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初めて編
1話
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阿部はその日、事務所の社長に呼び出された。
「君、次の新しい仕事持ってこれなかったらクビだから」
阿部が担当しているのは冴えない王道アイドルだ。
彼女たちは特筆できる個性もなければ、容姿に特段優れているわけでもない。
売れる要素が全くないものの事務所が手放さないのはメンバーのうちの一人がどこぞのお偉いさんの娘だからだそうだ。
たまに忖度の関係で仕事のおこぼれが回ってくるが、最近はそれも少なくなっていた。
危機感がなかったわけではないが、阿部にはどうすることもできなかった。
「社長、彼女たちをこれ以上売り出すのは無理だと、前から散々申し上げておりました」
「いやいや、売れるようにプロデュースすることが君の仕事だろう。これ以上、新しい仕事を持ってこれないようなら職務怠慢とみなしてクビにする、と言っているんだ」
「は、はぁ」
阿部は内心で悪態をつきながらも返事をした。
「じゃあ、頼んだよ」
しょうがないかと思い、承知して退室しようとした阿部を社長が呼び止めた。
「それから今夜ある事務所の創立〇周年のパーティ、君も出るように」
「え、私もですか?」
「あぁ、各界のお偉いさんが来るからね、せいぜいコネでも作ることだ」
「か、かしこまりました」
今度こそ阿部は一礼して社長室を出た。
パーティーなんてものは面倒くさいから敬遠していたが、仕事のためであればやむおえないと考え、いやいやながらも出席することにした。
それが彼の間違いだったのかもしれない。
…
会場に入るときらびやかな照明の下にめかし込んだ人々が大勢いた。
見回すと著名な人も多くいる。
また阿部がマネージャーを務めるアイドル達もいた。
「おお、ここにいたのか」
社長が大股で近づいてくる。
「ちょうどいい、おまえに紹介してやる。」
社長の後ろには髪が薄くて脂ぎっていてとても豊満な体系の男性が現われた。
「こちらは〇テレビの元敏腕プロデューサーでね、今は上役として〇テレビを牛耳っている島田さんだ」
「ははは、社長さん大袈裟ですよ」
島田はニヤニヤと答えた。
島田の両手には美人のコンパニオンが二名くっついている。
「は、はじめまして」
「島田さん、で、こっちは今ウチの事務所で一番推してる子たちのマネージャーの…」
「あ、阿部と申します。よろしくお願いいたします」
阿部は急いで名刺を取り出し頭を下げながら差し出した。
島田は片手で受け取った。
「へー、そうなんだ、よろしく」
顔をあげた阿部と島田の目が合う。
「君、良い顔してるね」
「えっ、あ、ありがとうございますっ」
「うんうん、威勢の良さもいいね。初対面だけど気にったよ」
「あ、ありがとうございます」
島田がコンパニオンを置いて阿部に少し近づく。
島田の汗の刺激的な匂いがしたその時だった。
「後日、連絡するから、よろしくね」
島田が阿部の耳元で囁いた。
匂いにえづきそうになりながらもチャンスをもらえた阿部は喜んで返事をした。
「は、はい!ぜひともよろしくお願いいたします!」
「それじゃあ」
島田は再びコンパニオンを引き連れると人ごみに消えていった。
「阿部、気にってもらえたようで良かったじゃないか」
「は、はい。社長、ご紹介いただきありがとうございました!」
「いやいや、なんてことないよ…じゃあ、私はまだ挨拶が残ってるからね」
「はい、失礼いたします」
そういって社長は意味ありげな笑みを浮かべて去っていった。
その後、阿部はパーティーで何名かと名刺交換ができた。
これでクビにならずに済みそうだと安堵し帰宅した。
そしてパーティーの二日後、島田から連絡が来た。
「君、次の新しい仕事持ってこれなかったらクビだから」
阿部が担当しているのは冴えない王道アイドルだ。
彼女たちは特筆できる個性もなければ、容姿に特段優れているわけでもない。
売れる要素が全くないものの事務所が手放さないのはメンバーのうちの一人がどこぞのお偉いさんの娘だからだそうだ。
たまに忖度の関係で仕事のおこぼれが回ってくるが、最近はそれも少なくなっていた。
危機感がなかったわけではないが、阿部にはどうすることもできなかった。
「社長、彼女たちをこれ以上売り出すのは無理だと、前から散々申し上げておりました」
「いやいや、売れるようにプロデュースすることが君の仕事だろう。これ以上、新しい仕事を持ってこれないようなら職務怠慢とみなしてクビにする、と言っているんだ」
「は、はぁ」
阿部は内心で悪態をつきながらも返事をした。
「じゃあ、頼んだよ」
しょうがないかと思い、承知して退室しようとした阿部を社長が呼び止めた。
「それから今夜ある事務所の創立〇周年のパーティ、君も出るように」
「え、私もですか?」
「あぁ、各界のお偉いさんが来るからね、せいぜいコネでも作ることだ」
「か、かしこまりました」
今度こそ阿部は一礼して社長室を出た。
パーティーなんてものは面倒くさいから敬遠していたが、仕事のためであればやむおえないと考え、いやいやながらも出席することにした。
それが彼の間違いだったのかもしれない。
…
会場に入るときらびやかな照明の下にめかし込んだ人々が大勢いた。
見回すと著名な人も多くいる。
また阿部がマネージャーを務めるアイドル達もいた。
「おお、ここにいたのか」
社長が大股で近づいてくる。
「ちょうどいい、おまえに紹介してやる。」
社長の後ろには髪が薄くて脂ぎっていてとても豊満な体系の男性が現われた。
「こちらは〇テレビの元敏腕プロデューサーでね、今は上役として〇テレビを牛耳っている島田さんだ」
「ははは、社長さん大袈裟ですよ」
島田はニヤニヤと答えた。
島田の両手には美人のコンパニオンが二名くっついている。
「は、はじめまして」
「島田さん、で、こっちは今ウチの事務所で一番推してる子たちのマネージャーの…」
「あ、阿部と申します。よろしくお願いいたします」
阿部は急いで名刺を取り出し頭を下げながら差し出した。
島田は片手で受け取った。
「へー、そうなんだ、よろしく」
顔をあげた阿部と島田の目が合う。
「君、良い顔してるね」
「えっ、あ、ありがとうございますっ」
「うんうん、威勢の良さもいいね。初対面だけど気にったよ」
「あ、ありがとうございます」
島田がコンパニオンを置いて阿部に少し近づく。
島田の汗の刺激的な匂いがしたその時だった。
「後日、連絡するから、よろしくね」
島田が阿部の耳元で囁いた。
匂いにえづきそうになりながらもチャンスをもらえた阿部は喜んで返事をした。
「は、はい!ぜひともよろしくお願いいたします!」
「それじゃあ」
島田は再びコンパニオンを引き連れると人ごみに消えていった。
「阿部、気にってもらえたようで良かったじゃないか」
「は、はい。社長、ご紹介いただきありがとうございました!」
「いやいや、なんてことないよ…じゃあ、私はまだ挨拶が残ってるからね」
「はい、失礼いたします」
そういって社長は意味ありげな笑みを浮かべて去っていった。
その後、阿部はパーティーで何名かと名刺交換ができた。
これでクビにならずに済みそうだと安堵し帰宅した。
そしてパーティーの二日後、島田から連絡が来た。
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