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第十一章 一件落着

1話

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騎士団長暗殺未遂事件は複数名の男性たちの逮捕、および犯罪組織の一斉摘発という形で幕を下ろした。
マルクは騎士団で事後処理に追われていた。

「団長、任務が終わったら休暇って言いましたよね?」

マルクは額に青筋を立てながら書類を裁き、団長を睨みつける。

「はは、書類が終わるまで任務は終わらないぞ」

団長も目の下に大きな隈をこしらえながら書類を片付けている。

「しかし余罪がこんなにもあるとは」

もう一人の副団長も頭を抱えていた。

「事務室もパンク状態で珍しくあいつもちゃんと仕事をしてるらしいぞ」

団長はざまぁみろと笑っている。

「事務長と仲直りできてよかったですね」

副団長が団長に言った。

「別に喧嘩をしていたわけではないんだがな。これに懲りて愛人なんか作んないでくれるのが一番なんだが…」

団長は苦笑している。

「でもいいじゃないですか。団長、以前よりお幸せそうに見えますよ」

団長の机にお茶を置いたマルクが言う。

「そ、そうか?」

へらりと団長は笑った。

「嫌味ですよ嫌味」

マルクはもう一度団長を睨みつけると机に戻って再び書類に向き合い始めた。

「僕もグレンと一緒にいたいのにっ」



一方、グレンはギルドで同じく後処理に追われていた。

「これか」

ギルド所属のかなりの人数が犯罪組織とのつながりが露呈したことで捕まってしまい、人手不足になったのだ。
ギルドの人々がマルクに土下座をしてグレンに仕事をさせて欲しいと頼んだのだった。

「しかし一人ってのはこんなに寂しかったか…」

グレンは一人で目的の薬草を摘みに来ていた。
以前までは一人で野営をしようとも全く寂しさを感じなかったが、今ではすっかりマルクがいないとダメになりつつあった。
これぞマルクの思惑通りなのだった。

「はぁ、マルクに会いてぇな」

書類に追われて事件後、二週間ほどまともに会えていないためそろそろ限界が近づいているようだった。







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