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第十四章 エルフに遭遇

最終話

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新婚旅行を終えて帰宅したグレンの腹には無事に子が宿った。
その時のマルクの喜びようは半端ではなかった。

グレンの妊娠が発覚して、休暇中ながらも報告のために早速マルクは騎士団へと向かった。

「そうか、いよいよ俺もおじさんかぁ」

報告を受けた団長が嬉しそうに微笑んでいる。

「いえ、別に団長が叔父になるわけでは…」

「細かいことは良いんだよ。俺はお前を弟のようにかわいがってるってことだ。おめでとう」

団長のはかない微笑みにマルクはそれ以上何も言えなかった。



「まぁ子供ができたのも団長たちがエルフの里を紹介してくれたおかげなんだからさ」

グレンが自分の腹を撫でながら、帰宅してすぐ不満げに団長の様子を教えてくれたマルクの眉間の皺を伸ばす。

「ううん…」

マルクは納得いかない様子で頷いた。

「でもまだ実感わかねぇな」

グレンは自分の腹を撫でる。

「あぁ、僕もだよ」

その上からマルクも手を重ねた。

「不安しかないし」

「大丈夫、とりあえず屋敷から出ずに出産できるように今手配してるから」

マルクはどや顔でそう告げた。

「は?いや、それはどうなんだ…妊夫には適度な運動は必要って言わないか?」

「それはベットでなんとかなるだろ」

「おいおい、妊夫に何させる気だよ」

グレンが苦笑する。

「それはともかくだよ」

マルクが居住まいを正す。

「なんだよ」

首を傾げたグレンの両手をマルクは包み込むように握る。

「妊娠も出産も、お互いにはじめてだし戸惑うことも不安なこともたくさんあると思う」

「あぁ」

「だから…なにかあったら僕のこと絶対頼って欲しい」

「いや俺にはマルクしかいないんだから、何があっても頼るよ」

「ほんとうか?」

「今さら何を疑ってるんだよ」

グレンは真剣に自分を見つめるマルクの顔を笑いながら覗き込んだ。

「俺は出て行かないよ、何があってもマルクと一緒にいる」

「うん、うん!」

マルクは力強く頷いた。
そしてそっと二人は唇を重ねたのだった。



「あ、でも出産して子育て落ち着いてもダンジョンに行くのは禁止だからね」

「はぁ!?」








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