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〈冒険者編〉
215. 海キャンプふたたび 3
しおりを挟むその夜は十階層で眠りについた。
魔道テント内に設置したバスタブで汗を流し、仔狼姿のアキラと一緒にセミダブルサイズのベッドを堪能する。
仔狼にも海鮮丼とアラ汁を用意してやったので、完食した彼は幸せそうにヘソ天姿でうとうとしていた。
ぽっこりと膨らんだ、丸いお腹がチャーミングだ。
ふくふくのお腹を指先で突きながら、ナギは首を捻る。
「明日は何階層に行こうかな」
今回、海ダンジョンに潜ったのは、在庫が少なくなった海鮮物を確保するため。
食材ダンジョンで入手した味噌や酢、みりん、日本酒と魚介類の相性が最高に良好だからだ。
自分たちが消費するのはもちろんだが、どうせなら師匠たちにも美味しく味わって欲しいという目的もあった。
「食材ダンジョンのドロップアイテムが美味しい物だと分かれば、他の冒険者も挑戦してくれるだろうし……」
そうすれば、ダンジョン都市にもドロップアイテムの調味料やスパイスが多く出回るに違いない。
希少なスパイス類が手に入りやすくなれば、街にも美味しい料理が増えるだろう。
カレーとか、カレーとか!
「……想像したら、食べたくなっちゃった。明日はシーフードカレーを作ろう」
◆◇◆
朝食は宣言通りに、ビッグシェルの貝柱ステーキを食べた。
バターで焼き上げて醤油を垂らして食べる、シンプルな料理だったけれど、満足度は高い。わかめの味噌汁と白飯と合わせれば、豪華な朝食となった。
午前中の予定は十五階層で岩牡蠣を確保することにした。
十五階層は大岩で出来た島のフィールドで、出没するのは巨大な貝系のモンスターだ。
巻き貝、二枚貝の他にもヤドカリ型、ヒトデ型のモンスターが現れる。ドロップするのは水の魔石と真珠、珊瑚など。
冒険者にはあまり人気のない階層だ。
「でも、ここの大岩島では岩牡蠣がたくさん採取出来るのよねー」
ナギは笑顔で襲ってくる大型貝類を魔法で駆逐する。食用でない相手には容赦なく火魔法をぶつけて倒した。
その間、エドは黙々と岩牡蠣を採取している。自分たち以外では手付かずの場所なため、獲り放題だ。
とは言え、ここはダンジョン。
油断すると海中からも攻撃される。
海に潜むのは、イソギンチャクやクラゲ、ウミウシに似たモンスターだ。
こちらも食用不可な相手はエドが容赦なく凍らせておしまい。
たまに大型のイカやタコを見付けると、素早く確保した。
「うん、岩牡蠣もたくさん手に入ったから、次の階層へ行こうか」
バケツ五杯分の戦果を抱えて、満足そうに頷くナギ。
身軽く岩場に登ってきたエドに浄化魔法を掛けてやる。
「次は何を狙っている?」
「うーん。そうね、二十階層でサーモン狩りはどう?」
「悪くないな」
三年間の冒険者活動のおかげで、海ダンジョンは五十階層までクリアしている。
積極的に攻略はせずに、ダンジョン内転移の資格を得るために頑張った。
良く通う階層は、美味しい海産物が手に入るフィールドな二人だった。
ちなみにメインの狩場である東の肉ダンジョンは、積極的に攻略している。
下層へ降りるほどに魔獣は強く──そして、美味しくなるので。
今の二人の狙いは八十階層のブラッドブル肉と六十六階層の二本角のバイコーンだ。
お馴染みブラッドブルが高級ブランドの黒毛和牛肉なら、バイコーンは赤身の美しい馬肉である。
馬刺しやユッケに最適な美味しいお肉はレアドロップアイテムだが、ナギの【無限収納EX】スキルのおかげで大量に手に入るのだ。
「ちょうど良い時間だから、お昼休憩にしようか。転移扉近くのセーフティエリアに移動しましょう」
「ん。腹が減った」
「ふふ。お腹空かせておいてね。今日のお昼はカレーだよ!」
「! シーフードカレーか!」
「そうそう。エドが新鮮なイカやエビを手に入れてくれたからね? 期待しておいて」
ずっと楽しみにしていたシーフードカレーを鼻先のニンジンにして、エドはせっせと拠点を設置してくれた。
念のための結界を張り、タープで日陰を作ってくれる。
「カレーを煮込む間にご飯を炊いておこうかしら。おかわりしそうだし」
「俺が炊こう」
さっとナギの手から土鍋を奪い、慣れた手つきでお米を仕込んでいく。
主食の白飯とナンはエドに任せることにして、ナギはシーフードカレー作りに集中した。
「具材はイカとエビ。貝柱も入れよう。旨味が増すし。野菜はニンジン、玉ねぎ、ジャガイモで良いかな。シンプルに」
一口サイズに切り分けたイカやエビ、貝柱をバターで炒めていく。塩胡椒に白ワインを入れて蒸し焼きに。
綺麗な焼き色がついたところで、皿に除けておき、根菜類をバターで炒める。
玉ねぎは特に念入りに飴色になるまで火を通し、コンソメスープとローリエを追加して煮込んでいった。
シーフード類を加えてじっくりと煮込んでいく。アクをすくい取り、透明なスープになったところで火を止めてカレー粉を投入。
スパイス類をアレンジして粉末状にしたカレー粉はナギ渾身の作だ。
味見をしつつ、カレー粉の量を調整する。
「んー。良い香り……」
あとは弱火でくつくつと煮込むだけ。
土鍋ご飯もちょうど炊けたようなので、蒸らし時間も考えれば最適なタイミングで食べられそうだ。
火にかけたカレーはエドに任せて、その間に手早くサラダを作っていく。
カレーがこってり系なので、ここはサッパリ系か。思案して、トマトとキュウリのサラダを作ることにした。
トマトとキュウリは角切りにして玉ねぎのみじん切りを加える。
「これだけだと寂しいかな? そう言えば、タイの刺身が余っていたわね」
薄切りにしたタイの刺身を載せて、オリーブオイルと塩胡椒、レモン汁を和えたシンプルなドレッシングを回しかける。
「うん、彩りも良いし、美味しそう」
あとは冷たいラッシーを用意するだけ。
ヨーグルトと牛乳に蜂蜜とレモン汁を混ぜて、エドに冷やしてもらう。
飾り付けにミントを散らすと完成だ。
シーフードカレーもちょうど良く煮込まれていたので、大鍋ごとテーブルに運んで、さっそく頂こう。
大きめの平皿に炊き立てご飯をよそい、シーフードカレーをたっぷりと。
エドが焼いてくれたナンも準備万端。
「どうぞ、召し上がれ」
「いただきます!」
スプーンで慎重にすくったカレーをそっと口に含む。スパイシーな香りに鼻腔をくすぐられながら、味わうように咀嚼する。
甘口に仕上げてあるので、そこまで辛くない。旨味たっぷりのコンソメスープのコクと魚介類の出汁と華やかな味わいのスパイス。
どれもが絶妙に絡み合い、美味しいシーフードカレーに仕上がっていた。
「んー……念願のシーフードカレー。我ながら美味しく出来たかも」
シーフードはそれぞれ、味も食感も違って飽きがこない。弾力のあるイカはもちろん美味しいし、ぷりぷりのエビの甘みにうっとりする。貝柱は噛み締めるとほろりとほどけていくが、旨味は随一だ。
バターで念入りに炒めた玉ねぎは煮込んだことでスープに溶け込み、ほんのりと甘く、まろやかになっている。
ジャガイモとニンジンは煮崩れなく、ホクホクとした食感を保っており、これも美味しい。
「シーフードの旨味たっぷりのカレーとご飯の相性、最高すぎる……!」
「ん、旨いな。肉のカレーも良かったが、シーフードカレーも良いものだ」
「でしょ? お肉のカレーもねぇ、チキンやマトンなんかの、色んな種類のお肉を使うとまた少し違った味を楽しめるのよ」
「全部、ひととおり挑戦してみたくなるな」
エドの瞳が本気だ。琥珀色の双眸が決意を宿して煌めいている。
特にナギにも異論はなかったので、こくこくと頷いておいた。
「夏野菜カレーもヘルシーだし、シーフードも具材を変えて楽しめるわよ。贅沢にカニを使ってみても良いし、サバやツナ、サーモンも面白い味になりそう」
「想像がつかないが、ナギが作る物は何でも美味いから楽しみにしている」
「もう、エドはそういうとこ! 良い子! おかわりは?」
「頂こう」
次はナンで食べたいと訴えるエドのため、カレーだけを皿に盛り付けてやる。
さすがに大きなナンを丸々一枚は食べられそうにないので、ナギは半分に切って食べることにした。
一口サイズにちぎって、カレーに浸して食べてみる。
「美味しい! バター味のナンと甘口のカレー、意外と合うかも」
ナンと合わせるのは辛口カレーのイメージだったが、まだ味覚が育ちきっていない子供の身にはちょうど良い味だった。
冷えたラッシーで喉を潤しながら、シーフードカレーを美味しく平らげる。
「まんぞく……! おなかいっぱい……」
「ナギ、アキラが早く食べたいとうるさいから、変わるぞ」
「ん、りょーかい」
カレーの香りに我慢が出来なくなったのだろう。
変化したエドの服の中から這い出してきた仔狼が可愛らしくおねだりしてくる。
「はいはい。ちゃんと用意してますよー?」
シーフードたっぷりのカレーライスを出してやる。
仔狼は凄い勢いで食べていく。
んまんま、と何やら呟きながら、あっという間に食べ尽くした。
おかわりはエドと同じく、ナンカレーに。
こちらも綺麗に平らげていた。
『久しぶりのシーフードカレー、めちゃくちゃ美味しかったです……』
「ねー? さすがにずっとはキツイから、二週間に一度、カレーメニューにしようかな」
『えっ⁉︎ せめて週一にしましょうよ、センパイ!』
悲痛な声をあげて、上目遣いで訴えられてしまった。
「いや、週一は多すぎるし、さすがに飽きるでしょ? じゃあ、十日に一度ね」
ナギもカレーは好物なので、折衷案を提示する。渋々頷かれてホッとした。
ハイペースでカレーをメニューに加えてしまうと、大事なスパイスをすぐに使い切ってしまう。
やはり、食材ダンジョンに半月ほど滞在して、スパイス類を確保すべきだろう。
「ひととおりのカレーを食べ終えたら、ハンバーグカレーやカツカレーなんかのトッピング系も楽しみたいものね」
『センパイ、俺も手伝います。オークカツカレー腹いっぱい食べたいです』
仔狼と視線を交わし、一人と一匹は神妙な表情で頷き合った。
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