モブな俺は秘密の恋人たちを見守ってます

浅上秀

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気づかれてると思っていない二人

2話

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作業を終えて開店までは什器の異動や品出し、ポスターの張替えなどこれまた非常に忙しかった。
三人で分担しても終わらなかったところは引き継がせてもらうことにする。

俺たち三人はゾンビさながらの表情で、開店時間前に出勤してきた人たちに見送られて各々の家に帰っていった。
惰眠を貪って15時に起きた俺は昨日、作業中に思いついた案を紙に書き出してまとめてみる。

「これはただの怪文書だ…」

あなたたちのこと陰から見守ってます、という手紙を出すという案は却下だ。
電話も同じく却下、ストーカーとして訴えられかねない。
あとは友達の相談なんですけど、最近…と相談のように話を持っていくのも怪しいからダメだ。

「全部だめじゃねーか」

回らない頭で考えた割にはいい案が浮かんだと思ったのに、いざ書き出してみると駄作のオンパレードだった。

「考えるのやめよう」

俺がもやもやしてどうにかなる話ではない。
無理やり結論付けて落ち着くことにしたのだった。



それから店舗では少し時期の早い忘年会の開催があった。
年末近くに飲んで繁忙期に店が開店できなくなると困るので時期をずらすことにしているらしい。

「ちょっと時期は早いけど、みんなお疲れさま。乾杯!」

店長の合図でみんなジョッキを合わせる。

「乾杯!!!」

酒が労働した体に染み渡る。

「あー、うまい」

しみじみとつぶやいた俺を見て向かい側に座っていた先輩が笑う。

「老けたな、おまえ」

「えー、まだ若くいたいですよ」

周りの人たちとおつまみをシェアしながら話をする。
普段の勤務時間が被っていない人だとか、あまり話したことがない人たちとも交流できて珍しく楽しい気分になっていた。

「あれ、コーチ!お疲れ様です!!」

会も半ばを過ぎたころ、コーチが現れた。
コーチは店長の隣に腰かけると店長は居酒屋の店員を呼んでビールを頼んだ。
俺は一連の動作があまりにもスムーズすぎて一瞬、酔いがさめた気がした。

「改めて、コーチもお疲れさまでした」

皆でコーチとグラスを合わせる。
再びの乾杯のあと、座席が入れ替わり周りにいるメンバーも先ほどと変わったのでまた違った雰囲気を楽しめたが、俺はコーチと店長の様子が気になってしょうがなかった。
そのせいか会の終わりまで楽しみ切れずに不完全燃焼だった。


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