幼馴染の息子に転生した俺は人生を復讐に捧げます。

西脇 るい

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留守番戦争

第一章:12話 『早すぎた再会』

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 アイリスとの会話の最中に視覚が捕らえた黒い影。服装から100%“あいつ”であることがわかったアレスは躊躇い無く“あいつ”の1m前まで踏み込み、軽く飛び、空中で回し蹴りを顔面にきめようと試みる。しかし、【オフェンシブアーマー】で強化されているにもかかわらず、“あいつ”はそれを素手で簡単に受け止めてみせた。

「なんでまだここにいるんだよ…。」

 静かな怒りを言葉にこめる。
 “あいつ”とは、先ほど廊下で撃退したはずの男だった。黒いスーツのような服に黒いメタリックのフルフェイスが特徴の異常の男――カイン・ヴェーテンだった。しかし、さっきとは明らかに違う点がある。

「何なんだよ…そのマスク……。」

 今までのカインの姿と重ねると、この緊張した状況に場違いな物を身につけていた。
 それが、

「これかい?なかなか似合うだろぉ?」

 風邪予防用の普通のマスクだった。

「ふざけてる?」

「まさかまさか、そんなわけ無いじゃないか。」

「ひとまずそれは置いとく。んで、何でここにいる?あの流れならお前は尻尾を巻いて逃げ帰り、悪あがきで雑魚を送りつけるも、それも全滅。お家に着いたら組織の上司からお説教と制裁を受けるっていうのが俺の中で作り上げられたストーリーであり定番だと思ったんだけど…。」

「ぷっ………ふはははひひひはは!」

 カインはお腹を抱えてその場で仰向けになって思い切り笑い出した。頭にきたアレスは、すかさず顔を踏みつぶそうと右足を出すが、それも簡単に左手で受け止められてしまう。

「ぷぷぷっ…あんなので引き下がるわけないじゃん…ぷっ…。ただ僕のイケメソな顔がバレただけじゃないか~。」

 カインは掴んでいたアレスの右足を離して、再び立ち上がる。

「さて、あの鬱陶しい獣神は雑魚処理中だしここで本題に入ろうかな。僕がここに来た理由だね。それは、そこのお嬢さんを殺すこと……ではなくて、普通に君と話がしたいだけだよ。」

 カインは話の途中でジョークを入れようとしたが、アレスの睨みつけによって封殺された。ここでアレスの【オフェンシブアーマー】の効力が切れ、後ろではアイリスがビクビクと身を震わせている。

「俺はお前と話すことは何も…」

「あの時言った通り、君の目は僕と似ている。」

「人の話聞けよ。6歳の子供だからって舐めんな。」

  アレスのことはかまわないで話を淡々と進めるカイン。余計な刺激をすればアイリスも危険に晒す可能性があると考えたアレスは諦めて話を聞くことに徹する。

「君は6年という生涯にもかかわらず非常に興味深いものを持っている。君の怨念、私怨、厭悪…心当たりはないかい?」

 アレスに心当たりはあった。いや、6年しか生きていないアレスではなく、その約3倍も生きていたイオンだ。

「さぁな。」

 アレスはあえて自分を悟られないように回答をあやふやにした。しかし、この時アレスは致命的なミスを犯したことに気がつかなかった。

「『さぁな』…ねぇ。」

 この問いかけには、はっきりと「知らない」というような虚言を吐くべきであったのだ。もっとも、そんな虚言は見抜かれてしまうだろうが。

「まぁ、君が自分の真意に気づいていなくても構わない。君は僕たちの組織に入るべきだ。恐らく、ここで断ってもいずれ僕以外の 奴らに勧誘され入ることになるだろうし。そう考えるとどうだい?僕たち手を組まないかい?」

「嫌だね。罪のない人を殺す集団と何で手を組まないといけないんだ。」

 アレスの言葉を聞いたカインは口元を歪ませて不気味に笑う。

「ふふっ、罪のない…か。まぁ、無自覚で理不尽の罪ってのは残酷だねぇ。」

「何が言いたい?」

「何が言いたいも何も、そのままの意味だけど?」

 アレスは軽く舌打ちをして、改めて自分の意思をぶつける。こんな時でもいたって冷静に振る舞えた方だった。

「とにかく、何回も言うけど人殺し集団には入らない。」

「なら、こんなのはどうだい?さっきは邪魔がいて出しそびれたけど…」

 そう言って胸ポケットから取り出したものは、1枚の黒い紙。その紙に折れ目はなく、サイズ的に胸ポケットと不釣り合いだったため、どんな風に入っていたのか気になるところだったが、それよりも重大なことがあった。

「血印呪黒の文書……っ!?」

「そのとおり!!よくそんなこと知っているね。」

「契約者同士がお互いに血を出し合い、それを文書に染み込ませることで絶対に破ることができない誓いをたてる悪魔の書…。なるほど、確かにそれなら俺も確約ができる。」

「そうだろう?これなら君も安心して僕の集団に入ることができるね!この契約書に『罪のある人々を殺さない』ことを約束させればいいんだからね。」

 カインは手に持っている黒い紙をアレスに渡す。アレスはこの提案に乗るかどうかを考える。


  ―――さぁ、どうする……―――

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