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第三章 屋敷でトラブル

9話

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グレンは服を脱がされたせいなのか、どんどんと身体が冷える感覚がした。

「う、なんか、寒い…」

身体を少し震わせていると、布きれを始末した執事が現われた。

「おや、どうされました?もじもじと身体を動かされて」

「も、もじもじなんてしてません!」

大きめの声でグレンは否定した。

「それではどうされましたか?」

「いや、服脱がされたせいで寒くて…」

グレンは視線をグルグルと動かし少し言葉につまりながら答えた。

「ああ、そうでしたか」

執事はポケットから何かを取り出す。
グレンはハサミが出てくるのかと身構えた。

「こちらどうぞ」

執事が取り出したのは小さなビンだ。
中にはなにやら液体が入っている。

グレンはそのパッケージに見覚えがあった。

「あの、それって…」

「飲んだら身体が温まる薬ですよ」

「いやいやいや!」

グレンは首を振っていやがる。
執事が不思議そうに尋ねる。

「なぜお嫌なのですか?」

「だ、だってそれ…媚薬ですよね?」

そう、執事の持つ小さなビンの中身は媚薬である。

「おや、ご存知でしたか」

「ま、まぁ…」

冒険者をやっていると、媚薬を手に入れたいので買い付けて来いなんていうクエストもあるのだ。
グレンは各国の怪しい薬のいくつかに使ったことはなくとも触れたことはある。
その中の一つにこの薬があったのだ。

「飲めば身体が温まりますよ?」

「そういう意味では温まらなくてもいいです…」

グレンは嫌がるが、執事はどんどんと口元に薬を近づけてくる。

「とりあえずどうぞ」

尻込みして中々飲み込まないグレンに執事がしびれを切らす。
グレンの鼻をつまむと口を強制的に開かせる。

「んん、はなひてください」

グレンは首を振って手を振りほどこうとするが、息が続かない。

息を吸い込もうと開いた口に執事が薬を流し込む。
そしてグレンが薬を吐き出さないように執事は手で強引にグレンの口を塞いだ。

「んごっご、げほっっ」

「飲み込めましたね」

グレンは苦しさに咳き込んだ。
執事はグレンのことを冷たい視線で見ている。

グレンには何故執事にこんなことをされるのか、動機に全く検討がつかなかったのだ。








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