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黒への分かれ道
第二章:12話 『消し忘れた火』
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ダインの質問に言葉ではなく、指を教室の方に向けてさして、体と態度で答えるアレス。ダインは腑抜けた顔を一瞬とも言えるわずかな時間でそちらを向かせ、表情を180度変える。
「かつあげか……」
状況を理解したのか、ダインがポツリと呟く。それを聞いたアレスは更にその状況の補足する。やられている方がレイクで、やっている方が推薦組だということ。そしてそいつらの名前も。名前を聞いた途端、何故か「ポン、チー、カンってマージャンかよ」と腹を抱え、声を殺して(殺しきれていない)笑い出した。何が可笑しいのか俺にはわからない。そもそもマージャンって何だよ……
「そのうち『ロン』とかって名前の大将出て来そうだな……くくッ……」
こいつには3人の名前がよほど可笑しかったのだろう、まだ笑ってやがる……
「とにかく助けるぞ。このまま放って置いたらあいつが――」
――危険だ…とアレスが言う前にダインが手で口を塞いできた。強引に話のペースを乱されて、一瞬動揺状態に陥るが、すぐに復活。そしてダインの方に意識を向け、彼の話を聞く状態に変える。
「ここでむやみにでしゃばらない方が良いぞ……。敵は3人、しかも推薦組なんだろ?だったら、あいつらの情報を集めるのが先だ…」
「大丈夫だろ、お前がいるんだし」
「何でも人頼みにするなよ。お前だって他人より秀でた才能持ってんだろうが」
「毎回正解を引いてくるやつに言われてもな…」
一通りの会話を終えようとしたとき、バンッと言う音が教室のから響いてくる。2人は慌てて音のした方向に視線を向けると、レイクがグーカンに突き飛ばされて教室後方の壁に突き飛ばされていた。壁ドンのような体勢になりながら彼らの話は続く。
「くそッ、ここからじゃ何話してるのかわかんねぇ…お前が情報収集とか言ってっから、状況悪化したじゃねぇか」
「悪いって思ってるよ。とにかく様子を見ようぜ」
そうは言うも、肝心な話の内容が中から聞こえてこない。少しして壁ドン体勢が解除、レイクを取り巻く3人がアレスたちのいない方の扉に向かった。
「やばいッ、見つかる!?」
「おいっ、あれ使え」
パニックになっているアレスとは対照的にダインはかなり落ち着いている。
「あれって……あれか!?」
慌てて詠唱開始。3人のチンピラが扉から出てくるまで残り1.5秒、その間に術式を作り上げる。そして、
「――『サイレントコート』…」
発動……と同時にアレスとダインの存在は3人の視界から消える。ギリギリだった。2人に魔術の効力が完全に効いたその刹那に彼らは扉から出てきた。
「危ねぇ……」
アレスの口からため息と同時に漏れてきた。カツカツという足音がどんどん小さくなっていきやがて彼らの姿は廊下の角によって隠れ、見えなくなる。それを確認した後、アレスは教室の中に目をやった。そこにいるのはさっきまでとは何かが違う……恐ろしいものを宿した少年が壁に背をあて立っていた。憎悪………支配されてはいけない負の感情。彼の目には何が映っているのか、何となくだがアレスは理解していた。悲しみや悔しさなんて感情ではない、真っ黒な念。止めどない憎悪と殺意……あの男ほどではないが、確かなのは彼はやられたことに対して、それ相応の『もの』を身の内に宿し、支配されかけている、ということ。アレスは「まずい…」と心の中で静かにこぼした。
…アレに支配されてはいけない――――
心の中でもう1人の自分がそう告げる……
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「……………………」
「えっと………」
アレスとダイン、只今もう一つの苦境に立ち尽くし中…
「それで……何で学園の中で魔法を使ったのかな~」
職員室で2人は縮こまって立っている。対照的に2人の目の前にロリ……おっと失礼、しっかりとした大人の女性教師ことマリカが堂々と仁王立ちしている。彼らは学園内で勝手に魔術を使用したことに対して折檻を受けている最中だ。
「せっ…先生、魔法じゃなくて魔術を使ったんですが~」
「先生としては失格かもしれないこと言いますが……魔法も魔術もほとんど一緒!どこにそんな違いがあるの!?違いを意識してるのって才能あるやつらだけだからッ!!………」
「「………」」
その場に嫌な雰囲気が突風にのってやってきたかの如く広がり、支配。職員全員がマリカを視界に捉える。先生…怒ってる姿が子供の駄々こねてるそれと同じでーす。あっ、顔赤い…。
「とにかくッ!今後は気をつけるように!」
よし、解放された――――
「かつあげか……」
状況を理解したのか、ダインがポツリと呟く。それを聞いたアレスは更にその状況の補足する。やられている方がレイクで、やっている方が推薦組だということ。そしてそいつらの名前も。名前を聞いた途端、何故か「ポン、チー、カンってマージャンかよ」と腹を抱え、声を殺して(殺しきれていない)笑い出した。何が可笑しいのか俺にはわからない。そもそもマージャンって何だよ……
「そのうち『ロン』とかって名前の大将出て来そうだな……くくッ……」
こいつには3人の名前がよほど可笑しかったのだろう、まだ笑ってやがる……
「とにかく助けるぞ。このまま放って置いたらあいつが――」
――危険だ…とアレスが言う前にダインが手で口を塞いできた。強引に話のペースを乱されて、一瞬動揺状態に陥るが、すぐに復活。そしてダインの方に意識を向け、彼の話を聞く状態に変える。
「ここでむやみにでしゃばらない方が良いぞ……。敵は3人、しかも推薦組なんだろ?だったら、あいつらの情報を集めるのが先だ…」
「大丈夫だろ、お前がいるんだし」
「何でも人頼みにするなよ。お前だって他人より秀でた才能持ってんだろうが」
「毎回正解を引いてくるやつに言われてもな…」
一通りの会話を終えようとしたとき、バンッと言う音が教室のから響いてくる。2人は慌てて音のした方向に視線を向けると、レイクがグーカンに突き飛ばされて教室後方の壁に突き飛ばされていた。壁ドンのような体勢になりながら彼らの話は続く。
「くそッ、ここからじゃ何話してるのかわかんねぇ…お前が情報収集とか言ってっから、状況悪化したじゃねぇか」
「悪いって思ってるよ。とにかく様子を見ようぜ」
そうは言うも、肝心な話の内容が中から聞こえてこない。少しして壁ドン体勢が解除、レイクを取り巻く3人がアレスたちのいない方の扉に向かった。
「やばいッ、見つかる!?」
「おいっ、あれ使え」
パニックになっているアレスとは対照的にダインはかなり落ち着いている。
「あれって……あれか!?」
慌てて詠唱開始。3人のチンピラが扉から出てくるまで残り1.5秒、その間に術式を作り上げる。そして、
「――『サイレントコート』…」
発動……と同時にアレスとダインの存在は3人の視界から消える。ギリギリだった。2人に魔術の効力が完全に効いたその刹那に彼らは扉から出てきた。
「危ねぇ……」
アレスの口からため息と同時に漏れてきた。カツカツという足音がどんどん小さくなっていきやがて彼らの姿は廊下の角によって隠れ、見えなくなる。それを確認した後、アレスは教室の中に目をやった。そこにいるのはさっきまでとは何かが違う……恐ろしいものを宿した少年が壁に背をあて立っていた。憎悪………支配されてはいけない負の感情。彼の目には何が映っているのか、何となくだがアレスは理解していた。悲しみや悔しさなんて感情ではない、真っ黒な念。止めどない憎悪と殺意……あの男ほどではないが、確かなのは彼はやられたことに対して、それ相応の『もの』を身の内に宿し、支配されかけている、ということ。アレスは「まずい…」と心の中で静かにこぼした。
…アレに支配されてはいけない――――
心の中でもう1人の自分がそう告げる……
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「……………………」
「えっと………」
アレスとダイン、只今もう一つの苦境に立ち尽くし中…
「それで……何で学園の中で魔法を使ったのかな~」
職員室で2人は縮こまって立っている。対照的に2人の目の前にロリ……おっと失礼、しっかりとした大人の女性教師ことマリカが堂々と仁王立ちしている。彼らは学園内で勝手に魔術を使用したことに対して折檻を受けている最中だ。
「せっ…先生、魔法じゃなくて魔術を使ったんですが~」
「先生としては失格かもしれないこと言いますが……魔法も魔術もほとんど一緒!どこにそんな違いがあるの!?違いを意識してるのって才能あるやつらだけだからッ!!………」
「「………」」
その場に嫌な雰囲気が突風にのってやってきたかの如く広がり、支配。職員全員がマリカを視界に捉える。先生…怒ってる姿が子供の駄々こねてるそれと同じでーす。あっ、顔赤い…。
「とにかくッ!今後は気をつけるように!」
よし、解放された――――
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執筆応援しています。頑張ってください!
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今回はありがとうございました!