人目でわかった。
「とりあえずあの子のところに行ってみるか…。」
アレスは全身の体重を広範囲に預けていたベッドから起き上がり、そのまま部屋を出て少女のいる部屋に向かう。しかし、
「そういや父さんからアイリスのいる部屋の場所聞いてなかった……。手当たりしだい当たってみるか…。」
それから15分がたったが、
「やっぱりこの屋敷広すぎる…、地図とか作ったほうがいいんじゃないのか…。メイドに……聞けないよなぁ~…。」
いまだに見つからなかった。今日に限ってメイドは最近入った年の近いド新人メイドにそこそこ長く仕えているベテランメイド(それでも20代に見間違えるほどの美貌)の二人しかいなかった。ド素人メイド―ルキエル・フレンヤードは部屋の配置を覚えているかどうか不安だし、ベテランメイド―テーラ・メインドールはちょうど買い物に行っている時間でこの屋敷にはいない。
つまり、
「自力で探すしかないのか……。」
アレスはいっそう肩を落とし、もう一度彼女の部屋を探すために振り返ると、目の前の扉が開いた。そこから出てきたのは紛れもないあの少女―アイリス・ユニコールだった。
「――――――っ!!」
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
「帰ったら、結婚しよう」と言った幼馴染みの勇者は、私ではなく王女と結婚するようです
しーしび
恋愛
「結婚しよう」
アリーチェにそう約束したアリーチェの幼馴染みで勇者のルッツ。
しかし、彼は旅の途中、激しい戦闘の中でアリーチェの記憶を失ってしまう。
それでも、アリーチェはルッツに会いたくて魔王討伐を果たした彼の帰還を祝う席に忍び込むも、そこでは彼と王女の婚約が発表されていた・・・
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
【3月中――完結!】
積み上がった伏線の回収目前!!
夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。
長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。
待っていたのは、凍てつく絶望。
けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。
「夫は愛人と生きればいい。
今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」
それでも私は誓う――
「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」
歪で、完全な幸福――それとも、破滅。
“石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる