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第十章 騎士団団長暗殺

3話

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二人は誰にも見つかることなく騎士団の官舎に侵入した。

「で、団長の部屋にまっすぐ行くのか?」

「うん、その方が安全だろ」

二人は息を潜めながら団長室への道のりを進んでいく。

「あー、今日の訓練、気合入りすぎてなかったか?」

「あれだろ、マルク副団長がいないからだろ」

「そうか?いつもこんな感じじゃないか?」

「おまえは筋肉馬鹿だからな」

あと一歩で団長室、というタイミングで向うから新入団員が現われた。
四人は話し込んでいてなかなか移動しない。
団長室にはどうしても彼らの前を横切らなければ辿り着けないのだ。

「どうする、マルク」

グレンはマルクを振り向いた。

「たぶんもう少ししたらいなくなるから待とうか」

二人は木陰に身を潜めた。
するとマルクの読みが当たった。

「おまえたち!そこで何をしている!!」

一人の団員が現われると、四人は姿勢を正した。

「雑談ができる余力があるとは…団長の訓練が物足りなかったか」

「い、いえ、決してそのようなことは…」

「マルク副団長がいない今、私が副団長同然なのだからな。よし、私が直々に扱いてやるから来い!!」

「は、はい!」

四人は団員の後をついて去って行った。

「あいつ、いつもこの時間にここで会議終わりの僕のこと待ち伏せて突っかかってくるんだよ」

マルクは団員の背中にベーと舌をだした。

「はは、大変なんだな」

グレンからは乾いた笑ががもれた。

「でもこれで団長室に行けるな」

「うん」

二人は久しぶりに団長室の重たい扉を開くのだった。







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