16 / 27
黒への分かれ道
第二章:1話 『ヘイワナニチジョウ』
しおりを挟む
黒組織の襲撃から10年の歳月が過ぎたが、この10年の間に特に異変は起きなかった。そのおかげでアレスは小等部、中等部を問題なく過ごすことができた。変わったことといえば――、
「お兄ちゃん、遅刻だぞーー!」
妹ができたこと……義妹ができたことだ……羨ましい…。
「ぐばはぁぁ!!……リリィ!いつも飛び乗るなって言っただろ!」
朝、アレスが寝ているとベッドにダイブしてくるのが日課になっている。
アレスが腹部の重みに耐えながら、手を使って起き上がると同時に、リリィはアレスの足の方に転がっていく。眠い目をこすって無理やり意識を覚醒させると、今まで太ももにいたリリィが一瞬で目の前まで来た。
「おはよう!お兄ちゃん!そろそろ起きないと遅刻するから起こしに来た!」
リリィ・クラファイラ―アレスの2つ下の子で、中等部からセルフォード魔術学園に編入して来た少女。瞳と髪の色が茶色で統一され、その髪は肩に届くか届かないか程度の長さで全体的にまとまっている。一見馬鹿っぽそうな天真爛漫美少女だ。実家が遠方にあることから、学園に編入した際、フィリップス家で預かることになったらしい。
「ったく…………って、まだ全然間に合うじゃねぇかぁぁーー!」
遅刻遅刻と言われたアレスが時計を確認してみると、登校時間までまだまだ余裕があることが判明した。
「あーごめん、まちがえてたー」
リリィは確信的だったようで、棒読みでアレスに応答する。
「お前わざとやってんだろぉ~」
「お兄様……」
扉の方から声がした。アレスは声がした方向を振り向いてみると、そこには小さな少女が扉から半分顔を出す形でこちらを覗いていた。
この子こそ正真正銘アレスの妹であるルナ・フィリップスだ。兄とは逆で金の比率が低く、全体的には黒い髪をした短髪の女の子。特殊なのは瞳の色が左右で違っており、右が金のように綺麗な黄で左が黒になっている。ちなみにアレスとは6歳差。
「おはようルナ。わざわざ起こしに来てくれたのか?」
「はい、お兄様…!」
アレスの言葉を聞いた瞬間、ルナの表情は一気に明るくなった。
「あぁぁぁーーー!私の方が先だったのにルナちゃんの評価ばっかりあがってるーー!むぅ~、ズルいぞ!」
リスのようにパンパンに頬を膨らませるリリィは放って、起き上がろうとするアレスだったが…。
「おはよう、お兄ちゃん!」
その笑顔は語っていた……『起きたければ私にも朝の挨拶しろ』…と。
「ああ、おはよう」
そう言うと、やっと上から降りてくれた。
「早いに越したことはないよ!早く早くぅー!」
「うるさいなぁ…」
「今、面倒くさいって思ったでしょ?」
さぁな、とだけ言ってベッドから降りたアレスは着替えてから食堂に向かうことにした。
「…………お前ら何してんの?」
アレスの視線の先、リリィとルナは一向に部屋から出ようとしなかった。その後、この2人の痴女予備軍をどうしたかは、アレスのことだから言わないでもわかるだろう……
「「――――っ!?」」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
リリィはズキズキと痛む頭を抑え、ルナは酷く落ち込んだ様子をして食堂にいた。2人はすでに席に座っている。
「全くお前ら何考えてるんだか……」
5m以上はある長方形のテーブルで、扉の方向から見て1番右側に料理は並べられていた。アレスはルナの隣でありリリィの正面の位置にあたる席に座った。スープにパン、サラダに肉料理と様々なレパートリーの朝食だった。
「だってぇ~…」
「わ、私はただお姉様にそうしろって…」
リリィが有耶無耶にしようとしたことをルナの即座の裏切り行為によって犯人が判明した。
「あァァぁぁーー!!私を裏切ったなぁぁーー!」
もう遅い。アレスは既に手刀を作り構えていた。
――食事後――
いつもですら早く出てる方だったが、今日はそれよりも早く学園に行くことにした。自分の部屋に戻り身支度をして、玄関に向かって2人をまつアレス。
「しまった、ペンダント!?」
10年前に入学式の開始前に母―ユーナからもらった大切なもの。あの日からお守り程度にいつも身につけている。
部屋に戻り、机の上においてあったペンダントを急いでいたがそっと取り、大事にそれを身に着けてから玄関に向かった。すでに2人が玄関で待っていた。
「おっそーい!何やってたの?確かに年頃だってのは知ってるけど朝っぱらからするのはどうかと…」
「ふんッ!」
「いったーーい!!ひどいよ、こんなかわいい妹に…」
アレスはまた鍛え上げられた手刀を振るった。
「さっさと行くぞ」
アレスは手刀を喰らい、頭を抑えてしゃがみ込んでいるリリィの襟を掴み、
「「行ってらっしゃいませ!」」
メイドや執事の見送りを聞き、3人で学園に向かった。
「お兄ちゃん、遅刻だぞーー!」
妹ができたこと……義妹ができたことだ……羨ましい…。
「ぐばはぁぁ!!……リリィ!いつも飛び乗るなって言っただろ!」
朝、アレスが寝ているとベッドにダイブしてくるのが日課になっている。
アレスが腹部の重みに耐えながら、手を使って起き上がると同時に、リリィはアレスの足の方に転がっていく。眠い目をこすって無理やり意識を覚醒させると、今まで太ももにいたリリィが一瞬で目の前まで来た。
「おはよう!お兄ちゃん!そろそろ起きないと遅刻するから起こしに来た!」
リリィ・クラファイラ―アレスの2つ下の子で、中等部からセルフォード魔術学園に編入して来た少女。瞳と髪の色が茶色で統一され、その髪は肩に届くか届かないか程度の長さで全体的にまとまっている。一見馬鹿っぽそうな天真爛漫美少女だ。実家が遠方にあることから、学園に編入した際、フィリップス家で預かることになったらしい。
「ったく…………って、まだ全然間に合うじゃねぇかぁぁーー!」
遅刻遅刻と言われたアレスが時計を確認してみると、登校時間までまだまだ余裕があることが判明した。
「あーごめん、まちがえてたー」
リリィは確信的だったようで、棒読みでアレスに応答する。
「お前わざとやってんだろぉ~」
「お兄様……」
扉の方から声がした。アレスは声がした方向を振り向いてみると、そこには小さな少女が扉から半分顔を出す形でこちらを覗いていた。
この子こそ正真正銘アレスの妹であるルナ・フィリップスだ。兄とは逆で金の比率が低く、全体的には黒い髪をした短髪の女の子。特殊なのは瞳の色が左右で違っており、右が金のように綺麗な黄で左が黒になっている。ちなみにアレスとは6歳差。
「おはようルナ。わざわざ起こしに来てくれたのか?」
「はい、お兄様…!」
アレスの言葉を聞いた瞬間、ルナの表情は一気に明るくなった。
「あぁぁぁーーー!私の方が先だったのにルナちゃんの評価ばっかりあがってるーー!むぅ~、ズルいぞ!」
リスのようにパンパンに頬を膨らませるリリィは放って、起き上がろうとするアレスだったが…。
「おはよう、お兄ちゃん!」
その笑顔は語っていた……『起きたければ私にも朝の挨拶しろ』…と。
「ああ、おはよう」
そう言うと、やっと上から降りてくれた。
「早いに越したことはないよ!早く早くぅー!」
「うるさいなぁ…」
「今、面倒くさいって思ったでしょ?」
さぁな、とだけ言ってベッドから降りたアレスは着替えてから食堂に向かうことにした。
「…………お前ら何してんの?」
アレスの視線の先、リリィとルナは一向に部屋から出ようとしなかった。その後、この2人の痴女予備軍をどうしたかは、アレスのことだから言わないでもわかるだろう……
「「――――っ!?」」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
リリィはズキズキと痛む頭を抑え、ルナは酷く落ち込んだ様子をして食堂にいた。2人はすでに席に座っている。
「全くお前ら何考えてるんだか……」
5m以上はある長方形のテーブルで、扉の方向から見て1番右側に料理は並べられていた。アレスはルナの隣でありリリィの正面の位置にあたる席に座った。スープにパン、サラダに肉料理と様々なレパートリーの朝食だった。
「だってぇ~…」
「わ、私はただお姉様にそうしろって…」
リリィが有耶無耶にしようとしたことをルナの即座の裏切り行為によって犯人が判明した。
「あァァぁぁーー!!私を裏切ったなぁぁーー!」
もう遅い。アレスは既に手刀を作り構えていた。
――食事後――
いつもですら早く出てる方だったが、今日はそれよりも早く学園に行くことにした。自分の部屋に戻り身支度をして、玄関に向かって2人をまつアレス。
「しまった、ペンダント!?」
10年前に入学式の開始前に母―ユーナからもらった大切なもの。あの日からお守り程度にいつも身につけている。
部屋に戻り、机の上においてあったペンダントを急いでいたがそっと取り、大事にそれを身に着けてから玄関に向かった。すでに2人が玄関で待っていた。
「おっそーい!何やってたの?確かに年頃だってのは知ってるけど朝っぱらからするのはどうかと…」
「ふんッ!」
「いったーーい!!ひどいよ、こんなかわいい妹に…」
アレスはまた鍛え上げられた手刀を振るった。
「さっさと行くぞ」
アレスは手刀を喰らい、頭を抑えてしゃがみ込んでいるリリィの襟を掴み、
「「行ってらっしゃいませ!」」
メイドや執事の見送りを聞き、3人で学園に向かった。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
「帰ったら、結婚しよう」と言った幼馴染みの勇者は、私ではなく王女と結婚するようです
しーしび
恋愛
「結婚しよう」
アリーチェにそう約束したアリーチェの幼馴染みで勇者のルッツ。
しかし、彼は旅の途中、激しい戦闘の中でアリーチェの記憶を失ってしまう。
それでも、アリーチェはルッツに会いたくて魔王討伐を果たした彼の帰還を祝う席に忍び込むも、そこでは彼と王女の婚約が発表されていた・・・
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
【3月中――完結!】
積み上がった伏線の回収目前!!
夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。
長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。
待っていたのは、凍てつく絶望。
けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。
「夫は愛人と生きればいい。
今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」
それでも私は誓う――
「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」
歪で、完全な幸福――それとも、破滅。
“石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる