ダンジョン行くなら監禁するよ?

浅上秀

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第五章 結婚

6話

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マルクは躊躇することなくドアをノックした。

「入れ」

「失礼いたします」

マルクはドアを開けて中に入る。
グレンが後を付いて部屋に入ると、奥の大きな机の向こうに男性がいた。
彼は顎髭をたくわえ、熊のようにがっしりとした体形をしている。

「なんだ、マルクか」

彼はデスクの上の書類から顔をあげると言った。

「はい、団長」

「今日は休みのはずだろう?」

「はい、あの、本日婚姻届けを出したので証明書を提出に来ました」

「おう、そうか!おめでとう!」

団長は嬉しそうに立ち上がると二人に近づいてきた。

「で、こちらが?」

「はい、僕の本命です」

「そうかそうか」

マルクは先ほど判をもらった書類を取り出した。

「こちらが書類です」

「お、事務局長のところも寄ってきたのか」

「はい」

「どうだった?」

「…あいかあわらずでいらっしゃいますね」

「ははは。だろうな」

グレンは黙って二人が会話している姿を眺めていた。
団長は書類にさっと目を通す。

「おし、不備はないからこのまま受理しておく」

「ありがとうございます」

「君はグレン、というのか」

団長がグレンに突然声をかけてきた。

「は、はい。そうです」

「はは、そう緊張せずとも。おめでとう、幸せにな」

「は、はい、ありがとうございます」

「では、失礼いたします。お忙しいところお邪魔いたしました」

「おう、気にするな」

マルクとグレンは団長に一礼すると団長室を出た。



「団長、いい人だな」

「だろ?あんなにいい人が…事務局長の本命だなんて…」

「ええええ」



二人は馬車に乗り込むと屋敷に戻ることにした。

「そういえばギルドには報告に行かなくていいのかよ?」

「また今度でいいんじゃない?」

マルクは窓の外に視線を移した。

「なぁ、なんで俺がギルドに近づくの嫌がるんだよ…」

グレンがマルクの顔を覗き込みながら尋ねる。

「…またダンジョン行くって言い出すだろ?絶対認めないから」

「もし言ったら?」

「屋敷に永遠に閉じ込めてやる」

「おお。こわ…」

グレンはマルクから身体を離そうとしたがマルクがそれを許さなかった。
マルクはグレンの肩をがっしりと掴んだ。

「絶対、離さないから」

「はは、おう、覚悟しとくよ」

二人はどちらともなくキスをした。








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