幼馴染の息子に転生した俺は人生を復讐に捧げます。

西脇 るい

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留守番戦争

第一章:14話 『その後…』

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 屋敷での一件が終わって数時間がたち、グランやユーナが帰ってきた。この時点では屋敷の中の清掃はかなり進んでいた。しかし、テーラとの戦闘でついた傷跡までは消えていなかった。

「アレスー!無事でよかった!!」

 そう言ってアレスを抱きしめ、涙目になって声をかけてきたのは母―ユーナだった。その光景を父であるグランが後ろから眺めているという構図だ。二人とも何が起こったかはテーラからすでに聞いているようだった。

「本当に大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ、別に何かされたわけじゃないしね。」

「そうか…それならいいんだが……とにかく、お前はアイリスの元に行ってきなさい。ここから先は大人のお話だ。」

「わかりました。」

 正直アレスはその会話に入りたかった。今回カインたち黒組織が狙っていたのはアレス自身であり、アレスの中に流れるアルカディアル家の血。前回の入学式といい、アレスの両親やテーラはその事を知らない。

「(言っていいのか…でも、下手に話すと自由が制限されて俺の本来の目的に響いてくるし……)」

 結局、アレスは黙り込む事を選択した。今後ユーナが襲われそうになっても、テーラや他の3人のメイドや執事がいるから大丈夫だろう…という考えだった。

「それに…いざとなったら俺が…」

 廊下についている傷を見つけては眺め、自分にしか聞こえない声で呟いきながらアレスはアイリスの部屋に向かい歩く。アイリスがいる部屋の前に着く。あまり考え事をしなかったせいか、アイリスの部屋までの体感時間が短かったような感覚に囚われる。
 
 自分が壊したとはいえ、中央からボコボコになっている扉を通るのはなんだか不思議な感覚がした。

「(アイリスの部屋に黒服が押し込んできた事にしたから、あの集団には少しだけ…いやホントのホントにほんのす少しだけ罪悪感的なの感じるな…)」

 廊下からでもわかっていたが、ベッドの上にアイリスは座っていた。その表情は最初にあった頃から変わっていなかった。

「どうして来たの?」

 その言葉に優しさなどの温かい感情などは一切ない。むしろ逆。冷たさが最初から最後までを包む。

「………あの時聞いてきたよな……。『なんで私にかまうの』って。」

「うん。なんでかまうの?私と君は他人でしょ。」

 言いたいことをそのままアイリスに言おうとしたが、アレスが思っていることをそのまま伝えると、6歳のアイリスに理解され難いと直前に感じたアレスは一呼吸置き、深呼吸を1回してから分かりやすい内容にして話し始めた。

「昔々、とある男が泣いていました。」

「それって関係あるの?」
 
「ああ、あるよ…。その男は6歳の時、優しくしてくれた祖父を失ったが、そんな暗い出来事を吹き飛ばすほどの『光』を手に入れました。」

「つまり、君が私にとっての『光』になるってこと?私をそのとある男と一緒にしないで。」

 勘のいいアイリスがアレスの話を聞き切る前に最終結論を先に出した。

「…まぁ、最終的にはそれが言いたいんだけど……でも、その少年とお前は一緒じゃない。」

「そうだね、その人はまだ両し…、お父さんとお母さんが…いるもんね…。」

 話を進めるたびに言葉に重みが生じ、それと同時にアイリスの声は小さくなっていく。

「そうだ。でもそれはお前の『光』が両親だからだろ?俺……その少年の『光』は同い年のある少女なんだよ。その少女は何も言わずに少年のそばにいてくれた。幼いのに同情とか慰めが逆効果だって知っていたから。」

「けど、君はこうして私を…」

「しかし、その少年も死んでしまいました…。」

 その言葉を聞いたアイリスは先ほどまでの仮初めの強気を含んだ表情が崩れかけていた。

「何が……?」

「……その少年は『光』を失った。いや、正確には奪われた。全ての生きる希望、意味、目標、その全てを他の人に……。」

「結局何が言いたいの?」

 アレスは鼻で小さく笑う。

「悪い、自分も何が言いたいのか忘れちゃったから今の忘れてくれ。……とにかく、新しい『光』を見つければいいんだよ、まだ6歳なんだし。」

「君もだよね。」

「ぐっ!…なかなか痛いとこついてくるな…。かまう理由は~まぁ、とりあえずそうゆうこと。」

「どうゆうこと?全くわからない。」
 
 アレスはそれ以上語らなかった。自分の過去を話すのが恥ずかしくなってきたことと、何を言えばいいかわからなくなってきたからだ。

 そして、何も言わずにベットから立ち上がり、廊下に出て行く。

「それって作り話だよね?」

 アレスが扉をくぐった瞬間、アイリスから最後の質問がきた。
 それに対してアレスは、

「さぁね。」

 それだけだった。


 =========================


 これで今回の騒動に終止符が打たれた。延期されていた学園の授業も再開されたが、入学式の件で登校してきた生徒はかなり少なかった。メンタル面の治療や各々の屋敷で家庭教師でも雇って教育していくのだろう。だが、教室にアイリス・ユニコールの姿があったことは、アレスも素直に嬉しかった。
 しかし、

「(『光』は見つけられないけど、目的はできた…)」

 それはアイリスの決意であり、これからの生きていく意味だった。

「(お父さんとお母さんを殺したやつら―――)」



 ―――復讐ころしてやる…―――


 少女もまたアレスイオンと同じ感情に支配された……
 
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