19 / 38
19
しおりを挟む
マリリーネと多美江がいちゃこらしていると、目の前に壁が迫ってきた。
多美江が顔を上げると、先程水をやった男性の一部の五人が目の前に立っていた。身体が大きい分多美江の周りは暗くなり、本当に壁みたいになっている。
「何よ、あんたたち」
マリリーネが多美江の髪をいじりながら、五人を睨みつけた。
「ターミャちゃん、お兄さんがいるんだろ?」
「・・・・・・はい」
いったい何なのか? 五人の笑顔が、ちょっと怖い。
「そうだ。ターミャちゃんのお兄さんっていくつ? 男前?」
マリリーネが思い出したように、多美江に満面の笑顔で聞く。
「兄は二十歳です。妹の私から見ても・・・男前かな」
「きゃあぁぁぁ~っ!」
嬉しそうにマリリーネは歓喜の声を上げて、多美江の手を掴んできた。
「ターミャちゃん、紹介してっ!」
ああ・・・、そういうことか。しかしどんなにマリリーネが美人でも、紹介はできないだろう。だって兄のジルドは架空の人間なのだから。
「あ~・・・、でも兄は人前には決して出ませんよ? 影からの会話なら可能・・・・・・かなぁ~?」
五分しか持たないことを考えれば、それもちょっと無理かな?
「ターミャちゃんの前では平気なんでしょう?」
「はい、さすがに妹ですからね」
手を離そうとするけど、意外にマリリーネの力が強い。逃してなるものかという執念を感じる。
「ちょっとマリリーネさんっ! 俺の話に割り込まないで下さいよっ」
このギルド内に、手を引いて入れてくれたダニーが憤慨している。
「どうせ、ろくでもない話でしょうが。こっちの方が切迫しているのよっ!」
「弟と同じ年の奴、狙うなよ~」
顎に髭を生やした男性が、呆れたように声を出す。
「私の理想はヴァレンス団長のような男前なのよ。もう若くもないって自覚しているからこそ、焦っているんでしょうがっ!」
ドン! と机を叩くマリリーネはとても迫力があった。
多美江も仰け反ってしまうほどだ。先程までの優しいマリリーネは、何処へいってしまったのだ。
「こ、怖っ」
「早く話しなさいよっ!」
マリリーネ、逆切れである。
「タ、ターミャちゃん。お兄さんと一緒に、俺たちの仲間に入らないか?」
「仲間・・・・・・」
要するにパーティに入らないかということか。しかしこれにも問題点が多々ある。
「でも、あの・・・。兄は人前には出られないので、ちょっと・・・無理かも」
「そんなに兄さんは人見知りなのか?」
顎髭が眉尻を下げながら話す。
「あ、紹介がまだだった。俺はダニー。この髭のごつい人がリーダーのグリソンさん。あとはその他大勢ということで」
「「「おいっ!」」」
ダニーはその他大勢の男性たちから、はがいじめされて首を絞められてしまう。
「や、やめろ~っ」
その間に顎髭リーダー、グリソンはさらに多美江に詰め寄る。
「俺たちの班には、まともに魔術を使える者がいないんだ。何とか魔力増幅剤で補ってはいるが、それももの凄く高い代物だしな」
パーティのことを、ここでは班というらしい。それに魔力増幅剤・・・そんなものがあったのか。
それを使えば魔力がない人でも魔術を使えるのか?
「ターミャちゃんが入ってくれると・・・凄く、もの凄~く助かるんだけどな~」
恨みがましい目で見られるが、こればかりはどうしようもない。
「初めての仕事は、確かに手慣れた人たちと組むのはいいことよ? 一回だけでもやってみれば?」
「そうだよっ! 兄さんが無理なら、ターミャちゃんだけでの参加も大丈夫だからさ。一回お試しってことでやってみないか?」
藁にも縋るように拝まれると断りにくい。でも一度引き受けたらきっと、次も次もとなるに違いない。
「・・・・・・ごめんなさい」
「あ~・・・、駄目か?」
「しつこい男は嫌われるぞ」
カポードが帰ってきた。ギルラスとの話は終わったようだ。
「お譲ちゃんほどの実力があれば、お前たちは反対に足手まといだろうよ」
「うわっ! そこまで言う~? カポードさん」
「情け容赦ないな~・・・」
ちょっと小競り合いしていた四人も帰ってきた。
「実際そうだろうな」
「ああ・・・、ギルドマスターにも言われた」
皆がしゅんとしながら、その場を去って行く。
「ああ、敵がいなくなった。さあ、ターミャちゃん。お兄さんの情報もっと頂戴。お兄さんは何が好き? 食べ物は? 色は? 身長はどのくらい?」
わきわきしてマリリーネが再度多美江の手を掴んだ時、ギルラスが口を挟んだ。
「ギルドの説明は終えたのか? 仕事をしてから口説けよ?」
「あ、そうだった。ターミャちゃんは実力はあるけど、誰でも最初はF階級から始まるからね。あの入り口に張ってあるのが仕事の依頼ね。受けたい仕事があったら剥がして、受付まで持ってきて。仕事をこなすほどに階級は上がっていくの。D階級までは昇級試験なしで上がれるわ。それ以上は年に一度ある昇級試験を受ける必要があるの。C階級以上は緊急事態には強制的に駆けつけなければならない義務があるのよ。だからそれが煩わしい人はC階級の試験を受けない人もいるわ」
おお~、結構な情報量だ。
そう言えば確か、死神長官ボーガンも少しだけ話してくれていたなと思い出す。
しかしやや早口のマリリーネに、あまり理解はできない。っていうか頭が追い付かない。
「ターミャにはできれば昇級試験は受けて欲しいところだがな・・・」
ギルラスがぼそりと呟く。
ギルドマスターとしては、優秀な人材は手下に置いておきたいということだろうか?
すでに魔力量が多いと露見してしまった多美江としては、これ以降慎重に行動しなければならないと肝に銘じた。
「このタグはあれば、どの町のギルドでも仕事をできるの。でも仕事依頼の優先権があるのは、ここのギルドだからね」
優先権とかあるのかと、多美江は思う。
この仕事はこの人が最適。とかいうのだろうか?
それは強制ではなく?
「もちろん他に先に仕事を受けている場合は、その仕事優先でいいの。ただターミャちゃんは知らないかもしれないけど、普通冒険者志望の子たちはこのギルドマスターに支持したい憧れているって子がほとんどだから、自然に登録したギルドの従うのよね。ターミャちゃんはギルラスさんのこと知らなかったのよね?」
「・・・・・・はい」
どうにも返事のし難い質問だ。
ギルラス本人も苦笑しているし・・・。
「これはギルドの規約書ね。わからないことがあれば、また聞いて」
有り難いことに冊子があるらしい。これでゆっくり頭が整理できる。
「これね・・・文字読めない子もいるから、無駄になることが多いのよ。その辺ターミャちゃんは文字も読めるし書けるし、いい子だね~」
そう言ってマリリーネに頭を頬刷りされる。
力が強いマリリーネがすると、またも微妙に痛かった。
多美江が顔を上げると、先程水をやった男性の一部の五人が目の前に立っていた。身体が大きい分多美江の周りは暗くなり、本当に壁みたいになっている。
「何よ、あんたたち」
マリリーネが多美江の髪をいじりながら、五人を睨みつけた。
「ターミャちゃん、お兄さんがいるんだろ?」
「・・・・・・はい」
いったい何なのか? 五人の笑顔が、ちょっと怖い。
「そうだ。ターミャちゃんのお兄さんっていくつ? 男前?」
マリリーネが思い出したように、多美江に満面の笑顔で聞く。
「兄は二十歳です。妹の私から見ても・・・男前かな」
「きゃあぁぁぁ~っ!」
嬉しそうにマリリーネは歓喜の声を上げて、多美江の手を掴んできた。
「ターミャちゃん、紹介してっ!」
ああ・・・、そういうことか。しかしどんなにマリリーネが美人でも、紹介はできないだろう。だって兄のジルドは架空の人間なのだから。
「あ~・・・、でも兄は人前には決して出ませんよ? 影からの会話なら可能・・・・・・かなぁ~?」
五分しか持たないことを考えれば、それもちょっと無理かな?
「ターミャちゃんの前では平気なんでしょう?」
「はい、さすがに妹ですからね」
手を離そうとするけど、意外にマリリーネの力が強い。逃してなるものかという執念を感じる。
「ちょっとマリリーネさんっ! 俺の話に割り込まないで下さいよっ」
このギルド内に、手を引いて入れてくれたダニーが憤慨している。
「どうせ、ろくでもない話でしょうが。こっちの方が切迫しているのよっ!」
「弟と同じ年の奴、狙うなよ~」
顎に髭を生やした男性が、呆れたように声を出す。
「私の理想はヴァレンス団長のような男前なのよ。もう若くもないって自覚しているからこそ、焦っているんでしょうがっ!」
ドン! と机を叩くマリリーネはとても迫力があった。
多美江も仰け反ってしまうほどだ。先程までの優しいマリリーネは、何処へいってしまったのだ。
「こ、怖っ」
「早く話しなさいよっ!」
マリリーネ、逆切れである。
「タ、ターミャちゃん。お兄さんと一緒に、俺たちの仲間に入らないか?」
「仲間・・・・・・」
要するにパーティに入らないかということか。しかしこれにも問題点が多々ある。
「でも、あの・・・。兄は人前には出られないので、ちょっと・・・無理かも」
「そんなに兄さんは人見知りなのか?」
顎髭が眉尻を下げながら話す。
「あ、紹介がまだだった。俺はダニー。この髭のごつい人がリーダーのグリソンさん。あとはその他大勢ということで」
「「「おいっ!」」」
ダニーはその他大勢の男性たちから、はがいじめされて首を絞められてしまう。
「や、やめろ~っ」
その間に顎髭リーダー、グリソンはさらに多美江に詰め寄る。
「俺たちの班には、まともに魔術を使える者がいないんだ。何とか魔力増幅剤で補ってはいるが、それももの凄く高い代物だしな」
パーティのことを、ここでは班というらしい。それに魔力増幅剤・・・そんなものがあったのか。
それを使えば魔力がない人でも魔術を使えるのか?
「ターミャちゃんが入ってくれると・・・凄く、もの凄~く助かるんだけどな~」
恨みがましい目で見られるが、こればかりはどうしようもない。
「初めての仕事は、確かに手慣れた人たちと組むのはいいことよ? 一回だけでもやってみれば?」
「そうだよっ! 兄さんが無理なら、ターミャちゃんだけでの参加も大丈夫だからさ。一回お試しってことでやってみないか?」
藁にも縋るように拝まれると断りにくい。でも一度引き受けたらきっと、次も次もとなるに違いない。
「・・・・・・ごめんなさい」
「あ~・・・、駄目か?」
「しつこい男は嫌われるぞ」
カポードが帰ってきた。ギルラスとの話は終わったようだ。
「お譲ちゃんほどの実力があれば、お前たちは反対に足手まといだろうよ」
「うわっ! そこまで言う~? カポードさん」
「情け容赦ないな~・・・」
ちょっと小競り合いしていた四人も帰ってきた。
「実際そうだろうな」
「ああ・・・、ギルドマスターにも言われた」
皆がしゅんとしながら、その場を去って行く。
「ああ、敵がいなくなった。さあ、ターミャちゃん。お兄さんの情報もっと頂戴。お兄さんは何が好き? 食べ物は? 色は? 身長はどのくらい?」
わきわきしてマリリーネが再度多美江の手を掴んだ時、ギルラスが口を挟んだ。
「ギルドの説明は終えたのか? 仕事をしてから口説けよ?」
「あ、そうだった。ターミャちゃんは実力はあるけど、誰でも最初はF階級から始まるからね。あの入り口に張ってあるのが仕事の依頼ね。受けたい仕事があったら剥がして、受付まで持ってきて。仕事をこなすほどに階級は上がっていくの。D階級までは昇級試験なしで上がれるわ。それ以上は年に一度ある昇級試験を受ける必要があるの。C階級以上は緊急事態には強制的に駆けつけなければならない義務があるのよ。だからそれが煩わしい人はC階級の試験を受けない人もいるわ」
おお~、結構な情報量だ。
そう言えば確か、死神長官ボーガンも少しだけ話してくれていたなと思い出す。
しかしやや早口のマリリーネに、あまり理解はできない。っていうか頭が追い付かない。
「ターミャにはできれば昇級試験は受けて欲しいところだがな・・・」
ギルラスがぼそりと呟く。
ギルドマスターとしては、優秀な人材は手下に置いておきたいということだろうか?
すでに魔力量が多いと露見してしまった多美江としては、これ以降慎重に行動しなければならないと肝に銘じた。
「このタグはあれば、どの町のギルドでも仕事をできるの。でも仕事依頼の優先権があるのは、ここのギルドだからね」
優先権とかあるのかと、多美江は思う。
この仕事はこの人が最適。とかいうのだろうか?
それは強制ではなく?
「もちろん他に先に仕事を受けている場合は、その仕事優先でいいの。ただターミャちゃんは知らないかもしれないけど、普通冒険者志望の子たちはこのギルドマスターに支持したい憧れているって子がほとんどだから、自然に登録したギルドの従うのよね。ターミャちゃんはギルラスさんのこと知らなかったのよね?」
「・・・・・・はい」
どうにも返事のし難い質問だ。
ギルラス本人も苦笑しているし・・・。
「これはギルドの規約書ね。わからないことがあれば、また聞いて」
有り難いことに冊子があるらしい。これでゆっくり頭が整理できる。
「これね・・・文字読めない子もいるから、無駄になることが多いのよ。その辺ターミャちゃんは文字も読めるし書けるし、いい子だね~」
そう言ってマリリーネに頭を頬刷りされる。
力が強いマリリーネがすると、またも微妙に痛かった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
嫁ぎ先は悪役令嬢推しの転生者一家でした〜攻略対象者のはずの夫がヒロインそっちのけで溺愛してくるのですが、私が悪役令嬢って本当ですか?〜
As-me.com
恋愛
事業の失敗により借金で没落寸前のルーゼルク侯爵家。その侯爵家の一人娘であるエトランゼは侯爵家を救うお金の為に格下のセノーデン伯爵家に嫁入りすることになってしまった。
金で買われた花嫁。政略結婚は貴族の常とはいえ、侯爵令嬢が伯爵家に買われた事実はすぐに社交界にも知れ渡ってしまう。
「きっと、辛い生活が待っているわ」
これまでルーゼルク侯爵家は周りの下位貴族にかなりの尊大な態度をとってきた。もちろん、自分たちより下であるセノーデン伯爵にもだ。そんな伯爵家がわざわざ借金の肩代わりを申し出てまでエトランゼの嫁入りを望むなんて、裏があるに決まっている。エトランゼは、覚悟を決めて伯爵家にやってきたのだが────。
義母「まぁぁあ!やっぱり本物は違うわぁ!」
義妹「素敵、素敵、素敵!!最推しが生きて動いてるなんてぇっ!美しすぎて眼福ものですわぁ!」
義父「アクスタを集めるためにコンビニをはしごしたのが昨日のことのようだ……!(感涙)」
なぜか私を大歓喜で迎え入れてくれる伯爵家の面々。混乱する私に優しく微笑んだのは夫となる人物だった。
「うちの家族は、みんな君の大ファンなんです。悪役令嬢エトランゼのね────」
実はこの世界が乙女ゲームの世界で、私が悪役令嬢ですって?!
────えーと、まず、悪役令嬢ってなんなんですか……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる